ボードゲームレビュー第33回「王と枢機卿」

kiwi_blogreview033_photo09F_140606a

王と枢機卿(原題:Kardinal und Koenig)
メーカー:ゲームフィールド
作者:ミヒャエル・シャハト(代表作:ズーロレット)
プレイ人数:3~5人
対象年齢:12歳以上
プレイ時間:約60分


 

 皆様、初めまして。もしくはお久し振りです。
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」代表の綺月と申します。

 先日は東京・ビックサイトで開かれました、ゲームマーケット2014に行ってまいりました。
 「ゲームマーケット2014のおはようからおやすみまで、見てきてください」と誰かにそそのかされたとか何とか。
 ともあれ開場時間には約1500人ものボードゲームファンが整然かつ楽しそうに並んでおられて、入場前からわくわくしまして。
 私が着いたのは10時ちょうどだったのですが、数分で入場できました。皆様のマナーの良さやスタッフの皆様の親切丁寧な運営にも、うれしくなったり。
 さて会場内は大盛況。あちらこちらで行列のできて、試遊卓やフリープレイ卓も大賑わい。
 早々に完売御礼の勢いもあれば、じっくりと閉会まで買いの手がやまない所も多く、メーカーさんや個人の出展者の皆様もうれしそうでした。
 もちろん、ゲームを買ったり遊んだりした参加者の皆様も、すごく楽しそうでしたよ!!
 今回の傾向ですが、主流はカードゲームですが、だんだんとマーカーや小物などコンポーネントに凝った国産ゲームも出てきてましたね。
 一方、海外の出展者、参加者は少ないように思えました。
 全体としては、参加して大成功のイベントだったと思います。開会から閉会、家に帰るまで、とても楽しく過ごさせて頂きました!
 主催者、運営スタッフ、出展者、そして参加者の皆様。すばらしいボードゲームのひとときを、ありがとうございます! 次回も楽しみですね!

 以上、ゲームマーケット2014のご報告でした。
 
 さて今回は、簡単なのに一筋縄ではいかない駆け引きが熱い陣取りゲーム、「王と枢機卿」をご紹介します。
 2000年にミヒャエル・シャハト氏が制作し、ドイツゲーム賞8位など評価の高いゲームです。その日本語版を、ゲームフィールド様が今回、発売されました。
 中世ヨーロッパを舞台に教会の有力者となったプレイヤーは、勢力争いを勝ち抜くために修道院を建て、ボードに描かれた地図の各地に枢機卿を派遣します。
 そして地域の支配力を競い、その同盟関係も利用して自分の影響力、すなわち勝利点を獲得していくのです。
 本作は役割の異なる2種類のコマの配置で陣取りを行うゲームですが、カードプレイなどの特徴があり、駆け引きに通じます。
 ゲームの中間と最後に行われる得点計算が、本作の戦略性を高め、多様な勝ち筋をプレイヤーに与えているのです。

kiwi_blogreview033_photo01F_140606a

 コンポーネントも、よくまとまっています。
 中世ヨーロッパを描いたボード。 ドイツで発売されたときの3~5人用の地図と、今回新たに3~4人用の地図が両面を描かれてます。
 どちらも地域ごとに色分けされ、紋章と修道院と道、同盟関係を示す数字が書かれてます。
 目を引きがちなのは色ですが、同じ色でも紋章が違うと別の地域となります。そこにご注意を。

kiwi_blogreview033_photo04F_140606a

 次に地域カード55枚。地域の色と紋章が書かれていて、駒を置きたい地域のカードを使います。各地域で数が違うのに気をつけて。持てる手札は3枚なので、駒をある場所に置きたいときにカードを用意できるか、カードの使い方もまた本作の重要な注目点です。

kiwi_blogreview033_photo05F_140606a

 ゲームのコマ。修道院コマ20個と枢機卿コマ8個が、各プレイヤーに与えられます。これをボード上の各地域に配置し、支配力を競うのです。

 あとスコアマーカーが各1つずつ、スタートプレイヤーマーカーを使います。
 拡張ルール「バチカン」用のボードとカードも入ってますので、よりスリリングなゲームを楽しみたい方は、この拡張を遊んでみてはいかがでしょうか?

 では、ゲームの進め方を説明しましょう。準備と進め方は、実に簡単です。
 
kiwi_blogreview033_photo03F_140606a

 まずは準備から。
 ボードの外側に描かれた得点トラックの「0」のマスに、参加プレイヤーのスコアマーカーを置きます。
 そして地域カードを人数分に調整して良く混ぜて山札にして置き、そこから表向きで公開2枚を並べます。プレイヤーがカードを手札に加える場合、この2枚か山札から選ぶのです。
 このあと各プレイヤーに3枚ずつ、山札から非公開で配って手札とします。
 なお捨て札は一カ所にまとめ、公開して置きます。
 あとはスタートプレイヤーを決め、その人の前にスタートマーカーを置きます。これはゲームが終わるまで動かしません。
 
 そしてゲーム開始。プレイヤーは時計回りに手番を回していきます。この手番がスタートプレイヤーから一巡するのを、ラウンドと呼びます。ゲームの終了条件の時、ラウンドは最後まで行われますので、気をつけて!
 手番では、大きく分けて2通りの行動ができます。

 一つ目。手番プレイヤーは手札から3枚まで地域カードを出せます。そして出したカード1枚につき、同じ色の地域にコマを1つ置いて下さい。修道院コマは空いている修道院の絵の上に、枢機卿コマは紋章の上に置きます。出したカードは捨て札として、まとめて置いてください。
 ただしカードの使い方とコマの置き方には、次のルールがあります。
 まず手番プレイヤーがコマを置けるのは、1つの地域のみです。複数の色のカードがあっても、選べる地域は1つだけです。
 そして誰もコマを置いていない地域には、1つしかコマを置けません。誰かのコマが置かれている地域には、2つまでコマを置くことができます。
 同じ色の地域カード2枚をセットとして出すことで、別の色の地域にコマを1つ置くことができます。
 さらに枢機卿コマは、その地域で修道院コマが最も多いプレイヤーの修道院コマの数だけ、置くことができます。自分が修道院コマを置いていない地域に置けますが、誰も置いてない地域には置けません。

kiwi_blogreview033_photo06F_140606a

 このもどかしい制限が、本作の妙だと思います。限られた手札と地域の選択から、最善手を考えるわけです。

 二つ目はカード交換です。
 カード1枚をカード置き場か山札から引いて交換します。手札から交換したカードは、捨て札にしてください。
 手番を使って次の手にカードを準備するわけです。また捨て札から狙いが読まれないよう、注意が必要になってくるかも。

 この二つのうち、どちらかを行えば手番終了、山札のカード置き場を補充し、次の人の手番となります。
 そして山札がなくなったとき、山札の公開カードは残したままゲームを中断して、一回目の得点計算である中間決算を行うのです。

 中間決算では、地域ごとの修道院コマのみを数えて、各プレイヤーが得点を獲得します。
 得点計算のルールは、以下の通りです。
 1つの地域に置かれた修道院コマを数え、1番多いプレイヤーはその地域の全ての修道院コマと同じ数の得点を得ます。
 2番目に多いプレイヤーは1番目のプレイヤーの修道院コマの数だけ、以後3番目は2番目の、4番目は3番目の、5番目は4番目の修道院コマの数だけ得点を得ます。
 修道院コマが同数のプレイヤーは同じ順位となり、同じ得点を得ます。
 修道院コマが置かれていない地域は、0点です。

kiwi_blogreview033_photo07F_140606a

 特徴的なのは、最多の修道院ゴマを置けば大量得点が狙えますが、他のプレイヤーがその地域にコマを置いてない場合は得点が伸びない事や、2番目や同数も十分に有利で、それを狙って効率の良い戦術も立てられる点ですね。
 この中間決算までは、修道院コマの順位が得点となるため、枢機卿ゴマをどうするか悩ましいところです。
 また同盟関係や道の得点を狙う場合、1つの地域に集中させず、狙いを気づかれない工夫も必要になってきます。
 この戦略性の高さが、本作の優れたゲーム性ではないでしょうか?

 では後半戦に行きましょう。捨て札を良く混ぜて新たな山札を作り、カード置き場に公開カードを補充します。そして手番プレイヤーの手札も、足りなければ補充します。
 そして再び山札がなくなるまで、同じようにプレイします。山札がもう一度なくなったら、その手番からスタートプレイヤーの前のプレイヤーまで手番を行ってゲーム終了。最終決算となります。
 今度は山札がなくなったら中断ではなく、そこからラウンド終了まで手番が行えますので最後の逆転があるかもしれません。油断せずあきらめずにプレイしましょう!

 最終決算ですが、まずは中間決算と同じように、各地域の修道院コマを数えて、各プレイヤーは得点を得ます。
 次に同盟関係を結んである地域を確認し、その二つの地域で最も枢機卿ゴマの多いプレイヤーが、その二つの地域の枢機卿コマの数だけ得点を得ます。
 そして最後に、道に沿って分断されずに四つ以上つながった同一プレイヤーの修道院コマがあれば、そのつながった数だけ得点を得ます。
 最終決算を終えたら、ゲーム終了です。  

kiwi_blogreview033_photo08F_140606a

 このように「王と枢機卿」は、ただ盤上にコマを置けば良いわけではなく、得点を狙ってコマをうまく配置する戦略性と、他のプレイヤーと競うことでより得点を増やす、あるいは競わずに得点を与えない、などの駆け引きがいくつもの局面で発生するゲームなのです。
 それでいてプレイ時間は30~60分。じっくりと遊べて、それでいて負担の少ない非常に優れたゲームではないでしょうか?
 中間決算で各プレイヤーの状況も使い見やすいですし、逆転要素も十分にあるのが魅力的です。

 特徴的なコマの配置や得点計算などのルールをプレイ前にしっかり納得できれば、最初から本作を楽しく遊べると思います。
 中世ヨーロッパを皆様の知恵と機転で、支配してみませんか?

 それではまた、次のゲームでお会いしましょう!!

 

ライター紹介

綺月鏡水(きづき きょうすい)
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」代表。
 ゲームシナリオライター・プランナー・シナリオディレクター
 専門学校講師「ゲームシナリオ・ゲーム企画等」
 アナログ、デジタルを問わずゲーム好き。
 メカアクションやファンタジー、戦記物、ラブコメなどのゲームシナリオを主に執筆。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ。
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」。
 対戦立体パズル「コンボる?」
 対戦カードゲーム「ぺあぺあ☆エクスチェンジ!」
 その他、多数。