ボードゲームレビュー第51回「スチームパーク」

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「スチームパーク」
発売元:ホビージャパン
作者:ロレンツォ=シルバ、ロレンツォ=トゥッチ、アウレリエン=ブオフィーノ
プレイ人数:2~4人用
対象年齢:8歳以上
プレイ時間:60分


 どうも、ゲーム大好きライトノベル作家の番棚葵です。
 今回は「皆で作ろうテーマパーク! でもゴミ掃除もお忘れなく」なコスト管理ゲーム、「スチームパーク」を紹介します。

 プレイヤーたちはロボブルグの町で開かれる六日間のお祭りに参加し、蒸気遊園地(スチームパーク)を開きます。
 そして日頃の労働の疲れを癒しに来たロボットたちから金をむしりと……もとい、楽しかったとのお褒めの言葉をいただき、その気持ちを現金で表していただいていくゲームになります。
 ほぼ即興で開く蒸気遊園地では、脅威のメカニズムで一日もかけずにジェットコースターみたいなアトラクションや、カジノなどの施設を作ることが可能。ロボブルグの技術力の高さを、まざまざと見せつけられます。
 そして一日の終わりには客一人辺りからお金を収集していくわけですが、客が多すぎると今度はゴミがあふれかえり、最終的に遊園地経営は火を噴く大惨事へと真っ逆さま。
 なのでゴミ処理も地道に処理しつつ、客を呼び込み、客が喜ぶであろうアトラクションを建て、補助のために施設を増やしと、「これ経営者一人でやらないといけないのか」と頭を抱え込む忙しさを経験することになるでしょう。

 

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 何かと忙しいこのゲーム、しかしやることはものすごく単純だったりします。
 プレイヤー全員でダイスを6個ふる。これだけです。
 基本的にそのダイスの面に表示されたアクションを、表示しているダイスの個数ぶん行うことになるので、自分が適切だと思うアクションの面を出すことが重要になります。
 重要になりますといったところで、ダイスは基本ランダムなので言うことは聞いてくれません。
 そこでこのゲームでは、自分が納得した出目はボード(なぜかブタの形をしている)に取り置き、残りは何度でも振り直してもいいという斬新なシステムを取っています。
 つまり自分が納得ができるまで、ダイスを振り直していいわけですね。
 じゃぁ、何度でも振り直し続ければ有利じゃんと思うかもしれませんが、さにあらず。出目に満足した人は、すぐに行動順を示すチップを取る行動に出ます。
 つまり、もっとも早く満足いく出目(アクションの組み合わせ)を出した人から行動が可能であり、ぐずぐずしていると行動が一番最後になってしまうのです。
 行動順自体はさほどゲームには影響を及ぼしませんが、各行動順位には余録がついてきます(具体的にはゴミが減ったりします)。なので、いかに自分に必要なアクション=出目が何であるかを判断し、さっさと出番を確保するのがこのゲームの鍵となってきます。

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 順番が決まったら、行動順にアクションを起こしていきます。
 基本はアトラクションを作り、補助のために施設を作り、お客を呼び込んでテーマパークを繁盛させることになります。
 また様々なボーナスカードを、プレイしたりもできます(これもアクションの一つです)。条件を満たせば、お金を大量にゲットすることができるのです。
 しかし、これらの行動の中には、ゴミを発生させるものがあります。
 アトラクションや施設の建造、またボーナスカードの使用にいたってまでゴミは出てくるので、出目次第では大量のゴミが遊園地にプレゼントされることになります。
 またお客さんはターン終了後にゴミを発生させてくるので、気がつけば蒸気遊園地はゴミの巣窟になってくるのです。
 ゴミは最後の最後でマイナスポイントに関わってくるので(大量にゴミがあればあるほど、大量のマイナスになる)、これは地道に処理するしかありません。
 このゴミ処理もアクションで行います。すなわち、金=ポイントを獲得するための準備と、ゴミ=マイナスポイント要因を処理する行動を、同じアクション内で行うので、どのように配分するか冷静な判断力が問われてくるのです。

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 そんな金やゴミの工面に四苦八苦するプレイヤーを助けてくれるのが、頼もしい施設の数々。
「カジノ」は獲得済みの出目=行動内容を1つ選び、違う行動内容に変化させることができます。
「宣伝所」はお客を呼び込むアクションで、さらに1人多くの客を呼び込めます。
「トイレ」はゴミを処理するアクションで、さらに1つ多くのゴミを処理できます……って、ゴミ処理の施設が何でトイレ?
 ともあれ、これらの能力はゲームを進めていく上で必須なので(なぜかイージーモードではこの能力の無視を推奨していますが)、隙あらば施設を建ててゲームを優位に進めるといいでしょう。
 もちろん、お客を呼ぶためのアトラクションも忘れてはいけません。これがないことには、そもそもお客を呼べないのです。
 より多くのアトラクションを建設し、より多くのお客を呼ぶ必要があります。
 さらにお客とアトラクションにはそれぞれ6色の色が配してあり、同じ色のアトラクションには同じ色の客しか置けないので、客のニーズにあわせたアトラクションの設置が重要となります。
 まぁ、呼び込めるお客が何色なのかはランダムなので(ある程度予測は可能)、とりあえず多色のアトラクションを地道に揃えていくのが吉なのですが。
 ちなみにこのアトラクションと先述した施設は、敷地を表すボードのマス目にそって置く仕様になっており、違う色のアトラクションや、違う施設などはマス目を離して置く必要があるため、すぐに敷地はいっぱいになります。
 そのために、敷地拡張のアクションを行う必要もでてきて、蒸気遊園地経営はてんやわんや必至!
 他のプレイヤーと競い合ってダイスを振る忙しさも手伝い、目も回るような勢いです。

 しかし、少しずつ客が入ってくると、遊園地経営者としての喜びがじわじわと浸透してきます。
「やはり世の中金よのう、ぐへへ」といったゲスな感情ではありません(たぶん)。
 お客さんが来て喜んでくれる、そして我が子のように愛情を育てた遊園地が成長してくれる。
 そんな感動を味わえるのです(たぶん)。
 そして、怒濤のような六日間を終えて、お客さんからこってりお金を搾り取った後に「ありがとうございました」と一礼する遊園地経営者たち。
 しかし彼らは気づくでしょう。お客さんが残していったゴミの処理に、今までの収入がみるみる減っていくことを。

 ちくしょう、ふざけんな、自分のゴミくらい自分で持ち帰れ!

 ……いえまぁ、フレーバーに忠実に表現するとこうなるのですが、実際には堅実で実にゲームバランスの取れた作りなんですよ。本当に。
 特にこの手のコスト管理ゲームにありがちな「アクション管理」の煩雑さが、ダイスを一気に振るというルールで解消されているため、コスト管理に集中して楽しむことができる良作です。
 そういうわけで、気軽にコスト管理ゲームを楽しみたい人は、一度遊んでみてください。
 奇妙な世界観と堅実なゲーム感覚、この2つが心地よくあなたを包み込んで癒してくれます!

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ライター紹介

番棚葵(ばんだな あおい)
 ライトノベル作家。
 同人サークル「冒険者の館」でゲームも制作。
 古今東西問わずアナログゲームが好き。
 ボードゲーム、カードゲーム、TRPGなど様々なジャンルのゲームをたしなむ。

代表作
・ライトノベル
「生徒会ばーさす!」
「Dソード・オブ・レジェンド」
「神をしめなわっ!」他
(集英社スーパーダッシュ文庫より)
・ノベライズ
「カードファイト! ヴァンガード」
(角川つばさ文庫より)
・ゲーム
「メイガス」
(同人ゲーム)