ボードゲームレビュー第38回「GODS’ GAMBIT」

kiwi_blogreview043_photo01F_140711a

「GODS’ GAMBIT 神々の一手」
 発売元:アークライト
 作者:カナイセイジ(代表作:ラブレター)
 プレイ人数:2~6人
 対象年齢:10歳以上
 プレイ時間:20分


 

 皆様、初めまして。もしくはお久し振りです。
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」代表の綺月と申します。
 
 今回はカードゲーム「GODS’ GAMBIT」を紹介致します。
 本作は2012年日本ボードゲーム大賞受賞や、ドイツ年間ゲーム大賞の推薦リストに入った傑作「ラブレター」の作者、「カナイセイジ」先生の最新作です。
 しかも大人気イラストレーター「緒方剛志」先生の、神秘的な世界観とキャラクターが、とても魅力的。
 まさに世界に向けて新進気鋭の「SWICH GAMES」渾身の一作です。

 しかしカナイセイジ先生の作品の特徴は、遊びやすさと奥深さ。
 一見、相反するこの二つの要素を、両立どころか作品の妙に仕立て上げるのが、すばらしいと思います。

kiwi_blogreview043_photo03F_140711a

 まずは緒方剛志先生の、素敵なイラストで彩られたカードをご覧あれ。
 プレイヤーは「天界から墜ちた神々」となり、下界で善行を積み、天界に戻るのが目的です。
 ただし戻れるのは、ただ一柱のみ。
 時には荒ぶる神として、他の神様に災いを与え、天界の唯一神を目指すのです。

 このようにダークファンタジーな要素もあって、ワクワクさせられる「GODS’ GAMBIT」。
 簡単にプレイの進行を説明しますと、いわゆる「UNO」系のゲームで、色合わせ、数字合わせで手札を場に出していき、早く手札を無くした人がラウンドを勝ち抜け、残りの負けた人は持ってるカードの数字を負け点として得ます。このラウンドを、3回行うのです。
 ラウンドの進行は、まず準備です。
 カード一覧と白紙カードを除く100枚をよくシャッフルして「山札」を作り、全員に「手札」を7枚配ります。そして山札を上から1枚めくり、「場」に置いて「場札」とします。
 この時「喇叭吹き」のカードが、手札や場札に出た場合、取り除いて別の場所に置きます。この時、手札の補充はしません。
 喇叭吹きのカードは、ラウンドの終了を不規則にする特殊なカードで、喇叭吹きが四枚めくられると、そのラウンドは終了になり、負け点計算になります。ゲーム中に山札からカードを引いたときにも、喇叭吹きのカードだけは即座に公開し、効果を発揮するので気をつけて下さい。
 そしてスタートプレイヤー(神)を決めます。もし最初の「場札」が「ワイルドカード」だった場合、スタートプレイヤー(神)が自由にその場札の色を決めることができます。
 これで準備は終わりです。ラウンドを開始します。

kiwi_blogreview043_photo08F_140711a

 ラウンドは、時計回りで順番に手番を回していきます。
 自分の手番では、「手札」から「場」にカードを1枚出すか、カード1枚の効果を使って「使役」するか、「山札」からカードを1枚補充するかのいずれかを必ず行います。「使役」の処理を終えたカードは「カルマ」となり、自分の「カルマ置き場」に置きます。また補充した後に、「手札」から「場」にカード1枚を出すこともできます。手番のパスはできません。
 「場」に出せるカードは、「場」の一番上にある「場札」と同じ色か同じ数字のカード、もしくは全ての色として扱う「ワイルドカード」です。
 「ワイルドカード」を出したプレイヤー(神)は、その「場札」の色を自由に決められます。
 手番を終えたら、次の順番の神に手番が移ります。
 そしてラウンドを勝ち抜けられるのは、最も早く「場」に最後の一枚を出した神、ただ一柱です。
 彼以外の神々は、その場で残った「手札」と自分の「カルマ置き場」のカードの点数を合計して、負け点を記録します。
 3ラウンドの負け点を合計して、一番少なかった神が勝者! 天界に返り咲き、「唯一神」として君臨します!

 「私だ」
 「お前だったのか」 

 ですがこの神々の争い、唯一神の座をかけるだけあって、暇をもてあましたどこぞの神々の遊びとは、ひと味違います。
 神々は善行を積むために、敬虔な信徒や忠実な眷属に奇跡の力を与え、「使役」できるのです。

kiwi_blogreview043_photo02F_140711a

 この一覧にある19種類のカードとその効果が、プレイヤー達(神々)が信徒と眷属に与え、用いる奇跡の力です。
 単純明快で、うまく組み合わされた多彩な特殊効果が、積極的なカードのプレイを楽しませてくれます。
 しかし強力な効果であればあるほど、負け点が高いのです。また「UNO」本来のワイルドカードとしての効果があるカードも、やはり負け点が高い。

kiwi_blogreview043_photo09F_140711a

 そして本作の一番の要点は、「効果を使って『使役』したカードは、自分の『カルマ(業)』となって残る」という点です! 
 そう……本作は「手札」を「場」に出すのと、効果を使って「使役」し「カルマ置き場」に出す、という二種類の出し方を選択しなければなりません。
 「カルマ置き場」に置かれたカードは、もしラウンドで勝ち抜けられなかった場合、その数字が負け点になります。
 そしてラウンドを勝ち抜けられるのは、最も早く「場」に最後の一枚を出した神、ただ一柱なのです。
 強力な効果を使えば使うほど、「カルマ置き場」にカルマがたまり、勝ち抜けできなければ負け点として積み上がり、勝利を遠ざけてしまうのです!
 まさに、神の業!

kiwi_blogreview043_photo06F_140711a

 しかもこのカルマを他の神に押しつけるカードや、カルマや「手札」を「解消」して減らすカード、手番を連続させたり、手番で無くても使役を妨害できる「防御」があったり、きわめて強力なカードばかり。
 点数が低くリスクの少ないカードでも十分に有用なので、「使役」したい誘惑に駆られます。
 このため状況に応じたいくつもの選択ができますし、他の神との駆け引きや勝ち筋の読み合いが、激しく交わされるのです。
 もちろん「使役」に頼らず、正攻法で勝つのもかなり有力な手です。「使役」していち早く「手札」を減らし速攻を狙うのも手ですし、勝ちそうな神にカルマを押しつけて逆転勝利という離れ業もできます。
 さらに「場札」の変更や「喇叭吹き」という状況の急変が、神々の戦略を大いに試すでしょう。

kiwi_blogreview043_photo04F_140711a

 ちょっと気になったのは、点数計算です。本作ではメモと筆記具をご用意下さいとのことですが、私たちはチップを使いました。点数は三桁まで行きます。
 できればプレイヤーに用意してもらうより、あらかじめチップなどがセットに入ってる良かったかなと思います。
 またカード効果が多いので、ボードゲームやカードゲームに不慣れな人には、やや敷居が高いかも知れません。そこはご注意を。
 「UNO系」のパーティゲームと言うより、お手軽でがっつり競い合えるライトな本格派、というイメージがいいかもしれません。 

kiwi_blogreview043_photo08F_140711a

 さあ、貴方の「神の一手」は、どう指しますか?  

 

ライター紹介

綺月鏡水(きづき きょうすい)
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」代表。
 ゲームシナリオライター・プランナー・シナリオディレクター
 専門学校講師「ゲームシナリオ・ゲーム企画等」
 アナログ、デジタルを問わずゲーム好き。
 メカアクションやファンタジー、戦記物、ラブコメなどのゲームシナリオを主に執筆。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ。
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」。
 対戦立体パズル「コンボる?」
 対戦カードゲーム「ぺあぺあ☆エクスチェンジ!」
 その他、多数。