ボードゲームレビュー第31回「中世の建築士たち」

中世の建築士たち(原題:The Builders Middle Ages)
メーカー:Asmodee/日本語翻訳:ホビージャパン
作者:フレデリク・ヘンリー/サブリナ・ミラモン

プレイ人数:2~4人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:約30分


 

<ご挨拶>
 どうも、はじめての方、はじめまして、高円寺と申します。

 再びキウイゲームス様のゲームレビューを担当させていただくことになりました。

 さて、今回僕がご紹介させていただくのはこちら。

『中世の建築士たち』

『よう、兄ちゃん! イイ身体してるな。どうだい、ウチで働いてみないかい?』
   
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 ―――あっ(察し)

 以前はまったくのど素人だった僕。

 それが今ではパッケージでだいだいのゲーム内容が推測できる……。

 スゴイね、人体♪

<概要>
「あの……これっていわゆる経営系統のゲームじゃないですか? ほら、いつぞやの『炭鉱ゲー』みたいな」
「なぜわかったし。うん、なんかそれの建築版っぽい」
「きっちりした性格のドイツ人とか好みそうなゲームですね」
「うん、あいつらにスコップとかハンマーとか渡しちゃ駄目だよね」

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なぜ穴を掘るのか? 
そこにスコップがあるからだ。

なぜ建てるのか?
そこにハンマーがあるからだ。

なぜ経営するのか?
そこに木材が存在するからだ。

 そんな心意気がモニター越しに伝わってくるのがおわかりいだけるでしょうか?

<スタートアップ>
 まずプレイヤーはそれぞれ労働者カード『見習い(Apperentice)』と10コイン(金貨1枚と銀貨5枚)を所持します。

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 次にテーブル中央に建物カードと労働者カードをシャッフルし、表向きにして各5枚ずつ写真のように並べます。

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 残りのコインはひとまとめにして隅に配置します。

 はい、察しのよい方ならこれが何を意味するか、もうおわかりですね?

 ――その通り、経営ゲームの基本『銀行』です。

 パッケージのサイズからもわかるように、この『中世の建築士たち』で使用するアイテムはこの3つだけです。

<内容物>
『建物カード(42枚)』
『労働者カード(42枚)』
『コイン(金貨15枚+銀貨25枚)』

と、非常シンプル。

 それだけにルールの説明も短く済むので、昼休みにでも始められるフットワークの軽いゲームと言えるでしょう。

 ただ、個人的なアドバイスを述べるとすれば、アクション数をカウントする物を用意したほうがよりスムーズに楽しめると思います。

<ゲームの進行>
 さて、いよいよゲームスタート、と行きたいところなのですが、その前に各カードに記述してある情報をご説明いたします。

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 これが『建物カード』と呼ばれるものです。

<左上から順に>

コイン:建物を完成させた際にプレイヤーが『銀行』から獲得するコイン数。

王 冠:建物を完成させた際にプレイヤーが獲得する勝利点。

レンガ:必要な石材の数。

木 材:必要な木材の数。

コンパス:必要な知識の数。

タイル:必要なタイルの数。

となります。

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 次に『労働者カード』です。

<右上から順に>

コイン:この労働者を現場に派遣させる際に払わなければならないコインの数。

レンガ:産出する石材。

木 材:産出する木材。

コンパス:産出する知識。

タイル:産出するタイル。

となります。

 はい、この『中世の建築士たち』はアクションとコインを支払って建物を建築し、建物を完成させることでコインと勝利点を獲得するゲームなのです。

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 では、実際にゲームを始めてみましょう。

 ゲームはあからじめ決めておいた先手プレイヤーから時計回り順に手番をプレイしていきます。
 手番の際にプレイヤーに与えられるアクション数は原則3アクションとなります。
 ただアクション数は1つにつき5コインを銀行へ支払うことで獲得できます。

 手番プレイヤーの行えるアクションは以下の通り。

建築の開始:アクション数1つを消費します。テーブルに並べられた建物カードの中から1枚を選び、それを自分の手前におきます。

労働者の手配:アクション数1つを消費します。テーブルに並べられた労働者カードの中から1枚選び、それを自分の手前におきます。

 なお、建物カードも労働者カードも、列の空いたスペースには山札から新しいカードをすぐ補充します。

 また1人のプレイヤーは消費するアクションが残っている限り、複数の仕事や複数の労働者を獲得することが可能です。

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労働者の派遣:建物カードの建築に労働者を手配しますが、その人数によって消費するアクション数が異なります。

 ●建物カード1つにつき労働者1人を派遣する場合、アクションを1つ消費します。

 ●同じ建物カードに、2人目の労働者を派遣する場合、追加で2つを消費します。
(つまり1(1人目)+2(2人目)=合計3アクション)

 ●同じ建物カードに、3人目の労働者を派遣する場合、追加で3つを消費します。
(つまり1(1人目)+2(2人目)+3(3人目)=合計6アクション)

 ●4人目以降も1+2+3+4...の要領でアクション数が追加されます。

<注意>
 また労働者を派遣する場合、労働者カードで説明したコイン数を銀行に支払うことを忘れないでください!!

コインの獲得:コインの獲得で消費するアクションは状況ににより異なります。

 ●1アクションを消費して、1コインを獲得します。

 ●2アクションを消費して、3コインを獲得します。

 ●3アクションを消費して、6コインを獲得します。

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 あ、建築に必要な資材と知識と労働力が揃いましたね。
 これで建物完成です♪
 この場合、プレイヤーは建物カードを裏返し、『完成状態』にすると銀行からコイン10を獲得し、勝利点2を得ます。
 なお、一度アクションを消費して雇用した労働者は自分の手元に残せますが、別の建築に派遣する場合は、やはりアクション数を消費します。

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 これらのアクションを時計回り順に繰り返していき、あるプレイヤーが勝利点17点になり、そのターンの最後のプレイヤーの手番の終了が、ゲーム終了になります。

<最後に>
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 このゲームのキモはやはり3アクションというアクション数の少なさでしょう。
 わずかなアクション数をどうやりくりして、コインと勝利点を獲得していくかが、戦略の重要な鍵となります。
 漠然とやるのではなく、今回次回の手番に自分が何をやるのかをハッキリさせておかないと建築が進行せず、手詰まりになってしまいます。

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 ここぞという時のために、『建築のための建築』=『設備』を完成させておくとよいかもしれません。
(これは一度完成させると、派遣の際、労働者のようにコインを消費しませんから)

 またこのゲームが本当にシビアなところは、勝利点17の獲得でゲーム終了しないところです。
 たしかにそのターンが最後になりますが、自分の以降のプレイヤーが最後の手番で勝利点17に届いてしまえば、逆転されることもあります。(ゲーム終了時、10コインにつき勝利点1が得られることをどうか忘れないでください!)

 『中世の建築士たち』は、シンプルであるがゆえに運の要素が絡むことの少ない、より深い経営戦略と効率のよい人材派遣が勝敗を左右するゲームと言えるでしょう。

 ―――と、ここまでがルールを踏まえた上での客観的な評価です。

 僕個人の私見を述べさせてもらえるとすれば、この『中世の建築士たち』はゲーム前半とゲーム終盤ではそのゲームの色合いががらっと変化するゲームです。

 ゲーム序盤は人材とそれを運用するための資金獲得が、プレイヤーの主な目的となります。
 つまり青写真を自分で描いて、それをいかに実行に直結させるのかが、ゲームの醍醐味なのです。

 しかし!

 ゲーム中盤以降、資金や人材が揃ってくるとアクション数1を5コインで購入できるため、勝負が決まるときは本当に一瞬です。
 次の手番で勝負決めると思っていたのに、他のプレイヤーの怒涛の建築ラッシュで一手届かない、なんてことはザラ。
 つまり、ライバルとの競争がゲームの主体になってきます。

 「間に合え!」と祈りながら、建築カードと人材カード、相手の状況をせわしなく見回す感覚。

 捨て牌から相手の手役を予想し、自分の手役を完成を急がせる麻雀の終盤が、これに一番近い感覚と言えるでしょう。

 さて、今回ご紹介させていただいた『中世の建築士たち』、いかがだったでしょうか?

 ちなみに僕は初回の取材プレイにおいて、勝利を収めることができました。

 ただしこれはゲーム序盤に建築を無視して、テーブル上に配置されている『有能な労働者の青田刈り』という一種の買占め作戦に出たからです。(雇うだけならアクション数を消費するだけで、資金を必要としないというルールの特性に気付いたため)

 いつからだろう……本当にいつからだろう!

 アナログゲームの『ア』の字も知らなかったかつての僕が、こんなにも黒い戦術を思いつくようになってしまったのは!?

 こんなヒドイ体に誰がしたぁ―――――!!

 それはともかく。

 この買い占め作戦以外にも、色々な戦術が隠されている『中世の建築士たち』。

 中世の建築レースを、お手軽に楽しんでください♪

 

ライター紹介

高円寺 克洋(こうえんじ かつひろ)
 コンシューマゲームのシナリオライターやプランナーを経て、現在はゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
 ハードボイルド作品や時代小説をこよなく愛するヘビースモーカー。

代表作
 シミュレーションRPG「ベルウィックサーガ」
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
 その他多数。