ボードゲームレビュー第5回「おかしな遺言」

「おかしな遺言」 LAST WILL

発売元:チェコゲームズエディション/アークライト
デザイナー:ウラディミール・スーヒィ
プレイ人数:2~5人
プレイ時間:45分~75分
対象年齢:13歳以上


 

 むかーしむかし。  紳士淑女がパーティに明け暮れる、産業革命時代の英国にて。
 超ドケチで、お金持ちな叔父さんがこんな遺言を残した。

 自分はお金をたくさん稼いだが、楽しい人生ではなかった。
 だから自分の遺産は、“一番お金を浪費し、人生を楽しめるヤツに譲ろう!”

 どもども~。
 皆様、いよいよ初冬となり、いかがお過ごしでしょうか?
 三家原です~。

 それにしても、残した遺産を大事にしろとかなら分かりますけど、浪費して人生を楽しめ! っていうのはすごいですよねー。

 こんな英国紳士の風変わりな遺産争奪レースを味わえるのが、今回ご紹介する

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「おかしな遺言 完全日本語版」

 なのですー!
 制作者はチェコの人ですが、舞台は立派な英国なのですー☆

 いやー、今回開封して最初に「おおーっ!」と思ったのは、コンポーネントの豊富さですね。
 このゲームがじっくり遊べるゲームなのが伝わってきます。

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 ゲームの目的……それは莫大な叔父さんの遺産を相続する為に、破産する事です。

 そうなんです。破産を目的としたゲームなのですよコレ。

 各プレイヤーは叔父さんから受け継いだ70ポンドを元に、全7ラウンドでありとあらゆる浪費の限りを尽くさなければならないのです!
 最初に破産するか、7ラウンドが終わって一番お金の少ない人が、叔父さんの遺産を受けつぐ勝者となるのですー。

 ……え?  70ポンドなんてすぐに使い切っちゃうんじゃないか?

 ふふふ、私も最初はそう思ったのですよ……ですがご安心を、この70ポンドはそう簡単には使い切れないのです。

 あ、あと間違って、稼いだりしちゃダメなのですよ!?

 このゲームの1ラウンドは。

1.準備 2.計画 3.使用人 4.アクション 5.終了

 この5フェイズで構成されてますが、特に自分がどの順番で行動できるか、何回アクションを行えるのかを決める“計画”。

 そして有利に散財……文章で書いてみても凄い言葉です…… する為に、不動産の相場を操作したり、不動産や散財する為のカードを仕入れたり、オペラ鑑賞やグルメな食事で贅沢を満喫させてくれる“使用人”。

 この2つのフェイズは要注意で、他のプレイヤーに先に選択されると、後のプレイヤーが選べるアクションが減ってしまうのですよ。

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 しかも、選べる計画がどれも絶妙なバランスばかりで、散財する為のカードは多いのにアクション回数が少なかったり、その逆があったりと結構プレイの方向性が変わってしまう要素なので、一番頭を使いました。

 今回の私は、不動産を中心に進めてみました。  屋敷や農場の不動産は購入代金が高く、さらに毎ラウンドで屋敷を“改装”したり、農場を使って競走馬や犬を育ててみたりと、浪費の助けになるのです。

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 また不動産は“計画”で相場が変わる上に、購入後にメンテナンスしないと価値が下がっていくのも面白く、最後に売り払って所持金を無くさないと破産できないのも、痛し痒しという奥深さ。

 そう! だから、わざと相場を大高騰させて購入した後に、物件を放置プレイで資産価値を暴落させ、底値になったら即売却という無駄使いプレイをして、みるみるとお金が減らしていくのですよ!!

 ……とか思っていたら、他の人が相場を上げて、売却で予定より高値で売れてしまうなんてオチもあったり。  それにしても、高値で売れるのが逆にがっかりというのも、なかなか新鮮な感覚ですよねー。

 他のプレイヤーも、それぞれ自分達の夢の散財……シェフを雇ってディナーでやたら豪勢な美食に走りまくったり、美人なコンパニオンさんを大勢連れて社交界や船旅を満喫したり……とにかく、思いつく贅の限りを尽くしまくってたのですよ。

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 あぁ~、いいですねぇ~。  私も1回といわず10回位はこんな贅沢してみたい~♪

 なんかプレイ中、財布の中身は右肩下がりなのに、気分だけほっこりと右肩上がりという、ワケの分からない状態になってましたね……。

 通常のゲームは少ない資金を元にお金持ちにとか、高得点を狙え! っていうのがほとんどですが、本作はひたすら浪費に浪費を重ねて倒産するという、本当に“おかしな”ゲームです。

 前回ご紹介したポテトマンはカードだけのシンプルなゲームでしたが、今回のはガッツリとしてましたねー。なんたって、予定プレイ時間が45~75分ですから、時間に余裕がある時にプレイするのをオススメします。

 今回プレイしてみての感想としては、ただ単純に浪費をするだけじゃなくて、複数のコンボだったり、その時その時で様々な散財方法があるのと、地道にコツコツするよりも、ドカーンと無駄遣いしたいと思っている人には面白い一本だと思います。

 廃屋ばかり扱ってるのダメな不動産王を目指すもよし、金にモノをいわせた美食王になるもよし、数多の美女達を侍らせて破滅していくもよし。  とにかく、選択幅が多くて、正直1回2回では、終わらない感じでした。

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 長期的に遊べるゲームので、これから始める方はぜひ1回目はプレイ方法の確認とゲームの雰囲気をつかんで、二回目からガチプレイ! というのが一番じゃないかと思う作品ですね。プレイ人数も2人から最大5人までなので、相手の散財っぷりを見てワイワイと盛り上がるのもいい楽しいですねー。

 あ、そういえば!  既に海外では、拡張版が発売しているそうです。  なんと定職や結婚という設定が実装されて、本来なら頑張るはずの仕事をサボりながらクビを目指しつつ、無駄遣いの多い嫁を娶って破産を目指すという本作以上にダメダメ人間を製造するゲームとなっているご様子。

 ぜひ、散財したいと思ってる人はレッツ散財なのですー!


 

ライター紹介

三家原優人(みけはら ゆうと)
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
 ゲームシナリオライターだけでなく、映画会社にて長編映画の脚本や出演など多岐に渡って活動中。
 趣味はガジェット集め。国内・国外問わずの気になるガジェットを集めては愛でる日々。
 実は某公国の爵位を持っていたりする。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ。
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」。
 長編ホラー映画「腐女子」。
 その他多数。