ボードゲームレビュー第254回「インヴィクタス・ザ・将軍」

「インヴィクタス・ザ・将軍」
作者:ナイトウ・ソウヤ
メーカー:ヘムズユニバーサルゲームズ
プレイ人数:2人
対象年齢:13才以上
プレイ時間:約5~30分

 


 

「王の帰還? ……いや、将軍のお出まし」

というわけで、みなさんおなじみまして。もしくは、はじめまして。
作家でフリーライターの、新井淳平です。
担当39回目となる今回のレビュー作品は、こちら。

『インヴィクタス・ザ・将軍』。
直訳すると「屈服しない将軍」。戦争をモチーフとした2人対戦ゲームです。
概観は、将棋にトレーディングカードゲーム(TCG)を足したような感じ。
まずはゲーム準備として、いわゆる「デッキ構築」から始めることになります。

……と、ここまで読んで既視感を覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そう、こちらはレビュー第245回掲載『インヴィクタス・ザ・キング』の姉妹作。
前作は「中世ヨーロッパ」テイストでしたが、本作は「東洋」和テイストとなっております。
……戦はやっぱ日本戦国時代でしょう、なんて方はぜひ。

ルールは前作とまったく同じ。プレイ済みの方は、インストなしですぐにでも始められます。
じゃあ、どこが違うの? ――という方。それは、兵士カードの種類と、なによりその「能力」なんです。
――といったわけで。
今回のレビューではルール紹介は最低限に留め、前作との違いにクローズアップしたいと思います。
……ルールをしっかり知りたい方は「レビュー第245回」をチェックしてね☆
……「ルールならもう心得てるぜ!」という方は、次の項を読み飛ばして【兵士カードの種類】へGO!

【ルール&ゲームの流れ】
●デッキ構築
まずは将棋でいうところの「王将」=〈将軍〉カードを決定します。
パラメータの異なる全5枚の〈将軍〉を、双方のプレイヤーに2枚ずつランダム配布。
それぞれ内容を見て、採用する1枚を確定させます。
……実は、今なら「プロモカード」として〈将軍〉がもう1枚(全6枚)同梱されてたりして……今が買いっ!?

次は、採用した〈将軍〉のパラメータを加味したうえで、デッキに採用する〈兵士カード〉20枚を決めます。
同梱されているのは、5種類10枚ずつ×プレイヤー2人分=100枚。
具体的なカードの内容は、後の項目で細かくご紹介しますね。
……戦いでは強い者が勝つ。辛抱の強い者が。by徳川家康

●セットアップ
採用する20枚が確定したら、それをシャッフルして山札に。その後、選んだ〈将軍〉を相手プレイヤーに公開。
ジャンケンなどで先攻後攻を決めます。決まったら、両者山札から3枚をドロー。
ここに〈将軍〉を加えた4枚が初期手札となります。
なお、ドローした3枚が不服なときは1度引き直しも可能(詳細は、マニュアルや前作レビューを参照)。
先攻後攻交互に、次の順番で自分の場に手札カードをセットしていきます。
1[戦場]、2[待機列]、3[王国]。残りの1枚は手札として持ったまま、ゲームスタートです。
……主人は無理を言うなる者と知れ。by豊臣秀吉

●対戦
手番は以下の①~③のフェイズを先攻プレイヤーがまず行い、その後、後攻も同様に手番を行っていく流れ。

①ドロー
手番プレイヤーは山札から1枚カードを引いて手札に加える。
その後、自分の[戦場]のカード全てを縦置きにする。
なお、これは行動済みを表す横置き(タップ状態)になっているカードを、行動可能状態にする作業(アンタップ化)。

②「進軍」or「攻撃」
1ターンに実行できるのはどちらか一方のみ(どちらも実行しないことも可)。
進軍:[待機列]からカード1枚を[戦場]に出すアクション。[待機列]にカードがなければ手札から出すことも可能。
攻撃:[戦場]の任意のカードをタップさせ、任意の敵カードを指名してダメージを与えるアクション。
(攻撃は、アンタップのカードがある限り1ターンに何度でも実行可能)
・敵の体力ちょうどのダメージを一撃で与えると「捕獲」。倒した敵カードを自分の[王国]に置きます。
・敵の体力以上のダメージで倒した場合や、二撃以上で倒した場合は「破壊」。敵カードは、敵[墓場]に置きます。
※なお、ターンが変わるとそれまで受けていた蓄積ダメージはリセットされる。……討ち取るなら1ターン中にぜひ。
※「攻撃」ではなく「後方支援」の効果で捕獲条件を満たしても、「捕獲」にはならず「破壊」になる。


○後方支援
なお、②の際には、手札の〈兵士カード〉を[待機列]に置くことで、その「後方支援能力」を発動使用できます。
これから攻撃予定の〈兵士〉の攻撃力を強化したり、「攻撃」行動とは違う形で敵兵にダメージを与えたり。
便利な効果がいろいろあるので、適宜活用していくようにしましょう。

〇徴兵
また、敵の②の際に、攻撃などによって自分の[戦場]の〈兵士カード〉が0枚になってしまうことがあります。
そのとき発生する処理が、この「徴兵」。
即座に自分の[待機列]から、順番に2枚を取って[戦場]に配置します。
もし[待機列]に1枚しかなかった場合は、自分の[王国]からも1枚[戦場]に出します。
もし[待機列]に0枚だった場合は、[王国]から2枚を[戦場]に出します。
なお、[王国]から出す際は、捕獲した敵の〈兵士カード〉を選ぶことも可能です。……ここ将棋っぽいね!
無事[戦場]に2枚カードが出ている状態にできたら、敵の②を再開します。
[待機列]と[王国]からカードを持ってきても[戦場]が2枚に満たなかった場合は「滅亡」。
――即敗北となってしまうので、気をつけましょう。
……決断は、実のところそんなに難しいことではない。難しいのはその前の熟慮である。by徳川家康

○入国
これは自分のターン中、いつでも任意で行えるアクション。ただし実行できるのは1ターンに1度だけ。
手札の〈兵士カード〉1枚を自分の[王国]に置くことができます。
これは「勝利条件:建国」による勝利を目指すための行動。
[待機列]や[戦場]が手薄になってしまうリスクはありますが、これも重要な選択肢の一つです。

③手札調整
もし②を終えたところで手番プレイヤーの手札が6枚の場合、手札から1枚選び[王国]に置く(「入国」処理)。
ターン終了を宣言し、手番交代。このターンに受けていたダメージはここで全てリセットされます。
また、補正されていた攻撃力は全て元の状態に戻ります。

【ゲームの終了】
勝敗が決する形は4種類。
各場や要素が多岐に渡っているため、一面的に優位でも気が抜けないのがおもしろいところ。

●追放:一方の〈将軍〉が「破壊」or「捕獲」されたとき。
「破壊」または「捕獲」を達成したプレイヤーの勝利で、ゲームセット。

●建国:一方が[王国]で4ポイントを獲得したとき。
ゲームはその瞬間に終了。4ポイントをGETしたプレイヤーの勝利となります。

●滅亡:「徴兵」を行わなければならないプレイヤーが、[戦場]にカードを2枚置けなかったとき。
徴兵できなかったプレイヤーの敗北で、ゲームは終了となります。

●終戦:先攻プレイヤーのターン開始時に山札がないとき。
通常のターンは行わず、[王国]でのポイントが多いほうの勝利で、ゲーム終了。
同数なら、[王国]にあるカードの枚数が多いほうの勝ち。
それも同数なら、[墓場]にある枚数が少ないほうの勝ち。
それさえも同数なら、ついに引き分けとなります。……ポジピース☆

【兵士カードの種類】
さあさ、お待ちかね。
『インヴィクタス・ザ・キング』とはひと味違う『インヴィクタス・ザ・将軍』の〈兵士カード〉はこちら。


・侍-サムライ-(水):攻撃力1/体力2(1)
/次に攻撃する兵士カードの攻撃力を「+3」(自分②の際)


・武者-ムシャ-(緑):攻撃力1/体力3(1)
/相手の攻撃を防ぎ、前後のカードの位置を任意で入れ替える(敵②の攻撃対象宣言の際)
※前列にしかカードがないなどで入れ替えが不可能な状態の場合、攻撃を防ぐ効果も発動できない。


・銃兵-ジュウヘイ-(赤):攻撃力2/体力2(1)
/相手の戦場の後列にあるカード1枚に「2ダメージ」を与える(自分②の際)


・虚無僧-コムソウ-(黄):攻撃力2/体力2(2)
/次に攻撃する兵士カードの攻撃範囲を、自分のリーダーカードと同じにする(自分②の際)


・忍者-ニンジャ-(紫):攻撃力2/体力1(1)
/相手の手札からカードを2枚選び、相手の待機列に置く(自分②の際)
※もし相手の手札が1枚以下の場合は、この効果は発動できない。

「/」のテキストは[戦場]でなく「後方支援」で使ったときの効果。カッコ内は発動タイミングです。
体力は、タップ状態になるとカッコ内の数値に変化。基本的に打たれ弱くなるので、次ターンの反撃に注意が必要です。
危ういときは行動を行わずにターン終了する、というのも一つの手。
ちなみに〈将軍〉の後方支援は、任意の〈兵士カード〉の後方支援効果と同じものして使うことができます。

上記以外にも、実際のカードには「攻撃範囲」の情報が描かれています。
〈武者〉なら「目の前1マス」、〈侍〉なら「目の前1マスとその左右」など。
およそ兵種から連想する範囲ですが、文面では伝えづらいので、ぜひ実際に遊んで実物をチェックしてみてください。


【まとめ】
まず、おもしろさは以前紹介した『キング』同様。
多岐に渡る勝利条件のため、油断ならない緊張の頭脳戦が楽しめます。
〈兵士カード〉の能力は前作とけっこう違いますが、それでもバランスはうまくとれています。
プレイした感触として、最も『キング』との違いを感じたのは、[戦場]でのバトル展開。
前作では〈ガーディアン〉や〈ウィザード〉の後方支援で「防ぎ合い」が多かったのですが、今回は「殴り合い」。
敵の後方支援を止める術はなく、攻撃を防ぐにも〈武者〉の後方支援は条件付き。
〈アーチャー〉の後方支援は「ダメージ1」だったところ〈銃兵〉は「ダメージ2」。
そして、前作にあった「場所入れ替え」の後方支援効果を持つ〈プリースト〉もいない。
……さしずめ「ベタ足インファイト。足を止めての打ち合い」といった様相。

一応〈忍者〉の効果により敵の手札を削ることで、後方支援が使われる展開を避けることも可能。
ですが、これも「敵の手札が2枚以上」という、いわば条件付きです。
また、「場所入れ替え」こそできないものの〈プリースト〉の代わりに〈虚無僧〉。
〈虚無僧〉の攻撃範囲変更の効果により、今回私はうまく敵兵を倒すことに成功しました。
「この位置にいれば攻撃されない」と敵が油断していたところ、死角から討ち取ったわけです。
まあ、その直後〈侍〉で攻撃力「+3」した敵に、ガツンと〈将軍〉を倒され負けちゃったんですがね……とほほ。
……難しいぜ。だが、これほどやり込み甲斐のあるゲームもそうはない。

ちなみに、プレイヤーに力量差があるときのためにハンデ戦「チャレンジマッチ」というルールがあります。
これは、一方だけ[待機列]に置けるカードの枚数を制限する、というもの。
十全に後方支援が使えないため、ベテランプレイヤー側の難易度が上がります。
通常は5枚まで置けるところ「4枚:手練れ」「3枚:百戦錬磨」「2枚:王者」「1枚:インヴィクタス」。
すでに勝ちまくり状態だぜ、という凄腕の方は、ぜひ「1枚:インヴィクタス」での勝利にも挑戦してみてください。
……まともではない人間の相手をまともにすることはない。by伊達政宗

また、もう一つ「ショートマッチ」というルールもあります。これは、短期決戦。
デッキ枚数を互いに「リーダー1枚+兵士10枚」と、およそ半数にしての戦いとなります。
……通常ルールで引き分けになった後の「決着戦」として行うことがマニュアルで推奨されてたりして。
そしてそして、このゲームの素敵な点は、他のバージョンと混ぜて遊ぶことも可能なところ。
『キング』と混ぜて遊ぶことで、さらにバトルの多様性が増します。
しかも、もうすぐ3バージョン目も発売されるとか。
……まだ深みを増すというのか。……アメイジング!

皆さんもぜひ『インヴィクタス・ザ・将軍』で、Let’s とことんやりこみプレイ!
――といったところで、今回はここまで。
以上、逃げ足の疾きこと風の如く、新井淳平がお送りしました。ではではまた~。

【ライター紹介】
新井 淳平(あらい じゅんぺい)
「小説家」兼「フリーライター」。
某専門学校のノベルス文芸学科で授業も受け持つ。
ボードゲームのプレイスタイルは、出遅れ追い上げ型。
ダイス運は、最悪だけどドラマティック。
【著書】
『シンデレラゲーム』(オリジナル小説・映画化)
『猫侍 久太郎、江戸へ帰る』(ノベライズ小説)
『猫侍 玉之丞、争奪戦』(ノベライズ小説)