ボードゲームレビュー第29回「フンギ」

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フンギ(原題:fungi)
メーカー:Pegasus Spiele/日本語翻訳:ホビージャパン
作者:ブレント・ボヴィス
プレイ人数:2人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:20分~40分


 

 どうも、ゲーム大好きライトノベル作家の番棚葵です。
 今回は2人対戦型キノコ狩りゲーム「Fungi」をレビューしたいと思います。
 
 あなたが今いるのは森の中。すがすがしい空気を深呼吸して、今日はツイてるぞと予感します。先週はずっと晴れでしたが、雨のおかげで香り豊かな美味しいキノコを収穫するにはちょうどいい頃合いです。
(中略)もちろんフライパンとバターと料理酒も用意しているので、日が暮れてから山の中でたき火を囲んで収穫したキノコを賞味するのも楽しみです。今日はいい日になりそう!
(説明書より)

 この設定説明を読んでいるだけで、清々しいアウトドアライフの気分を味わえます。
 森の中、散歩をエンジョイしながらキノコを狩り、夜にはそれを美味しくいただくという、誰にも邪魔されない素敵な休日の予感!
 ただしこのゲーム、夜を表す「夜カード」なるものが8枚もあるので、どうやら9日間はキノコづくしの食生活で栄養が偏るんじゃないかと思うのですが、まぁドンマイ。
 美味しさの前に、人間健康を損なっても悔いはないと思うのですよ(ジャンクフード好きの発想)。

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 このゲームは山札から8枚のカードを表向きにして並べ、それで「森」を表現しています。
「森」のカードは端の1枚は毎ターン捨てられ、ベルトコンベア式に山札から補充され、森の奥へと進んでいく様相が表されています。
「森」の中にはもちろん「キノコ」のカードがあるので、それを収穫してゲーム進行をしていくのが基本的なゲームの流れとなります。
 ただし、この「森」の中には「フライパン」や「バター」や「料理酒」が落ちていたりもするので、それらを料理に使うのにはさすがにアウトドアライフとはいえ抵抗を覚えるのですが、美味いキノコを食べるにはそれくらいの覚悟もやむなしということなのでしょう。
 肝心な料理の仕方ですが、これは同種のキノコのカード3枚以上を集め、「フライパン」と一緒に出す(もしくは場に空の「フライパン」がある)ことで、料理を宣言できます。
 キノコに設定されている点数×料理に使った枚数がそのままプレイヤーの得点となるわけです。
 ここに、さらに「バター」や「料理酒」などの調味料を使うことで、点数が増加します。
 それぞれ1枚で4点や5点などの高得点を叩き出せるのですが、「バター」は同じキノコを4枚以上、「料理酒」にいたっては5枚以上を出さなければなりません。
 このゲームでは手札の枚数管理がかなりの肝となってくるので、同種のキノコが来てくれることを祈りつつ料理を先送りにするか、調味料は使用せずに料理してしまうかの二択を強いられることとなります。

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 先述しましたが、このゲームでは「いかに手札の枚数を管理できるか」が主眼に置かれています。
 初期の手札は上限8枚。「フライパン」に同種のキノコを5枚、「料理酒」を1枚持っても7枚ですので、理論上料理するのに何の支障もありませんが、それは1種類のキノコをストックする場合の話。
 キノコは種類によって点数が違い、点数が大きいほど枚数が少ないので、レアなキノコはとりあえず手札にストックしておかなければゲームには勝てません。
 また、狙ったキノコがすんなり場に出てきてくれればいいのですが、ノーコストで取れるカードは、「森」の8枚のうち端にある2枚だけなので、必要のないカードを取らなければならないこともしばしば。
 そして何より、このゲームでは手札を能動的に「捨てる」ことができません。必然的に手札は圧迫されることになり、8枚では足りないという状況が生まれます。
 その状況を逆手にとって、ゲームとしての面白さへと進化させているのが、数々の特殊カード及びルール。
 たとえば、「かご」のカードは手札の上限を+2してくれる上に、「かご」カード自体は手札に含まれません。持っておくと安心な、お役立ちカードです。
「ベニテングダケ」は手にした瞬間、手札の枚数の上限が-4されます(そのターンだけ)。
 一見、何の役に立つのか首を傾げるカードですが、能動的に手札を捨てられないこのゲームにおいて、必要のないカードを捨てることができるのはそれなりの利点があるのです。
「フライパン」カードは場に置いておき、料理のスタンバイが可能。手札を減らすのと、「森」に欲しいカードがない場合の時間稼ぎに使用できます。
 また、キノコのカードは同種のもの2枚以上を「杖」と交換することができ、「杖」はその枚数に応じて「森」の中のカードを自由に取得することができます。
 さらに、料理とかのしすぎでカードが少なくなっている場合でも、無問題。捨てられたカードは端に4枚までストックされていて、自分のターンでそのストックされたカードを全部回収することもできます。
 これにより、欲しかったけど相手に捨てられたカードを拾うことも可能なのです。
 これら数多くのサポート要素が、ゲームを勝ち抜けていくための鍵であり、「Fungi」の醍醐味と言っても過言ではないでしょう。

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 ところで、繰り返し説明しておきますと、このゲームはあくまで「2人対戦型」ゲームです。
 自分だけのほほんとキノコ狩りを楽しめればいいのですが、競走相手がいるとアウトドアライフも必然的にきな臭くなってきます。
 例えば、キノコのカードの中でも最高得点を持つ「アミガサダケ」は、ゲーム中3枚しか存在しません。
 そして料理に必要なキノコのカードは、同種3枚。
 この意味がわかりますね?
 貴重なアミガサダケを手に入れようと(もしくは相手に渡すまいと)、プレイヤーのガチな殴り合い(※イメージ)が始まるのです。
 また、「森」のカードは自分にも相手にも筒抜けになっているので、相手が何のカードを欲しがっているのかは、大体察しが付きます。
 余裕があれば、相手が欲しがっているカードを取って妨害もできますし、自分が欲しがっているカードを継続して手に入れるかどうかの判断材料にもなります。
 こうして熾烈なキノコ争奪戦を行い、料理の腕(点数)を見せ合い、勝者は敗者に対して優越感を、敗者は勝者に対して嫉妬を抱くことでしょう。
 あれれ、清々しい気分でのキノコ狩りは一体どこへ?
 いえいえ、これこそが厳しくも楽しいアウトドアライフ。生きるための糧を得るのは大変だという教訓と、物事は競争にすれば何でも楽しめる事実を、身を以て学べる貴重なゲームなのです。
 さぁ、皆さんも友達を誘って、素敵なキノコ狩りをエンジョイしましょう!

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ライター紹介

番棚葵(ばんだな あおい)
 ライトノベル作家。
 同人サークル「冒険者の館」でゲームも制作。
 古今東西問わずアナログゲームが好き。
 ボードゲーム、カードゲーム、TRPGなど様々なジャンルのゲームをたしなむ。

代表作
・ライトノベル
「生徒会ばーさす!」
「Dソード・オブ・レジェンド」
「神をしめなわっ!」他
(集英社スーパーダッシュ文庫より)
・ノベライズ
「カードファイト! ヴァンガード」
(角川つばさ文庫より)
・ゲーム
「メイガス」
(同人ゲーム)