ボードゲームレビュー第36回「パンデミック:新たなる試練」

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「パンデミック:新たなる試練」

メーカー:ホビージャパン
作者:マット・リーコック
プレイ人数:2~4人
対象年齢:13歳以上
プレイ時間:45分


 

 どうも、ゲーム大好きライトノベル作家の番棚葵です。
 今回はプレイヤーが力を合わせてクリアする協力型ボードゲーム「パンデミック:新たなる試練」(以下パンデミックと表記)をレビューしたいと思います。

 プレイヤーは高度な技術を持った医療研究チームの一員で、人類を滅亡させかねない四種類の病原体に立ち向かうことになります。
 いきなり人類の命運がその双肩にかかっているように見えますが、実のところこれがガチで、ゲームオーバー=人類滅亡という非常に重い内容となっております。
 ゲーム開始時、病原体を表すコマが世界の各都市にばらまかれますが、これが圧巻。
 何しろ都市には同色の病原体が三つしか置けず、それを上回ると他の都市に拡散(アウトブレイク)するのですが、ゲーム開始時にアウトブレイク寸前の都市が三つもあるのです。
 勘弁して! 思わず叫びたくなるような状況ですが、ここから泥縄気味に世界を救わなければならないプレイヤーたちこそ、いい面の皮ってもんです。
 政府とか上層部は、世界がこうなるまでどうして傍観していたのか、巨大な陰謀論のようなものが見え隠れしてゲームをよりスリリングなものにしてくれます(深読みしすぎ)。
  

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 さて、このゲームの目的は、各都市で病原体を抑えつつ、都市カードを集めて四種類の治療薬を作ること。
 そのためにプレイヤーは、自分を表すコマを各都市が描かれたボード上で操作していくことになります。
 手番中に行えるアクションは基本的に、移動、病原体の除去、調査基地の建設、同マス内にいるプレイヤーに都市カードを渡すなど。
 以上のアクションを合計四回まで行え、しかも同じアクションも複数行うことができるので、移動→移動先で病原体の除去→移動→移動先で病原体の除去など、実に効率よく行動することが可能となるのです。
 裏を返せば、効率的に行動しなければとてもゲームクリアは不可能ということで、プレイヤーたちには戦略的な思考を要求されます。
 都市カードは同色のものを五つ集めなければ治療薬は作れないのですが、都市カードの譲渡はその都市でしか行うことができない→治療薬を作る係を決めて各都市で上手に落ち合わなければならない。
 病原体はアウトブレイクすると、近隣の都市すべてに病原体をまき散らしてしまう上に、その近隣の都市も病原体が三つ以上だと連鎖してアウトブレイクを起こしてしまう→アウトブレイクの可能性がある都市は常に病原体を除去しなければならない。
 かようにプレイは常にめまぐるしく行われ、協力型だからといって一息つく余裕はありません。
 特にアウトブレイクが厄介で、これを起こしすぎると問答無用でゲームオーバーとなってしまいます。なので、病原体の数は常に減らしておく必要があるのです。
 さらに、都市カードは自分の手番の終了時にめくることで手に入れるのですが、この中には「エピデミックカード」なるものが紛れています。
 これを引くと、問答無用で一都市に病原体が三つ置かれ、今まで捨て札になっていた感染カード(プレイヤーが自分の手番終了時に引くもので、書かれてある都市に一個ずつ病原体がばらまかれる)が山札に戻るという、情け無用な展開が炸裂します。
 三つ病原体が存在する都市の感染カードを引けば、そこは問答無用にアウトブレイクするので、注意が必要です。注意しても結局は運頼みなので、意味はないのですが。
 かように過酷な状況の中、プレイヤーたちは病原体との戦いを強いられていくのです。

 

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 しかしご安心を。
 先にも述べましたが、プレイヤーたちは高度な技術を持った医療研究チームの一員であり、プレイヤー自身も大変有能な人材なのです。
 プレイヤーには役割カードというものがランダムで配られるのですが、これにはプレイヤーの職業が決められてあり、その職業によって特殊な能力を発揮するのです。
 例えば「衛生兵」は、病原体の除去の際に「その都市にある同色の病原体すべてを除去する」ことができ、さらに病原体に対応する治療薬を持っていれば、「都市についただけでその病原体をすべて除去する」ことが可能です。
 有能というか、ミュータントといわんばかりの素敵能力っぷりですが、これはもちろん彼にのみ限りません。
「検疫官」は自分のいる都市と隣接する都市に、病原体が感染するのを防ぎます。
「通信指令員」は仲間のコマを、他の仲間のコマのところに移動させることができます。
「危機管理官」は一度使ったイベントカード(使用することでゲームの進行がぐんと楽になるカード。都市カードと同じ山札に混じっている)を拾い上げてきて、もう一度使うことが可能です。
 どれもこれもゲームを進行させる上で重要な能力を持っており、この能力があるからこそプレイヤーには一筋の希望の光が見えてくるのです。
 また、プレイヤーが行うアクションにも色々な工夫がこらしてあり、移動の際には「都市カードを捨てることでその都市カードに直接移動ができる」「調査基地が複数あれば、ある調査基地から違う調査基地に直接移動ができる」など、上手く使いこなせばさくさくとしたゲームクリアも夢ではありません。

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「パンデミック」は協力型ゲームの元祖ともいうべきゲームで、その難易度は後発の協力ゲーム(難易度:基本死ぬ)に比べれば、易しい方です。
 先ほども述べた役割カードの能力の持つチートさ、加えて移動の方法やイベントカードなど、救済措置になる仕掛けがそこかしこにちりばめられているのが原因でしょうか。
 さらに、「エピデミックカード」の感染カードの山札に対する封入の仕方も少し凝っていて、一ゲームに対してなるべく出現が偏らないように設計されています。
 協力ゲームをやってみたい。でも、どれもこれも殺意が高くていまいちとっつきづらい。
 そんな人は一度、このゲームをプレイしてみるといいでしょう。
 四種類の治療薬をそろえ、人類を救った暁には、皆の心に得も知れぬ達成感と連帯感が生まれますよ!

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ライター紹介

番棚葵(ばんだな あおい)
 ライトノベル作家。
 同人サークル「冒険者の館」でゲームも制作。
 古今東西問わずアナログゲームが好き。
 ボードゲーム、カードゲーム、TRPGなど様々なジャンルのゲームをたしなむ。

代表作
・ライトノベル
「生徒会ばーさす!」
「Dソード・オブ・レジェンド」
「神をしめなわっ!」他
(集英社スーパーダッシュ文庫より)
・ノベライズ
「カードファイト! ヴァンガード」
(角川つばさ文庫より)
・ゲーム
「メイガス」
(同人ゲーム)