ボードゲームレビュー第50回「ワールドオブタンクス:ラッシュ」

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「ワールドオブタンクス:ラッシュ」(原題:World of Tanks RUSH

発売元:HobbyWorld/日本語翻訳:ホビージャパン
作者:ニコライ=ペガソフ
プレイ人数:2~5人用
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:30分以上


 

「出撃開始! 皆に武運を祈る!」

 皆様、初めまして。もしくはお久し振りです。
 続けて戦車ゲームをレビューさせて頂き、運命を感じずにはおられません。
 これが……恋?
 それはさておきゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」代表の綺月と申します。

 今回はコンピューターゲーム「WORLD of TANKS」をボードゲーム化した、「ワールドオブタンクス :ラッシュ」をご紹介させて頂きます。
 原作は世界中の戦車好きや戦車道にハマった人たちが、簡単操作で1台の愛車を操り、15分ぐらいを6~15人のチームを組んで、2チームでどっかんどっかん戦うロシア製のゲームです。
 戦車道アニメ「ガールズアンドパンツァー」ともコラボしている作品で、作中の戦車戦と同じ雰囲気で戦いを楽しむことができます。ヘッツァーでマウスを持ち上げるのは無理ですが(笑)。
 自分の戦車の姿を見ながら操作する三人称視点、サードパーソン・シューティングゲーム(TPS)もしくはサードパーソン・シューターと呼ばれる形式で、美しい街並みや大自然の中を駆け抜け、迫力のある戦いをお手軽ながらも奥深く楽しめるのが醍醐味です。
 この原作が面白いのは、操作がうまい、戦車が高性能、駆け引きや作戦がうまい、チームワークがいい、運がいい、お金がある、ノリがいい、どの要素でも勝てるし、楽しめるという点でした。
 戦車を走らせ主砲を撃つだけのゲームなんですが、キャタピラや史実ネタの弱点を狙い撃ったり、高所や水場の深みに落としたり、建物を吹っ飛ばしたり踏みつぶしたり、逆に隠れたり盾にするなど、色々できちゃいます。
 あと視界内しか敵が見えないので、足が速く視界の広い軽戦車はとても重要な存在。そして視界外から撃ってくる、恐るべき自走砲。敵を見つけるだけでも、味方に貢献できるのが原作の良いところです。
 戦い方次第で戦場のエースになれたり、いぶし銀のファインプレイができる、ロシア人の合理性がうまく発揮されたゲームなのでした。

 そんな「ワールドオブタンクス」をボードゲームにしたのが、本作「ワールドオブタンクス:ラッシュ」であります。

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「敵目標を発見!!」
 
 「ワールドオブタンクス:ラッシュ」は、有名なカードゲーム「ドミニオン」タイプのデッキ構築型ゲームです。

 「おや?」と思いますよね。シミュレーションじゃないの?
 そうです。原作がマウスとキーボードの四つのキーだけでも遊べるように、戦車戦の複雑な要素を上手く要約しているのと同様に、プレイヤーが広く手軽に遊べるようゲームをデザインし直しているのです!
 なので以前にご紹介した「ぱんつぁー・ふぉー!」の方が、原作に近い遊び方ができると思います。
 一方、本作の売りは原作と同じイラストレーターさんが描かれた、膨大な量の戦車カード! そして2人から5人まで遊べる間口の広さ!! デッキ構築型ゲームらしいスピーディなプレイです!!!
 とにかく戦車を活躍させ、皆を楽しく遊ばせよう。それが本作のスタイルだと思います。

 それで、遊び方を紹介していきますね。
 本作の勝利条件は、勲章を一番多く集めることです。戦車を撃破したり、基地を破壊したり、特定の条件を満たして勤務実績カードを入手すれば、勲章が手に入ります。

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 まずゲームの準備。
 各プレイヤーに早見表1枚、基地カードを3枚、初期セットとされる兵舎カード6枚を配ります。
 各プレイヤーは自分の前に基地カード3枚を表向きに置き、自分の兵舎カードから3枚を引いて手札に、残りを裏向きに積んでカレージと呼ばれる山札を作ります。
 後は、開始プレイヤーを決めて、その人に開始プレイヤーカードを置きます。

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 次に全プレイヤー共通の場を準備します。
 全て(100枚!!)の車輌カードを良くシャッフルし、プレイヤーたちの中央に一つの山札にして裏向きに積みます。車輌カードの種類は多様で豊富です。これが車輌デッキと呼ばれます。そして車輌デッキから順に4枚を引き、予備軍として横に表向きに並べます。車輌デッキを挟んで予備軍の反対側は、車輌デッキの捨て札置き場します。
 国毎に分かれた4種類の勲章カードも、その国毎に勲章デッキとして山札にし、並べておきます。
 そして勤務実績カードをよくシャッフルして、今回のプレイヤー人数に1枚足した枚数をランダムに引き、表向きに並べます。
 最後に車輌廃棄場カードを置きます。
 使用するのは上記のカードだけで、使わないカードはしまっておくといいでしょう。
 これで準備完了です。

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「敵目標発見!」

 ではゲームを始めましょう!
 開始プレイヤーから時計回りに、プレイヤーのターンが回ります。
 ターン中は、以下のアクションを順番に行い、終わると次のプレイヤーのターンになります。
 Ⅰ.ダメージの修理と、手札の公開。
 Ⅱ.手札のプレイ
 Ⅲ.予備軍の供給と、新たな手札の補充

 各手順を説明しますね。

 Ⅰ.ダメージの修理と、手札の公開。
  他のプレイヤーの攻撃などでダメージを受けた基地や車輌は、横向きになっています。これを全て縦に戻します。
  そして自分の手札を公開します。これはプレイがきちんと行われたか、他のプレイヤーと確認するためです。

 Ⅱ.手札のプレイ
  プレイヤーは、次の3通りの方法で、手札をプレイできます。1枚のカードは、1ターン中に1度だけ使用できます。
  車輌カードの能力を使えばコンボも成立するので、プレイの順番や能力は要チェックです。うまくデッキを構築しましょう!!

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 a)新たなカード購入の、資源として使う。
   通常は1ターン中1回、新たな車輌カードを予備軍から購入できます。また購入回数を増やす能力のカードもあります。
   車輌カードの左下ある金貨の描かれた数字アイコンは購入する時のコストで、右下がカード購入に支払えるリソースアイコンの資源コストです。
   左下が購入価格、右下が売却価格ですね。購入するときは、複数の車輌の資源コストを合計で使用できます。
   ただし購入価格が0の車輌カードでも、必ず資源コストを使って購入しなければなりません。
   リソースアイコンのない車輌カードは購入に使えませんので、注意してください。
   購入に使用したカードはプレイした順に、その後で購入された車輌カードも、兵站に捨て札として置かれます。
   そして残った予備軍の車輌カードを車輌デッキから遠い方にずらし、車輌カード1枚を車輌デッキから補充します。
   1回の購入ごとに、上記の処理を行います。もし資源コストが余っても、別の購入には使えません。順番に気をつけてください。
   また車輌デッキが無くなった場合は、車輌デッキから予備軍にカードが補充するタイミングで、車輌デッキの捨て札置き場のカードを全てシャッフルして、車輌デッキを作り直してください。
      
 b)そのカードの能力を使用し、その後で可能なら、基地の防衛に使う。
   車輌カードの中央下に、能力を示すアイコンが描かれています。アイコンがないカードも、複数あるカードもあります。購入や攻撃が有利になる能力やコンボがあるので、プレイの順番に要注意です。
   そして要注意なのですが、実は車輌カードには「何もしない能力」があります。アイコンがない車輌カードにも、この能力はあります。
   能力を使用すると指定した車輌カードは、1枚ずつ能力を任意の順番で使用していきます。
   1つの能力の効果を解決した後でなければ、次の能力は使えません。
   また能力を使用したくない場合や、アイコンがない車輌カードは、「何もしない能力」を選択することができます。
   こうして能力を使用した車輌カードは、基地の上に置かれて防衛することになります。
   基地を防衛できるのは、車輌カードの右上に書かれた2つの数字の右側、装甲値が1以上のカードが1枚のみです。装甲値が0のカードは、捨て札になります。
   基地防衛できる車輌カードは、まだ防衛されていない基地を優先で防衛します。全ての基地が防衛されている場合、防衛しているカードを1枚選んで捨て札にし、そこに置くことができます。
   また能力の使用により、捨て札ではなく廃棄場に送られるカードもあるので、気をつけてください。

 c)敵の戦車や基地への強襲に使用する。
   手番プレイヤーは任意の手札を複数用いて、1ターン中1回、他のプレイヤーの基地を強襲できます。
   強襲に使えるのは、車輌カードの右上に書かれた2つの数字の左側、火力値が1以上のカードです。また襲撃に使用する全てのカードが、同じ国籍でなければなりません。
   襲撃は1枚ずつ、車輌カードを解決していきます。指定された基地を防衛しているカードは、装甲値以上の火力値で攻撃されると撃破され、防衛プレイヤーの兵站に置かれます。装甲値未満の場合はダメージを受けて横向きになり、ダメージ状態で再び攻撃されると同じく撃破されます。
   無防備な基地は攻撃した車輌カードの火力値に関係なく横向きのダメージ状態になり、再び攻撃されると撃破され、襲撃側プレイヤーの兵站に置かれます。ですが重戦車の襲撃は強力で、火力に関係なくダメージを受けていない基地でも1回の襲撃で撃破します。防衛カードと基地で、置かれる兵站が異なる点に注意です。
   襲撃を解決した車輌カードは、襲撃プレイヤーの兵站に置かれます。そして複数の車輌カードで襲撃している場合、1枚のカードの襲撃が解決されたら、次の襲撃カード1枚と目標1つを指定し、同じ判定を行います。
   最後に襲撃プレイヤーは、襲撃した車輌カードの国籍と同じ勲章デッキから、撃破した車輌カードの枚数と同数のポイント分の勲章カードを獲得して自分の兵站に置きます。
   
 Ⅲ.予備軍の供給と、新たな手札の補充
  手札のプレイが終わったら、予備軍を供給します。車輌デッキから最も遠い予備軍の車輌カードを1枚、車輌デッキの捨て札置き場に置きます。そして残っている予備軍の車輌カードを車輌デッキから遠い方にずらし、車輌デッキから1枚を予備軍に補充します。
  そして使わなかった手札は、全て兵站に置きます。
  その後、ガレージから手札を3枚引いてターン終了です。もし手札が足りない場合は、足りなくなったときに兵站を良くシャッフルしてガレージの山札を作り直し、上から順に不足分を手札に加えてください。

 以上がゲームの流れです。

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「履帯修理完了、さぁ行くぞ」

 そしてゲームは、以下の状況が発生したら、終了プロセスに入ります。
 ・いずれかのプレイヤーの基地が、三つとも破壊された。
 ・いずれかの国籍の勲章デッキから、勲章1個分のカードが尽きた(勲章2個分のカードは関係なし)。
 上記のどちらかが発生した場合、その時点から開始プレイヤーの一つ前のプレイヤーのターンまでゲームを行ったあと、ゲームが終了します。
 例え基地を全て破壊されても、最後までプレイできるので安心してください。
 ゲームが終了したら自分の手札と兵站を合わせ、戦車小隊デッキを作ります。この時、自分の基地が残っていても、戦車小隊デッキに加えないでください。
 そして勤務実績カードを1枚ずつ皆で確認し、最も多く条件を満たしている戦車小隊デッキのプレイヤーが、その勤務実績カードを獲得します。同点の場合は、どのプレイヤーもその勤務実績カードを得られません。
 最後に、戦車小隊デッキと獲得した勤務実績カードの勲章を数えて、最も多かった人が勝者です。
 撃破した基地カード、獲得した勲章カードと勤務実績カードに勲章アイコンが書かれてるので、その数を数えると早いでしょう。

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「敵戦車を、やっちまったぞ! 」

 細かいように見えますが、競技性の高い「ドミニオン」タイプのデッキ構築ゲームなので、ルールが丁寧に説明されているだけだと思います。
 むしろルール自体は、非常にシンプルにまとめられていて、「ドミニオン」よりスピーディでしょう。
 各プレイのタイミングや兵站の管理に気をつけるだけで、さくさくとプレイできると思います。100枚の車輌カードも、3つの基地もあっという間に消えていく、スリリングな戦場です☆
 あとは重戦車のみ、基地を一撃で撃破できる点が怖いところ。国籍や車輌の種類が勤務実績の条件に密接に関わってくるので、勤務実績から自軍のデッキ構築を考えていくのが焦点となります。
 また勲章や基地がデッキの回転を阻害するのを、どう克服するか。
 能力の把握と、狙い澄ましたデッキ構築が重要ですが、果断な攻撃で敵基地や戦車を撃破し、ゲームの主導権を握るのも重要です。基地を無防備にさらせば、蹂躙されてしまうのですから!
 しかしそれも罠として使えるあたり、なかなか手強い対戦ゲームに仕上がってると言えるでしょう。
 そしてこの「ワールドオブタンクス ラッシュ」、本当に戦車がどんどん出てきますので、ファンデッキを組んで勝利をがっつり狙えるのもうれしいのです!
 皆さんはどんな作戦を立て、戦車隊を編成し、いかなる戦いを演じて勝利を掴みますか?
 一風変わったデッキ構築型の戦車戦を、どうぞお楽しみくださいませ!!

ヴォル「やつら、もう勝ったつもりでいるようですね」
ヴィットマン「らしいな、では教育してやるか」

 

ライター紹介

綺月鏡水(きづき きょうすい)
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」代表。
 ゲームシナリオライター・プランナー・シナリオディレクター
 専門学校講師「ゲームシナリオ・ゲーム企画等」
 アナログ、デジタルを問わずゲーム好き。
 メカアクションやファンタジー、戦記物、ラブコメなどのゲームシナリオを主に執筆。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ。
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」。
 対戦立体パズル「コンボる?」
 対戦カードゲーム「ぺあぺあ☆エクスチェンジ!」
 その他、多数。