ボードゲームレビュー第34回「究極の人狼 異端審問」

「究極の人狼 異端審問」
メーカー:アークライト
作者:レジェンド・ダン・ホフマン
プレイ人数:3~12人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:30~60分


 

 皆様、初めまして。もしくはお久し振りです。
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」代表の綺月と申します。
 
 今回はテレビ番組や映画、小説、マンガになるほどよく遊ばれているゲーム「人狼」を改良した「究極の人狼 異端審問」をご紹介したいと思います。
 「人狼」は中世ヨーロッパのある村を舞台に、人を食う怪物「人狼」に襲われた村人たちの、恐怖と葛藤に満ちた物語を遊ぶゲームです。
 正体不明の人狼に、親しい隣人が一人ずつ殺されていく恐怖。そしてその人狼が村の一員の誰かであり、次は自分が殺されるかもしれない恐怖。
 そして無実の罪で、あるいは本性を暴かれて殺されるかもしれない、恐怖。
 疑心暗鬼におちいった村人たちは、人狼と疑わしい者を選び、毎日一人ずつ処刑していきます。
 昼の処刑が正しかったか、あるいは間違っているのか。それは最後の朝まで分からず、村人たちは葛藤と後悔と恐怖の夜を、ただ眠るしかないのです。

 「人狼」が優れた題材として、ゲームの枠を超えたホラー作品として映画や小説、マンガで描かれるのも納得です。
 それらの作品に触れてから「人狼」を遊ぶと、いっそう楽しいものとなるでしょう。
 その「人狼」をゲームとして、より楽しみやすくやり応えのある内容に改良したのが、「究極の人狼 異端審問」なのです!

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 本作は「究極の人狼」という作品と同じ世界観ですが、内容は独立していて、がらりと変わっています。
 前作「究極の人狼」は、「人狼」の遊び方をそのままに、村の住人たちの人数、そしてその個性や能力を大幅に追加して、面白さをパワーアップしています。
 なんと5人から最大74人まで遊べるという壮大なスケール。しかも遊びやすいようシナリオが用意され、多彩な能力の住人に加えて人狼以外の怪物も登場し、第三勢力として暴れ回るのです。

 これに対し「究極の人狼 異端審問」は遊び方、すなわちルールを改良して、推理や投票などのやり応えを大きく向上させています。
 最大の違いは、全員が最後まで遊べること。プレイヤーは人狼に襲われた悲劇の村を救うべく訪れた、人狼狩りのスペシャリスト「異端審問官」なのです。
 そして「なるほど、これは人狼だ」と納得できるのが、この審問団に狡猾な人狼が潜んでいる驚愕の事実。プレイヤーは村人を救う人間の異端審問官か、仲間を助けに来た人狼の異端審問官として、悲劇の村の運命を争うのです!
 
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 まずはゲームを構成する内容物、コンポーネントを確認しましょう。
 ルールブックは、読みやすくまとまっていて、巻末には住居カードの説明が書かれているのがうれしいです。
 プレイヤーが人間か人狼か決める、異端審問官カードか12枚。「村人」と「人狼」の2種類がありますが、「村人」は人間の異端審問官、「人狼」は人狼の異端審問官だと考えると良いでしょう。村の住人とは別の扱いなので、ご注意を。

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 ゲーム中で能力を発揮し、推理や選択の手がかりとなる住居カードが19枚。住居カードは能力を使うと捨てられるもの、投票キューブを支払うものがあります。
 プレイヤーの救いを待つ村人を示す、住人カードも19枚。住人カードは住居カードとセットになっていて、人狼に食べられたり処刑されたりして捨て札になった場合、その住人カードに対応した住居カードも捨てられます。なので住居カードは能力を使う前に、住人と一緒に失われる可能性もあるのです。
 ゲームの運営を仕切る当番を示す、審問団長フィギュアが1個。この審問団長フィギュアはプレイヤーを順番にめぐり、ゲームの司会とカードや投票キューブの管理を回り持ちます。

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 そして昼にどの住人を処刑するか投票権を数で示す、投票キューブが50個。投票キューブを得ると、住居カードの能力や処刑の投票に使いたいのだと推理されます。もちろんその逆もありでしょう。投票キューブは積極的なプレイに必要ですが、その使い方が他のプレイヤーに手がかりを与えるかもしれません!

 以上のコンポーネントを使うことで、本作はプレイ感を高めつつもゲームから脱落者を出さず、最後まで人狼らしい推理と駆け引きを楽しめるのです。
 ではゲームの準備と流れを解説しましょう。
 まずはプレイヤーの人数でマニュアルの表に従い、人間と人狼の異端審問官カードをランダムで非公開でプレイヤーに配って、皆の立場を決めます。
 次に50個の投票キューブを一カ所にまとめて置き、投票キューブ置き場の「銀行」を作ります。ゲーム中で「銀行」から投票キューブがないときは、「銀行」から投票キューブを得ることはできなくなるので要注意。
 そして住居カードをランダムに12枚選び、縦3列横4列に表向きで並べます。住人カードもランダムに12枚選び、今度は内容が分からないよう、裏向きで縦3列横4列に並べます。残りの住居カードと住人カードは非公開で避けておいて下さい。

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 最後に、最初の審問団長となるプレイヤーをランダムで決めます。審問団長は審問団長フィギュアを受け取り、最初の司会役を行います。
 人狼が二人以上の時は、ここで「最初の夜」を行い、団長は自分を含めた全員に目を閉じるよう指示したあと、人狼だけ目を開けるよう告げ、人狼に誰が人狼か確認させます。そして人狼に再び目を閉じさせ、全員に目を開けるよう指示します。
 これで準備完了、では人狼に襲われている村の昼と夜を、過ごしていきましょう!

 昼は「住居カードの選択」「投票」「リンチ」の3つの手順に分かれます。
 まず「住居カードの選択」では、団長から時計回りにプレイヤーが1枚、住居カードを取ります。そして住居カードに書かれたアクションを行うか、銀行から投票キューブを2個受け取って下さい。住居カードがない場合も銀行から投票キューブを2個、受け取ります。この手番が一巡したら、「投票」に移ります。
 次の「投票」では、団長から時計回りにプレイヤーが手持ちの投票キューブを1個、いずれかの住人カードを選んでその上に置きます。投票キューブを持っていないプレイヤーのみ、パスができます。そしてこの手番が一巡して、最も多く投票キューブが乗っている住人カードが、次の「リンチ」の対象になります。乗っている投票キューブの数が同数の場合は、団長が「リンチ」の対象を選んで下さい。
 昼の最後は「リンチ」です。「投票」で選ばれた住人カードが処刑され、対応する住居カードと一緒に取り除かれます。またその住人カードの上に置かれた投票キューブは銀行に戻して下さい。もし住人カードが1枚しかない縦列が2つできたら、その2つを合体させて1つの列にして下さい。このとき置かれた投票キューブや住人カードの向きは、変えないように注意します。
 これで昼は終了し、夜になります。

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 夜ですが、4つの手順になります。マニュアルにはないですが、例えば「住人列を選ぶ夜」「犠牲者選びの深夜」「犠牲者判明の夜明け」「次の日の朝」と考えると分かりやすいでしょう。
 まず「住人列を選ぶ夜」で団長は住人カードが2枚以上残っている縦列を1つ選びます。その列に置かれた投票キューブを全て銀行に戻し、その列の住人カードを裏向きのまま全て手に取ります。
 次に「犠牲者選びの深夜」で団長が全員に目を閉じさせ、選んだ列の住人カード全てを時計回りの順に手渡しさせて一巡させます。この時、人間の異端審問官はカードを確認せず、次のプレイヤーにカードを渡す時だけ目を開けて、渡し終えたらまた目を伏せて下さい。人狼の異端審問官はカードの内容を確認し、順番を全て入れ替えることができます。これで最後になったカードが食い殺される犠牲者です。自分が人狼だと分からないよう気をつけて並べ替え、そして次のプレイヤーにカードを裏向きで渡して、目を閉じて下さい。
 こうしてカードが一巡したら、「犠牲者判明の朝」となります。団長は戻ってきたカードの順番通りに、住人カードを元の列に裏向きに並べます。その最後のカードが人狼に食い殺された犠牲者です。最後のカードを表向きにして、対応する住居カードを一緒に取り除きます。もしこの時、人狼が殺されていた場合、縦向きで置かれている全ての住人カードから投票キューブを銀行に戻し、カードの位置を覚えた上で団長に裏向きのまま集めてシャッフルさせ、元の位置にランダムの順で裏向きに置き直して下さい。横向きの住人カードは、投票キューブも位置もそのままです。
 そして「次の日の朝」です。全プレイヤーは昼に取った住居カードを自由に表向けで列に戻し、もし住人カードが1枚しかない縦列が2つできていたら、その2つを合体させて1つの列にして下さい。このとき置かれた投票キューブや住人カードの向きは、変えないように注意します。そして最後に団長は審問団長フィギュアを次の番のプレイヤーに渡し、再び昼から一日を続けるのです。惨劇が結末を迎えるまで。

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 惨劇の結末は、二通りです。村にいる人狼の数は決まっていますので、住人カード中の人狼の配分から逆算しましょう。
 住人カードの列から全ての人狼が取り除かれた場合、人間の異端審問官のプレイヤーの勝利です! 人狼は全て退治され、村は救われました!
 住人カードの列に残った人狼の数が、人狼ではない住人の数以上になったら、即座に人狼の異端審問官の勝利です! 全ての村人を食い殺し、仲間を救いました!
 
 このように「究極の人狼 異端審問」は、より手順やアクションをしっかりと形作ることで、ゲームとしての醍醐味を高めています。
 ゲーム中の用語で少し意味合いが重複して混乱しそうな点や、住人カードと住居カードの列と投票キューブの管理が少しややこしい点、犠牲者を決める際に正体バレを防ぐ注意が必要など、少し複雑でややこしいところはあります。
 ですがそれは「人狼」と比べてのことで、ボードゲーム全般から見えばむしろ、とても遊びやすいゲームだと言えるでしょう。
 また「自分が殺される」「脱落させられる」という「人狼」特有の感情移入はやや弱まりますが、その代わり最後まで遊べるというメリットは同等以上の満足感を与えてくれます。
 ですので本作は「人狼」の亜種ではなく、「人狼」のような雰囲気や駆け引きを別の遊び方で楽しめる、新しい内容のゲームなのだと思います。

 人狼に襲われた村で、最後まで戦ってみたいと思う方。異端審問官になってみませんか?
 はたしてあなたが救うのは人間か、それとも……人狼でしょうか?

 

ライター紹介

綺月鏡水(きづき きょうすい)
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」代表。
 ゲームシナリオライター・プランナー・シナリオディレクター
 専門学校講師「ゲームシナリオ・ゲーム企画等」
 アナログ、デジタルを問わずゲーム好き。
 メカアクションやファンタジー、戦記物、ラブコメなどのゲームシナリオを主に執筆。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ。
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」。
 対戦立体パズル「コンボる?」
 対戦カードゲーム「ぺあぺあ☆エクスチェンジ!」
 その他、多数。