ボードゲームレビュー第47回「コンセプト」

 「コンセプト」(原題:CONCEPT)

発売元:ホビージャパン
作者:アラン=リボレ、ゲートン=ブジェノー
プレイ人数:4~12人用
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:40分

 


 

<ご挨拶>
 どうも、はじめての方、はじめまして、高円寺と申します。

 またまたキウイゲームズ様のゲームレビューを担当させて頂きました。

 さて今回、僕がご紹介させていただくのはこちら。

『コンセプト』

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になります!

<概要>
 まずパッケージで目を引くのは、おびただしい数のアイコンで象られたクエスチョンマーク。

 この時点での情報で、この【コンセプト】がプレイヤーに作業ではなく思考を求めていることが伺えますが、とりあえず中を見てみましょう。

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 取り出したのは、まず一枚の大きなゲームボード。

 ずらりと並べられたアイコンは、パッケージに描かれていたもの。

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 そのアイコンの多様さもさることながら、コミカルなイラストとは裏腹に、かなり考え抜かれた情報量なのが後に判明します。
 まずは【コンセプト】の醍醐味を、順を追って説明しましょう。

<スタートアップ>
 先に紹介したゲームボードを全員が見やすく、また手が届く位置に配置します。

 次に、以下の準備を行います。

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 左側に見えるのが、コンセプトカードになります。このカードをよくシャッフルし、一つの山札にしてゲームボードの脇に配置します。
 
 さらにメインコンセプト用となる『?』の形をしたトークンと、『!』の形をしたサブコンセプト用のトークン、そしてそれと同じ色をしたコマ。

 小さなコマの色はメイントークンとサブトークンの配色に合わせてあり、数はそれぞれ8個になります。

<ゲームの進行>
 では実際に、ゲームを始めてみましょう。

 ゲームはあらかじめ決めておいた、スタートプレイヤーのチームから開始します。

 ―――え? チーム?

 はい、そうです。

 実はこの【コンセプト】、ゲームの進行は『テーブルに着席した、隣同士の2人』で常に進行していく、珍しい形のゲームなのです。
 
 そして最初のチームは山札からコンセプトカードを一枚引き、他のプレイヤーに当ててもらう『お題』を一つ選びます。

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 次に『?』の形をしたメインコンセプトトークンを、ゲームボードに描かれたアイコンの中でもっとも【大きいヒントになるアイコン】の所におきます。

 そして、そのメインのヒントを補助する情報のアイコンのところに、同じ色の小さなキューブを配置して、さらに詳細にしていくのです。

 ここまで文章のみで記述してもピンとこない方もいらっしゃると思うので、一つ例えを示させていただきます。

 例)『お題』:車寅次郎

 まずはこちらの写真を、ご覧いただけますでしょうか?
 
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 中央に配置されたボードのアイコンには、これらの意味が含まれおります。

 そしてお題が『寅さん』だった場合、最大のヒントは当然『男性』となるので、ここに『?』のメインコンセプトトークンを配置し、同じ色のキューブを『フィクション、空想、願望』のアイコンにおきます。

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 え? どうしてかって?

 そりゃお題が『渥美清』ではなく、『車寅次郎』だからです♪

 そして『!』のサブコンセプトトークンを、カメラの形をした『劇場、フィルム、映画』に配置し、同じ色のキューブを『テレビ、放送、シリーズ』に置くとよいでしょう。

 さて……ここまでは、誰でも似たようなヒントの出し方になると思います。

 しかし、これだけだと解答プレイヤーは、おぼろげに『映画に出演している架空の人物』であることはわかりますが、それが一体、誰を指すのか分かりません。

 ここから出題チームの、センスが問われるところです。 
 皆さんはどのようなヒントを出すことで、プレイヤーに『彼』であることを伝えますか?

 ――少し考えてみましょう。

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 皆さんは、どのようなものを思いつかれましたか?

 私達がプレイをした時に出てきた妙手は、このようなものでした。

 別の色の『!』のサブトークンを『男性』に配置し、同じ色のキューブを『悲しみ、ネガティブ』に配置するというものでした。

 はい、これで『男はつらいよ』という情報を表現してみせたんですね。

 正解者のプレイヤーには2点の勝利店トークン1枚が与えられ、出題チームのプレイヤーにもそれぞれ勝利点1点ずつのトークンが与えられます。

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 その後、時計回りの順で次の2人のプレイヤーが新たなチームとなり、新たに山札からコンセプトカードを一枚引き、当ててもらう『お題』を選びます。

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 そして最終的に、2点の勝利点トークンが全てプレイヤーの手へ渡るとゲーム終了、最高得点を獲得したプレイヤーが勝者となるのです。

<最後に>

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 この『コンセプト』をプレイするに、あたって注意する点があります。

 一つは、お題がきちんと「日本人向け」になっていること。海外のゲームなので、海外の常識や物事だと、先入観を抱きやすいのです。先に何枚かお題カードを参加者全員で見て、先入観を解いておきましょう。

 そしてもう一つ、プレイでの注意点ですが。

 他のチームが出した『お題』を当てることも重要ですが、『お題』を出すほうもかなり頭の回転を要求されます。

 なぜならルール上『解答プレイヤーは、思いついた時点で何回でも解答できる』と設定されているからです。

 このルールは一見、ゲーム設計に抽象的な情報伝達を用いているがゆえの、温情ルールのように見えます。

 しかし当てられなければ勝利点を獲得できない出題チームが、ヒントを乱発した場合、かえって解答プレイヤーたちを混乱させる恐れが常につきまとうのです。

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注意)『お題』は上から初級、中級、上級で三つずつ用意されています。クラスがあがればあがるほどマニアックなものに(笑

 出題する前によく話し合って、確実だと自信のある『お題』を選ぶことが、このゲームの鍵となるでしょう!

 以上、今回ご紹介いたしました『コンセプト』、いかがだったでしょうか?

 僕がプレイする前の感想としては随分、ムラのあるゲームだなと思いました。

 こういったクイズ感覚のゲームは、他にもあります。

 例えば粘土をこね回すことでお題を当てていく、『バルバロッサ』というゲームを遊んだ事があります(キウイゲームズ様のゲームレビューにありますので、興味のある方はそちらをどうぞ)。

 この作品はフランス大賞作で、ドイツでも大賞にノミネートされている注目作とのことでしたが、知識や言語に依存しているため、プレイする人間によってゲーム内容の質が大きく変化する『ムラのあるゲーム』と感じてしまったのです。

 ―――ところが。

 実際にやってみると不思議とこれが面白く、気がつけば僕のほうからレビューを担当させて欲しいと願い出ていました。

 はい、楽しかったのです。

 その楽しさを強いて言葉に起こすとすれば、『通訳』と言えるでしょう。

 まったく言語の異なる相手に、四苦八苦して自分の意図を伝える。

 『外人さんと、相手の反応を見ながら、コミュニケーションを取る時』のあの面白さと達成感と言えば、皆さんにも伝わるかと思います。

 そう思えば、フランスとドイツの二カ国で二冠を達成したのもなるほどなあ、と頷いてしまう僕なのでした。

 皆様にもぜひ、この楽しさが伝わればと思いつつ、レビューを終えさせて頂きます。

 それでは、また!!

 

ライター紹介

高円寺 克洋(こうえんじ かつひろ)
 コンシューマゲームのシナリオライターやプランナーを経て、現在はゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
 ハードボイルド作品や時代小説をこよなく愛するヘビースモーカー。

代表作
 シミュレーションRPG「ベルウィックサーガ」
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
 その他多数。