ボードゲームレビュー第48回「DORASURE」

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 「DORASURE」

発売元:ジャイアントホビー
作者:KTR
プレイ人数:2~5人用
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:30分


 

 どうも、ゲーム大好きライトノベル作家の番棚葵です。
 今回は冒険者たちが集い、ドラゴンを倒すという壮大な協力型ボードゲーム「DORAS
URE」をレビューしたいと思います。

 プレイヤーはハヴィニア地方に集う冒険者となり、この近辺に住み着いてしまった邪悪な
ドラゴンを倒すのが目的となります。
 任意あるいはランダムでキャラクターカードを選択し、そこに描かれているキャラクター
を用いてゲームを進めていく仕様です。
 このキャラクターというのが、亡国の王子だったり、脳筋の女グラデュエイターだったり
、ニンジャだったりと、非常にバラティ豊か。当然ながら、固有の能力やステータスなども
変わっています。
 ゲームでは主に判定を行い、能力値の数だけダイスを振って、4以上を出したダイスの個
数を数えることで成否を判断します――。
 と、ここまで書いていて、何かデジャビュを感じることに気づきました。
 そう、それは以前番棚もレビューした「サルガッソーからの脱出」。
 確認してみれば、発売元も同じ「GIANTHOBBY」で、「無駄に殺意が高いくせに
妙にほのぼのとした協力ゲー」の洗練を受けた身としては思わず身構えてしまいます。
 クリアできそうでできない悪夢再びか、と警戒しながらゲームを進めてみると。
 事態は思わぬ方向へと進んでいくのでした。

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 この「DORASURE」は、大きくわけて二つのパートから構成されます。
 まず、ボード上の平地や森を冒険したり、クエストタイルに書かれたクエストに挑戦した
りする、「冒険フェイズ」。
 そして「冒険フェイズ」終了後に、ドラゴンと決着をつけるための「決戦フェイズ」です

「決戦フェイズ」でドラゴンを見事に倒せば、プレイヤーは見事ゲームクリアしたことにな
るのです。
 そういうわけで、まずは第一関門である「冒険フェイズ」へと足を踏み入れる冒険者たち

 ダイスを振ってキャラクターを移動させ、様々な場所を冒険したり、置いてあるイベント
タイルに挑戦したりします。
「どうせ今までの協力ゲーと同じように、この冒険フェイズ自体が難易度高いんだろう」と
思ってやってみると。
 あにはからんや。
 さくさくとゲームが進んでいくではありませんか。
 気持ちいいくらいに冒険ははかどり、プレイヤーキャラクターたちは宝物をゲットし、X
P(経験値)を得て、成長していきます。
 そう、「冒険フェイズ」ではプレイヤーキャラクターをドラゴンとの決戦に備えて強化す
ることが目的になるので、そのためにXPをためてLVを上げたり、クエストをクリアして
宝物を手に入れる必要があるのですね。
 これがわりと順調に成功するので、成長していく自分のキャラクターの姿に感動を禁じ得
ません。
 能力値が2→3になる=今まで2個しか振れなかったダイスが、3個に増えるとか、かな
りテンションが上がりますよ。
 その他、クエストを解決することで「アイテム能力」と呼ばれる固有の能力のリソースが
増えたり、「決戦フェイズ」で効果を発揮する武器を手に入れたりできるので、よりドラゴ
ンへの戦闘準備をしているという実感がわいてきます。
 気がつけば、マップを積極的に徘徊して「XPはどこじゃー」「アイテムはどこじゃー」
となまはげのように闊歩している自分のプレイスタイルに気づきます。
 移動する時にダイスを振るのですが、この時6が出るとドラゴンの警戒心が上昇、場合に
よってはダメージを受けたりもするといういやらしいトラップも気になりません。
 ただ、この警戒心がマックスになると自動的に「決戦フェイズ」に移ることになるので、
注意は必要ですが。
 また、報酬(クエストを解決すると手に入る宝物や武器など)を5つ手に入れても「決戦
フェイズ」に移行となるため、XPを最大限まで稼ぐには先をしっかりと見据えた冒険ライ
フが必要となります。
 その辺の細かな点さえ注意していれば、この「冒険フェイズ」は、さほど苦労することな
くクリアすることが可能でしょう。

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 しかし、真の恐怖はここからです。
 宝や武器をそろえ、成長も十二分に果たし、精悍な顔つきとなったキャラクターたちは「
決戦フェイズ」でドラゴンに挑むことになります。
「冒険フェイズ」では誰か一人でも死亡となればゲームオーバーなのですが、このフェイズ
では誰か一人でも生き残ってドラゴンを退治できればゲームクリア!
 胸熱な展開に、誰一人欠けることなく使命を果たすことを心にこっそり誓いつつ、決戦の
火ぶたは落とされます。
 10近くあるドラゴンライフに、ダメージを1~2ずつ与えていけばプレイヤーたちの勝利
は目前!
 しかし、自信満々にダイスを握る皆の表情が、少しずつ変化していきます。
「ほう、ラスボスだけあってなかなかやりますな」とシニカルな笑みを浮かべていたはずな
のに、いつの間にか表情が苦悶のものへと大変貌!
 勝てない、こいつ強すぎる!
 そんな絶望的な空気が、プレイヤーの間を漂い始めます。
 それというのも、ドラゴンとの戦闘バランスが極端から極端に走るもので、戦闘の判定に
上手く成功すればダメージを与えられるのですが、大失敗すれば「そのキャラは有無を言わ
ず死亡」というデッド・オア・アライブっぷり!
 時折「ドラゴンランページ」というドラゴンさんがお怒りになるイベントが挿入されるの
ですが、ここでも特に意味なく全員がダメージを受けたり、特定のキャラが大ダメージを受
けたりと、理不尽のバーゲンセール!
「お、俺たちは騙されていたんだ……『冒険フェイズ』という前振りのせいで、すっかり騙
されていた……これは殺意の高い協力ゲーだったんだ」
 と目が覚まさせられることしきりです。
 まぁ、それでもゲームクリアが何とかできるバランスになっているのは、さすがなのです
が。

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 キャラクターの個性が強く、それぞれの役割分担をこなしながらゲームを進めていく様は
、RPGをしているかのよう。
 そして、さくさくと進む「冒険フェイズ」、手に汗握り(すぎる)バトルを楽しめる「挑
戦フェイズ」と、メリハリの利いたゲーム構成は、プレイヤーを没頭させるに充分な魅力を
持っています。
 最終決戦では友の屍をある程度踏み越えないとドラゴンは倒せませんが、それもまた熱き
友情ドラマの証。死亡したキャラクターのプレイヤーも、手に汗にぎりながら生き残ったプ
レイヤーを応援することができます。
 全体的に熱い展開を、協力ゲーという枠の中に綺麗に当てはめていった珠玉の作品。
 ぜひ一度プレイしてみることをオススメします。
 キミたちの手(と屍)で、ハヴィニア地方に平和を取り戻すんだ!

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番棚葵(ばんだな あおい)
 ライトノベル作家。
 同人サークル「冒険者の館」でゲームも制作。
 古今東西問わずアナログゲームが好き。
 ボードゲーム、カードゲーム、TRPGなど様々なジャンルのゲームをたしなむ。

代表作
・ライトノベル
「生徒会ばーさす!」
「Dソード・オブ・レジェンド」
「神をしめなわっ!」他
(集英社スーパーダッシュ文庫より)
・ノベライズ
「カードファイト! ヴァンガード」
(角川つばさ文庫より)
・ゲーム
「メイガス」
(同人ゲーム)