ボードゲームレビュー第253回「スティーブンスン・ロケット」

「スティーブンスン・ロケット」
作者:ライナー・クニツィア
メーカー:グループSNE
プレイ人数:2~4人
対象年齢:12才以上
プレイ時間:約60分

 


 

毎週木曜日はキウイの日ー!
ってなわけで、ご無沙汰しております、三家原ですー!

祝・令和元年の、私が記念すべき最初にお送りするのは、グループSNE様より発売中の「スティーブンスン・ロケット」なのですー!

時は蒸気機関! 1830年代、スティーブンスン親子が開発した世界初の乗客を乗せた「ロケット号」を皮切りに、イングランド地方は数多の鉄道会社がひしめく戦国鉄道時代へと突入するのであった……!!

ってなわけで、プレイヤーはそんな数多の鉄道会社に投資する資産家となって、鉄道王を目指しちゃおうというのが、本作なのですよ。

実はこの作品はリメイクで、本家はえーっと……せ、1999年……い、今から20年前。しかも、デザイナーさんは当レビューでも「京都」や「マネー」など何度かご紹介させて頂いている、おなじみライナー・クニツィア先生なのですよ!
うん、このゲーム……絶対に何かジレンマが仕組まれているですよ(まてこら)

●準備

①ゲームボードを広げたら、マップ上に描かれたスタート駅の色と同じ色の機関車を配置します。

機関車がいっぱい! これらがイングランド地方を駆け巡るのですよ!

②拡大都市と同じ名前の書かれた輸送マーカーを配置します。ただし、”旅客”は別扱いとなるので、一緒に置かないように注意しましょう。

都市名の描かれていない貴婦人が、旅客なのですよ。

③各プレイヤーは、自分の色を決めて、駅舎コマ7つを受け取ります。

駅舎は一人7個ずつ。

④各色の株式会社、紙幣を金額毎に分けたら、全員の手に届くゲームボードの横辺りに配置しましょう。

地味に大事な株券さん。

さあ、これでゲームの準備は終わりなのです! 結構簡単!

さあ、イングランド地方を駆け抜けるのですよ!

●遊び方
手番が来たプレイヤーは、以下の3つのアクションから、2回選んで実行します。

①輸送マーカーを取る。
②手元の駅舎を配置または移動する。
③現存する鉄道会社の路線を伸ばす。

①輸送マーカーを取る。
拡大都市に配置されている輸送マーカーを1つ選んだら、都市ごとに表向きにして自分の手元に配置しておきましょう。

輸送マーカーは各都市に一定数だけしかないので、何時取るのかが問題なのですよ。

②手元の駅舎を配置または移動する。
自分の色の駅舎をゲームボード上に配置します。
ただし、以下に該当するマス・または隣接する箇所には配置することはできません。

1)スタート都市、大都市、停車都市などの都市マス。
2)線路タイルが置かれている。
3)機関車または駅舎が置かれているマスと、それに隣接するマス。

駅舎や機関車は隣接するとその周囲も含めて置けなくなるから、相手を牽制したりするのには有利なのですよ。

③現存する鉄道会社の路線を伸ばす。

このゲームで、一番メインとなるアクションが、この鉄道を伸ばすという行動ですね。
文字通り、現在ゲームボード上に残っている鉄道会社の線路を伸ばすアクションです。

線路を伸ばしたい鉄道会社を選択したら、現在その鉄道会社と同じ色の機関車コマの進路を提示すると同時に、鉄道会社の株カードを1枚獲得します。

進路を提示するのに、このプランマーカーを配置するのですよ。

ただし、この進路提示には以下の条件に抵触していない事が条件となります。

1)機関車コマの向きから見て、直進、または左右60度に曲がった方向。
2)進行先に都市マスがない。
3)線路タイル、機関車コマが置かれていない。

なので、機関車が移動できるのは、直角カーブとかせずに行ける、野原か駅舎コマが置かれている場所となります。

線路コマはこの通り、直線かゆったりとしたカーブの2種類のみ。

進路が決定し、新しい線路タイルが建設されたら、機関車コマを移動させましょう。
その際、進んだ先によっては、次のようなボーナスが発生することがあります。

①旅客の獲得
自分の色とは”別の”駅舎のあるマスに機関車が到着したら、旅客を一枚受け取りましょう。
ただし、この恩恵は手番プレイヤーのみであり、さらにストックがない場合は受け取れないのでご注意なのです。

②利益の獲得
大都会マスに初めて到着した時。到着した都市の輸送マーカーを保有しているプレイヤーの内、一番多く持っているプレイヤーに2000ポンド、2位には1000ポンドが与えられます。

結構凝った紙幣なんですけど、ゲーム中はこれを使ってお買い物とかそういうのはないので、ちょっと残念だったり。

また別の鉄道会社が到達した際も利益の獲得が発生するので、最初に負けてしまった人はリベンジを狙ってその都市の輸送マーカーをゲットしていくのも一つの手なのですよ。

ただし、機関車コマがもたらすのはいいことばっかりではないのですよ。

○ローカル路線の誕生。

機関車を動かし方によっては、以下のような状況に陥った場合、その鉄道会社はローカル路線と扱われるようになります。

1.これ以上新しい都市マスに接することがない。
2.他の鉄道会社との合併・買収が発生しない。

つまり、もうこれ以上新しい発展がない状態になった鉄道会社が、ローカル路線という扱いになるわけですよ。

とはいえ、ゲーム終了時の得点計算には参加できるので、ローカル路線=ダメな路線というよりも、すごろくの上りみたいな感じかなーっと思いますね。

そしてローカル路線判定をもらうと、今後新たに株券を得ることはないので、ゲームボード上に残っている株券はすべて箱に戻しちゃいましょう。

ローカル化するのは、果たして吉と出るか、凶とでるのか……。

そして、上記の条件で気づいたと思いますが、このゲームには、一番恐ろしい買収というシステムがあるのですよ!

○鉄道会社の合併・買収

機関車コマが他の鉄道会社の線路タイルもしくは機関車コマに接触すると、その時点で買収が発生します。
しかも、この買収は接触された側ではなく、した側が吸収されるのです!

つまり、相手を潰すつもりで近づいたら、逆に潰されてしまうという構図なのですよ!(まてこら)

俺はせっかくだから、この線路を真っ直ぐ伸ばすぜ!

おらぁぁぁっ! 俺様が先に行くんだぁぁっ! そこをどけ紫ぃぃぃぃっっっ!!

てぃうんてぃうんてぃうん……。

紫 の 会 社 に 吸 収 合 併 完 了 !

そして、この買収騒動が発生すると、以下の処理が行われます。

1)利益の獲得
買収される鉄道会社の株券を一番持っているプレイヤーは、その鉄道会社の線路タイルに隣接する都市1つにつき1000ポンドを獲得。
そして、2位はその半額を獲得しますが、複数いる場合は頭割りになります。

2)株券の交換
買収された鉄道会社の株券は、2枚で買収した側の株券1枚と交換になります。
端数は切り捨てなので、常に2枚ずつ持つのがいいかもしれませんね。

どうやら、灰色が合併されたようだな。奴は我ら鉄道会社でも最弱の存在。鉄道会社の面汚しよ(まてこら)

あと、忘れちゃいけない。交換された株券はこのゲームでは使用しないので、箱に片付けちゃいましょう。

3)機関車コマの取り除き
買収された鉄道会社の機関車コマは今後使用しないので、ゲーム上から取り除き、そのマスには機関車マスの向いていた方向に線路タイルを配置しておきます。

線路の配置をお忘れ無く!

以上が買収の流れなのですよ。そう、これで気づいた人もいるかと思いますが、手番プレイヤーが進路を決める際、必ずしも前向きな進路を決めるとは限らないのですよ!(まて)

わざとライバル鉄道会社を合併させる為に、突っ込んでくる輩がいないとも限らない! そんな時こそ力を発揮するのが、株主による拒否表明なのですよ!

○拒否表明

この進行進路の拒否表明は、手番プレイヤーがプランマーカーを配置後、株券を手に入れて機関車コマを動かすタイミングで、その鉄道会社の株券を保有しているプレイヤーが行う事が出来ます。

ここで拒否が表明された瞬間、進路を決める株券を使った競りが行われます。
手番プレイヤーは、手元にある株券から何枚出すかを表明し、競りに参加するプレイヤーは時計回りに1回だけ、現在よりも1枚多い枚数を提示するか、パスするかを選択します。

この結果、一番多い枚数を提示したプレイヤーは、その枚数を支払うことで、今回のプランマーカーの方向を決める権利を獲得します。
そう、線路の建設自体は止めることはできないのですよ。

なので、実際に鉄道会社の路線を伸ばす際は……

①手番プレイヤーによる、進路の提示&株券の入手。
②他プレイヤーによる拒否表明の確認。
③拒否表明の競り。
④この拒否表明の競りに……
勝った→手番プレイヤーの提示通り、線路を建設。
負けた→勝ったプレイヤーの提示に従って、線路の建設。

……という流れで進むことになります。

でも、さっきも言った通り、機関車を他社にぶつけて合併させようとするプレイヤーに対抗するのは、この拒否表明に勝利するしかない。
つまり、コツコツと貯め込む株券パワーこそが大事になのですよ!

果たして、ゲーム終了時には何社が生き残るのだろうか……!?

こうして、2回アクションを終えると、時計回りに手番が回っていきます。

バランスよく株券を取って各鉄道会社への圧力を強めるもよし、一点集中で物言う株主になるのもよし、鉄道会社同士を故意にぶつけまくるもよし、手番中にやれることはシンプルですけど、周囲の関係とプレイスタイルによって、様々な攻略があるのですよ!

●ゲーム終了

さあ、こうして各鉄道会社が大陸中を発展していくわけですが、本作は以下のどちらかの条件を満たしたら最終計算となります。

1)線路タイルを使い切る。
2)新たに手に入る株券が一種類だけになる。

今回は、一社が全ての鉄道会社を買収してゲーム終了!

最終計算は、これまで手に入れてきた「株券」「輸送マーカー」「駅舎コマ」を使っておこない、それぞれ1位、2位にポンドが支払われていきます。
こうして全ての計算が終わった時点で、一番ポンドを保有しているプレイヤーが鉄道王となるのです!

●総評

プレイ開始時は、駅舎や線路の配置方法などややわかりにくい箇所があって、「う~ん? これってどうなの? 合ってるの?」と中断したり、思いっきり間違っていてやり直しなんて悲劇もありましたが、無人在〇線爆弾……もとい、機関車コマが突っ込むことによって発生する合併・買収が発生するようになってから、コロッとゲームの流れが変わってきた感じですね。

いきなり互いの会社が干渉しあわないように線路を建設していたのに、いきなり衝突させようとくねりにくねり、さらにはそれまでなかった株主の反対意見に、次々と飛び交う株券パワー!

そう、うっかり合併なんてされた日には、コツコツ貯めてきた株式が問答無用で半額、いやいや、下手をすればそれ以下の紙屑同然になってしまうわけですから、そりゃもう必死になるのですよ(汗)

一周する内に株価が2分の1どころか4分の1に大暴落してしまうなんて場面も……。

なので、各プレイヤーがどの鉄道会社が将来有望そうなのか判断しているのを見極めつつ、吸収合併でいかに優位に立ち回るかという計算と駆け引きが求められるのが、このスティーブンスン・ロケットなのですよ……!!

そう、ここを伸ばせばあそこが反対、あそこを伸ばせばここが有利にというジレンマと戦いながら勝利を目指していくというクニツィアジレンマ満点の一本なのですよ。

次のゲームでは、果たしてどんな鉄道網が完成するのか……!?

リリースされたのが1999年と、今から20年前ではあるものの、現在のゲームにも負けない切れ味抜群な一本だったのですよ。
ご興味のある方は、ぜひぜひ一度遊んでみてくださいねー!

 

ライター紹介

三家原優人(みけはら ゆうと)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなく、映画会社にて長編映画の脚本や出演など多岐に渡って活動中。
趣味はガジェット集め。国内・国外問わずの気になるガジェットを集めては愛でる日々。
実は某公国の爵位を持っていたりする。

代表作
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ。
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」。
長編ホラー映画「腐女子」。
その他多数。