ボードゲームレビュー第4回「花火」

「HANABI花火」
発売元:カクテルゲームズ/ホビージャパン
作者:アントワーヌ ・ボウザ
プレイ人数:2~5人
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:約30分
2013年ドイツ年間ゲーム大賞受賞
※11月中旬再入荷予定


 

 皆さん初めまして!  ライトノベル作家の番棚葵と申します。
 最近では「メイガス」なるカードゲームの制作も手がけ、その縁あってか、キウイゲームズさんでゲームのレビューをさせていただくことになりました。
 よろしくお願いします!

 さて、今回レビューするのは、「世界の七不思議」などのヒット作を飛ばした「アントワーヌ・ボウザ」デザイン「HANABI花火」。
 シンプルで気軽に遊べる内容ながら、その面白さゆえに2013年ドイツ年間ゲーム大賞まで受賞した「小さな巨人」なのです。

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 花火は夜空を彩る芸術品。
 首都が芸術の都たるフランスから発売されたこのゲームも、 「花火」の名だけあってさぞかし華やかなものだろうと説明書を見てみると、

「プレイヤーは、ある花火大会で火薬と導火線と発射薬を誤って混ぜてしまったうっかり者の花火師です。花火大会はすでに始まってしまっていて、パニック寸前です。花火師たちは互いに協力して、大惨事を防ぐことになります」(訳文より)

 絢爛豪華な夜の芸術に、突然サバイバルの予感が!!
 花火そのものではなく、花火職人が主役となって奮闘するという辺りに、「これは芸術ではない、あくまでゲームだ!」という制作者の強いゲーム愛がうかがえる気がします。

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 プレイヤーは人数に応じた枚数分花火の描かれたカードを手札として配られ、自分はその表を見ずに、他プレイヤーに見えるようにします。
 カードは5種類の色と1~5の数字で構成されていて、同色のカードを1→2→3→4→5と昇順に並べていくのが目的となります(各色1列ずつ)。
 スタートプレイヤーから順に自分の手番を処理していくのですが、この時プレイヤーができるのは次の3つの行動のうち1つだけ。

・手札からカードを1枚捨てる
 カードを捨てることで、情報を教える(後述)ためのトークンを入手できます。
 5のカードなどは各色に1枚しかないので、うっかり捨ててしまうと大惨事になります!
 捨てた手札のぶん、カードは山札から補充されます。

・手札からカードを1枚プレイする
 各色ごとに花火を作るため、カードを1枚出します。
 この時、どの列にも置けないカードを出してしまうと、お手つきとなってしまいます。
 3回お手つきをしたらゲーム終了ですので、慎重に行う必要があります。
 捨てた手札のぶん、カードは山札から補充されます。

・他のプレイヤーの手札の情報を教える
 このゲームの最大の肝です。
 他のプレイヤー1人が持つ手札に対して、色を1種類か数字を1種類選び、どのカードが該当するか教えることができます。
 教えられたプレイヤーはこの情報から自分が何のカードを持っているか推測し、カードをプレイしていくことになるのです。

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 情報を教えるのがこのゲームの最大の肝と言いましたが、それはこのゲームが「情報を的確に伝えるのが難しい」ため。
 情報は1種類の色か1種類の数字だけしか教えられません。
 1度に与えられる情報は極めて少ないのです。
 しかも、教える色、もしくは数字は、相手が手札で複数持っている場合は必ずすべて教えなければならないというルールが存在し、これが微妙にトラップになってます。
 例えば、白色の列が1~3まで揃っているので、白の4を持っているプレイヤーに「これが4だよ」と教えて、それを出させたい。
 が、そのプレイヤーが他にも4のカードを持っている場合、それも4だと伝えなければならず、相手は「どの4を出せばいいんだ!?」と混乱することになるのです。
 さらにこの情報の伝達は、1回行うごとにトークンを消費するため、実行回数にある程度の制限がかかります。
 つまり、ただ無闇に情報を出すだけでは手詰まりになりかねません。そこで、出した情報自体に意味を持たせる必要が出てきます。
 つまり、

「ここでわざわざ3だと教えたのは、この1~2が唯一揃っている緑の列に出せって意味なんだ!」
「赤が出きってる状況で、あえて赤の情報を教えたんだ。それを捨ててトークンを稼いで!」
「捨て札や違うプレイヤーの手札で緑の2は出尽くしているんだ。今教えた2は違う色だと気づいてくれ!」

 こんな感じで常にやきもきしながら、自分が出した情報の意図を汲み取って欲しいと、相手に一心不乱に祈るハメになるのです。
 他人にハイレベルな要求をするということは、自分もそれに応える必要があるわけで。
 与えられた情報を記憶し続けなければならないゲーム性も相まって(裏面しか見えないカードと情報の照合は莫大な記憶力を要します)プレイヤーの頭はともすればパニック状態に!
 特にカードをプレイする時、そのカードが本当に正しいのかどうか、何度も自問自答することもしばしばなのです。

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 そんなもどかしさを抱えたルールだからこそ、花火が同色で1~5まで揃った時の達成感はもう最高!
 ご褒美に情報用のトークンまでもらえて、「よーし、この調子で他の色も揃えるぞ」と今までの苦しさを忘れちゃうこと請け合いです。
 5枚5列を完成させることは難しいですが、お手つき3回や途中で山札が尽きてゲーム終了となっても、並べた枚数に応じて「国際花火職人連盟」から芸術的印象(評価)をありがたくいただけます。
 つまり実質ゲームオーバーは存在しないわけで、協力ゲームと言ってもその辺はシビアではなく、むしろ友人や家族とわいわい楽しんで遊ぶことが可能!
「今回は13枚しか並べられなかった。悔しい、次は18枚! そしていずれは25枚!」
 ……と、向上心も、むくむと育つこのゲーム。
 機会があればぜひ一度プレイすることをオススメします!

 気心の知れた友人たちとやれば、きっと情報も爽快に伝わり、楽しさも倍増しますよ!
(注・情報伝達がうまくゆかずリアルファイトに発展しても、当局は一切関知しません)

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ライター紹介

 番棚葵(ばんだな あおい)
 ライトノベル作家。
 同人サークル「冒険者の館」でゲームも制作。
 古今東西問わずアナログゲームが好き。
 ボードゲーム、カードゲーム、TRPGなど様々なジャンルのゲームをたしなむ。

代表作
・ライトノベル
「生徒会ばーさす!」 「Dソード・オブ・レジェンド」 「神をしめなわっ!」他 (集英社スーパーダッシュ文庫より)
・ノベライズ 「カードファイト! ヴァンガード」 (角川つばさ文庫より)
・ゲーム 「メイガス」 (同人ゲーム)