ボードゲームレビュー第256回「リフト・オフ」

「リフト・オフ」
作者:ジェーレン・ヴァンダースティーン
メーカー:ハンス・イム・グリュック/日本語翻訳:メビウスゲームズ
プレイ人数:2~4人
対象年齢:12才以上
プレイ時間:約60~90分

 


 

毎度どーも、ライターの松風です。
皆さん、ロケット飛ばしてますか?  飛行計画は万全ですか? 技術力は十分ですか? 資金はありますか?
とにかく宇宙開発には様々な困難が付きまとうもの。
その難しさは、しょっちゅう映画の題材になったりもしますよね。
しかし、そんな達成困難な状況こそ、ゲームにしやすい題材でもあると言えるでしょう。

てなわけで、今回ご紹介するタイトルはこちら、『リフト・オフ』です!
レトロフューチャーを意識したようなアートスタイルが、ポップな感じで楽しいですね。
前振りの通りロケットを使って宇宙開発を進めようというのが主旨のゲームになります。
ですが、プレイヤーが宇宙飛行士になるゲームではなく、もっと全体のミッションを統括する立場をプレイする感じになるのが珍しいところ。
これをプレイすれば、あなたも宇宙開発の現場を体験……とまでは行かずとも、その流れは理解できるかも?
ゲームメカニクスとしてはドラフト&セットコレクションといったところでしょうか。

では早速ゲームの流れを見ていきましょう。
まず最初はスタートプレイヤーを決めます。
スタートプレイヤーは灰色の木製ロケットコマを受け取り、自分の色のロケットコマをゲームボード上の外周である『得点チャート』の2の所に置きます。
以下、時計回りの順で2づつ大きい場所にそれぞれのロケットコマを配置していくようにします。
(つまり4人プレイなら2,4,6,8の位置にコマが置かれるわけです)
先行プレイヤーが有利なゲームなので、後発プレイヤーにあらかじめボーナスがつくという措置ですね。

各ラウンドに行われるフェイズは2つだけ。
『スペシャリストパート』と『ミッションパート』です。

まずは『スペシャリストパート』からいきましょう。
このパートでは、まず各プレイヤーは指定された金額のお金と『スペシャリストカード』を2枚、手に入れます。(ゲーム開始直後のラウンドはこの部分は飛ばします)
そしてスタートプレイヤーは、ドラフトの方向を時計回りと反時計回り、どちらにカードを回すか決定します。
ドラフトに入ると、まずプレイヤーは手元にある3枚の『スペシャリストカード』のうち、2枚を隣のプレイヤーに渡すことになります。
それが終わると続いてもう一度、今度は1枚を、さっきと同じ方向に回します。
1回めと2回めで渡す枚数が変わるのが注意すべきポイントですね。

ドラフトが終わったらスタートプレイヤーから順に手番を開始します。
まず手元にある『スペシャリストカード』のうち1枚をプレイするのですが、その際際にまず右上のアイコンを見ましょう。
青い帯に稲妻マークが描かれているものは即時効果で、すぐにお金か勝利点を得られるものになっています。
黄色い帯に描かれているものは次の『ミッションパート』で効果を発揮するものです。

それから『スペシャリストカード』に書かれたアクションを実行していきます。
この時プレイを放棄するなら2金を得ることができます。
実質パスに相当する行動ですね。
『スペシャリストカード』のアクションは、『技術カード』を購入したりロケットをアップグレードしたりと役に立つものばかり。
しかし、中には手元に払えるコストがなかったり等、どうしてもタイミング的にそぐわないカードも出てきてしまいます。
そんな時にはカードを捨て札にして2金だけでも回収できるのはありがたいですね。

カードに2つのアクションが書かれている場合、両方やっても構いませんし、片方だけプレイしても構いません。プレイする順番も任意です。
カードのプレイが終わると手番は次のプレイヤーに移り、全員が1回ずつプレイしたら2回目のアクションを行います。
全員が2枚のカードをプレイし終えると『スペシャリストパート』は終了です。

続いて『ミッションパート』に移りましょう。
ゲームボード上には『ミッションカード』の山札置き場が1~4まであります。
このうち3と4の山はゲーム開始時には置かれず、ゲームが『フェイズ2』と呼ばれる段階に入った時に追加されます。
ゲーム開始時なら、まず1と2の山があるはずです。

このパートでは、スタートプレイヤーから順にゲームボード上にある『ミッションカード』の山札からどれか一つを選び、そこから3枚引いて1枚を選択します。
選んだ『ミッションカード』は自分の手元にあるロケットの左側『ミッション置き場』に表向きで配置していきます。
しかしこの時、すでに持っているミッションと同じものは選べない事に注意しましょう。(例外的に複数持てるミッションも存在します)

さて、ロケットの側に置かれた『ミッションカード』は、まだ「地上にある」と見なされる未達成のミッションです。
これをロケットで宇宙に運搬できれば、晴れてミッション達成となるのです!
カードを獲得し終えたら、スタートプレイヤーから順に最大3回まで、条件の許す限りロケットを打ち上げる事ができます。
打ち上げにかかるコストなどは『プレイヤーボード』にまとめられていますので、まずはそちらを見てみましょう。

『プレイヤーボード』に描かれている3本のマスのうち、赤いマスは『価格チャート』といい、ロケットを飛ばすためのコストを表しています。
つまり1回ロケットを打ち上げるのにかかるお金ですね。
これの初期値は5になります。
その右側にある黒いマスは『重量チャート』といい、ロケットのペイロード、つまり一度に宇宙に持って上がれるミッションの積載量を表しています。
これの初期値は1です。
(この2つの初期値はロケットにも描かれています)

そして下段にある緑のマスは『収入チャート』で、各ラウンド『スペシャリストパート』の頭に入ってくるお金を表しています。
これも初期値は5です。
さらに『プレイヤーボード』の左側には『研究所カード』がレベル1で置かれます。
『研究所カード』はなにげに重要で、この研究所のレベルより高い数字のミッションは行えないのです!
各チャートや研究所、ロケットをアップグレードさせるには、スペシャリストを活用するか、対応するミッションを達成するしかありません。

さて、『ミッションカード』を宇宙に打ち上げるのにはいくつかの条件をクリアしなければいけません。

●打ち上げるミッションのレベルが研究所レベルを越えていないか?
高レベルのミッションは、それに見合う研究所レベルが必要になってきます。
より高いレベルのミッションほど得られる効果も高いですし、『フェイズ1』の内はロケット打ち上げるだけで得られる勝利点も高いので、研究所は早めにレベルアップさせたいたころですね!
そして『研究所カード』をよく見ると、ロケットの絵が描かれているのですが、これが「1ラウンドに発射できるロケットの回数」を示しています。
最低1回は保証されているわけですが、スペシャリストの効果によって発射回数が増えていないと他の条件をクリアしていてもロケットは飛ばせないのです!

●ロケットのペイロードは足りているか?
『重量チャート』の数字は、そのまま「一度に宇宙に持っていけるミッションレベルの合計値」です。
例えば、重量3まで運べるロケットなら、一度にレベル1とレベル2のミッションを1枚ずつ、一緒に打ち上げられるわけです。
打ち上げ回数などの制限も考えると、まとめてミッション達成できるようにロケットをアップグレードしておくのは大事なことですよ!
ちなみにスペシャリストの効果で、そのラウンドだけ積載量を+1したりもできます。

●技術力は足りているか?
ゲームボード上の『ミッションカード』の山札置き場には、そのレベルのミッションを打ち上げるのに必要な技術レベルが示されています。
レベル1のミッションならば赤か黄か青の『技術カード』がどれか1枚必要ってことですね。
これが足りないと当然打ち上げもできないので、そのミッションは地上で腐り続ける事になってしまいます。
『技術カード』はスペシャリストの効果やミッションの達成によって手に入りますので、計画的に獲得していきましょう!

●資金は足りているか?
ロケットは一度の打ち上げで『価格チャート』の数値分だけお金を消費します。
スペシャリストの効果でロケットに追加の推進器を付けることで、この『価格チャート』を安い方へ動かすことができます。
しかし、積載量を増やすと逆に高い方へ移動してしまうのです!
ゲームを通じて燃費の問題は常に悩みどころになるでしょう。

すべての条件をクリアしてお金も払ったら、見事ミッションは宇宙に移され達成したことになります!
即座に『ミッションカード』と『研究所カード』に描かれているピースマークの上に書かれているだけの勝利点を得て、カードによる効果も獲得できます。
カード効果の部分に砂時計マークが描かれていたら、それはゲーム終了時に勝利点に換算する効果ですよ、という意味です。

プレイヤー全員がミッションを宇宙に運ぶ処理が終わったら、ラウンドは終了です。
使用した『スペシャリストカード』を捨て札にして、スタートプレイヤーマーカーを左隣のプレイヤーに渡し、次のラウンドを開始します。

4ラウンド行ったら、ちょうど『スペシャリストカード』の山札が切れるはずです。
そうしたら、『スペシャリストカード』の捨て札をシャッフルし直し、ゲームは『フェイズ2』へと進行します。
『フェイズ2』ではレベル3と4の『ミッションカード』が解禁され、ロケット発射に必要な『技術カード』の枚数も更新されます。

細かい所では『研究所カード』で得られるミッション達成時の勝利点も変動します。
全体的に安くなってしまうのですが、後半レベル3以上のミッションで稼ぐつもいでいても意外とシャレにならない差が付いてしまっている、なんて場合もありますのでミッションはまめに達成しておきましょう。

『スペシャリストカード』の山札が2回なくなればゲームは終了です。
つまり8ラウンドプレイすればゲーム終了ということですね。
あとは各種勝利点を合計して、最も高い得点を獲得したプレイヤーの勝利です。

このゲームの面白さはロケットを打ち上げることに集約されているわけですが、いろんな事に手を出していると意外とあっという間に終わってしまう印象があります。
でも、研究所のレベルだったり『技術カード』の枚数だったりロケットのアップグレードだったり、なるべく万遍なく上げていかないとうまく回ってくれないというジレンマ。
よくある「どこかの要素に特化したほうが強い」という理屈はこのゲームには通じません。
宇宙開発とは正にジレンマとの戦いでもあり、総合力が物を言う世界であるという事ですね!

しかし、色々やろうとしてもそうすんなりといかせてくれないのがドラフト要素。
ドラフトによって欲しいカードと他人に上げたくないカードの取捨選択が悩ましい!(まぁドラフトゲーの醍醐味は正にそこなんですが)
先を見据えつつもそのラウンドで出来ることをフルに活用しようと思えば、かなり頭を悩ませることでしょう。

あとゲームには全く関係ない要素なんですが、『スペシャリストカード』の「宇宙ステーションへの投資」を実行すると、実際にボード上に宇宙ステーションのモジュールを置いていくことができます。
こういったちょっと楽しくなるオマケ要素があるのも嬉しいですよね。

ロケットの打ち上げとか興味あるけど、どういう仕組みで行われているのか知らないという方にも予備知識無しで楽しめるのがボードゲームの良いトコロ。
このゲームをプレイすれば宇宙をもっと身近に感じられるでしょう!(効能には個人差があります)
もちろん、バリバリのゲーマー嗜好な方にもオススメです。
ルール自体はそこまで複雑ではありませんが、考えさせられるポイントが多いのはいいゲームの証ですね。
さぁ、あなたもこのゲームでロマンあふれる宇宙へ乗り出していきましょう!
人類最後のフロンティアに偉大な足跡を残すのはあなたかもしれません!

といったところで、今回のゲームはいかがだったでしょうか?
それでは、また次の機会にお会いしましょう。

 

ライター紹介

松風志郎(まつかぜ しろう)
ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。
アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。
世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。

代表作
歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ
大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ
恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
その他多数。