ボードゲームレビュー第53回「クシディット王国記」

「クシディット王国記」(原題:Lords of XIDIT)
発売元:Libellud/日本語翻訳:ホビージャパン
作者:レジ・ボネセー
プレイ人数:3~5人用
対象年齢:14歳以上
プレイ時間:約90分


 

気が付けば暑い夏も遙か彼方。
ちらほらと秋っぽい空気が漂い始める今日この頃、皆さんはどんな時間をお過ごしになるのでしょうか?

どもども、三家原です。

今回のキウイゲームズレビューがお送り致しますのは、ホビージャパン様より日本語版が発売された「クシディット王国記」なのですーっ♪

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ゲームデザイナーはフランスのレジ・ボネセー様。
本作は2002年に発売された「帝国の商人(Marchands d’Empire)」をリメイクした「ヒマラヤ(Himalaya)」のゲームシステムをベースに、2012年に発売されてから、TCGプレイヤーから絶大な人気を誇っている「Seasons/十二季節の魔法使い」の世界観を融合されたミックス作品なのですよっ。

プレイヤーは「十二季節」の世界の貴族であるイドラキスの一人となって、クシディット王国に迫る闇の脅威から都市を解放し救世主になるのが目的です。
闇の脅威から都市を守る為、王国内を旅しながら屈強な部隊を徴兵し、闇を追い払った証として富や名声、魔術師ギルドの建築していきましょう!

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ゲームは大きく6フェイズで区切られていますが、プレイ中は基本1~3フェイズで進行していきます。

・第1フェイズ:秘密命令

多分、このゲームで一番時間を使う部分ですね。

このゲームには、プレイヤーの行動をあらかじめ決めておいて実行する「プロッティング」と呼ばれる方法が採用されていて、大まかに分けると「移動」「待機」「行動」の3種類からプレイヤーは計6回の命令を決めていきます。

そして、この6回分で“1ゲーム年”と数えます。

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計画を決める際に利用するのが、この計画ボード! このボードの上部と下部にある凸凹を回すと、中央にあるプレイヤーの行動を示す「計画ホイール」が回転するので、1~6つ目までの行動……つまり、“1ゲーム年”分の行動を決定していくのですよ。

ただし、次のフェイズに移行したら、変更は利きませんので、変えるなら今の内、その辺にご注意を~!!

・第2フェイズ:命令の解決

ふふふ……1ゲーム年分の秘密命令は、しっかりと決めましたか?

さあさあ、ここからが楽しい楽しい命令実行のお時間なのですよ。
全員が命令を計画し終えたら、一斉に計画ボードを公開し、開始プレイヤーから順に時計回りに1つ目に計画した行動を実行していきます。

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まずは基本中の基本である「移動」。
これには三つの色が存在していて、その色はマップ上のどの道を進むかを示しています。上の写真ですと、右に行きたかったら「紫」、左に行きたかったら「赤」、そして上に行きたかったら「水色」に計画ホイールを合わせると移動することができます。

次に「待機」。
待機、読んで字の如く、その場で待機です。
じーっとその場で何をするわけでもなく待っていますので、一見するとただ単にムダな時間を過ごしているように思えるかもしれませんが……果たして利用する価値はあるのですかね~?(ニヤニヤ)

そして、最後の選択肢である「行動」。
「都市タイル」と呼ばれるタイルが置かれている都市に、イドラキスが止まっている時に実行できます。

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この「都市タイル」は表は徴兵できる兵の人数が記載された「徴兵タイル」と呼ばれるものになっていて、この面が置かれるたびに部隊の置き場から、記載された人数分タイルの上に配置されますので、「行動」によって、その配置された部隊の“1つだけを”徴兵することができるのです。

ただし、この徴兵は好きな部隊ではなく、弱い者順に徴兵されるの注意ポイント。

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強さは、農民兵→弓兵→歩兵→僧侶→魔道戦士の順で強くなり、強くなればなるほど、全体数が少なくなっています。

また、ここで注意しないといけないのが、徴兵は各プレイヤー、1つの都市から“1ゲーム年”中につき1回だけしか行えないということです。
つまり、仮にAの都市で徴兵してしまったら“次の1ゲーム年”になるまで、Aの都市での徴兵は行えないということなのですよ。

なので、もしも欲しい部隊がいる場合、その部隊を徴兵するような調整が必要になってくるという事なんですよね(汗)

察しの良い方なら、もうお気づきでしょう。

はい、ここで生きてくるのが2つめの選択肢、「待機」だったりするのですよ。
このゲームは既に決めたプロットを1つずつ時計回りに行っていくので、リアルタイムで刻一刻と状況が変わっていくのです。
もしも、他のプレイヤーが同じ都市を目指し、同じように徴兵をしようとしているのなら、徴兵されて部隊の種類が変わるのタイミングまで「待機」をしてから徴兵を行う、なんてちょっとテクニックに使えるのがこの「待機」だったりするのですよ。

さらに「行動」には、もう一つできる事があります。
それはこのクシディット王国記に迫る、「脅威の排除」なのです。

これは先ほど説明した「都市タイル」が裏向きに置かれた時、その都市は脅威にさらされているという状況だということなのです。

これを、表の「徴兵タイル」に対して「脅威タイル」と呼ばれ、置かれていた都市に「行動」を選択すると「脅威の排除」が実行となります。
ですが、ただ単に「行動」を選択したからといって「脅威の排除」が行われるワケではありません。

排除を行うには、それぞれの脅威に決められた部隊の数を消費しなければならないのですっ!
つまり、手持ちの部隊を消費する事によってしか、「脅威の排除」を行う事はできないのですよ。

ふふふ、なので「行動」によって徴兵できる部隊も慎重に選ばないと「部隊はたくさんいるけど、条件を満たせるヤツがいないー!!」という悲劇があったりなかったりするのですよねー。

また無事に「脅威を排除」できたら、プレイヤーは報酬を得ることができます。

報酬には脅威のあった都市の土地に魔術師ギルドを建設する「影響」、プレイヤーのイドラギスが隣接する「地域」に吟遊詩人トークンを配置する「名声」、そしてゾブリン金貨と呼ばれる金貨を受け取る「財産」の3種類から2種類、取り除いた「脅威タイル」に書かれている数字分だけ受け取ったり建設したりする事ができるのです。

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この脅威を取り去った場合だと、三階建てのギルド、金貨4枚、2つの名声のいずれか2つを選択する事ができます。

一応どれを選ぶのも自由ですが、魔術師ギルドの建設は1つの都市につき1つしか建てられないので、最初の頃はできるだけ積極的に建築するのをオススメです。
最高で4階まで建てられるのに、脅威の相手によっては1階や2階だったりと低い数字のもありますが、一度建ててしまえば他のプレイヤーが建設できない=独占状態になれるので、ポイントでかいのですよ。

あと、もしも都市に「都市タイル」がなかった場合、その「行動」は「待機」と同じ扱いになってしまうのでご注意ご注意なのですっ!
……まあ、注意していても、ゲーム進行中にそうなってしまう事故が多々あるのですが(汗)

なので、これをおさらいすると

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上のプロットの場合、まず「行動」したあと「水色に移動」して「紫に移動」したあと「行動」し、「赤に移動」して「行動」をして1年が過ぎた、という感じですね。

1つ目を時計回りに処理したら、同じように2つ目、3つ目、4つ目と処理していくので、リアルタイムでマップ上の状況が刻一刻と変化していくというのも、このゲームの面白い部分なのですよ。

・第3フェイズ:都市タイルの調整

もしも「行動」によって「徴兵タイル」や「脅威タイル」が取り除かれたら、自動的に行われるのがこのフェイズ。

「徴兵タイル」がなくなれば「徴兵タイル」を、「脅威タイル」がなくなれば「脅威タイル」を補充していきます。

また、この補充されるタイルは公開情報で、パズルゲームで次のパズルがどんなものなのか分かるように、どちらのタイルもどこの都市にどんな兵種と人数(orどんな脅威)になるのか分かるので、補給されそうなタイミングでこの辺もしっかりチェックするのが大切になってきます。

あと面白いのが、取り除かれたタイルの行き先ですね。
このタイルは、「徴兵」か「脅威」かで置き場が別れているのですが、元々「徴兵タイル」だったタイルが取り除かれた場合、そのタイルは裏向き……つまり「脅威タイル」となり、「脅威タイル」だったタイルも裏向きの「徴兵タイル」となって置き場に蓄積されていくのですよ。

つまり、どっちか片方にばかり力を入れていると段々とタイル数のバランスが傾き……最悪、「徴兵タイル」が空になった場合は、「脅威タイル」から補給できるのですが、もしも「脅威タイル」が空になった場合……タイタンの目覚めという、なんだか怪しげなイベントに突入することも……。

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果たして裏には何が潜んでいるのか……ドキドキしていたけど、このゲーム中は一度も登場せず(寂)

残念ながら、私のプレイ中には起こらなかったのですが、出現する脅威からして……ボーナスステージっぽいのですかねー?(汗)

普通、「脅威タイル」って取り除くのに条件があるのに対して、タイタンの目覚めに出てくる脅威は兵種は自由に数さえあればOKって感じなんですよ。
……むむむ、でも、なんか罠がありそうな気がする今日この頃なのです。

・第4フェイズ:軍備調査

このフェイズが行われるのは、ゲーム年の4年目、8年目、12年目が終わりを迎えた際に行われます。

プレイヤーは任意の数だけ手の中に部隊を握り締め、一斉に公開して一番多く保有しているプレイヤーは王国から報償を受け取る事ができるのです。

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これを一番弱い農民兵から魔道戦士まで、順に計5回行います。
上手くいえば、5回連続報償を受け取って、一気に相手を引き離すなんて事も可能に!?
ただ、ここであまり情報公開しすぎてしまうと、相手に情報を与え、そこから次の行動を読まれてしまう危険もあるんですよね。

部隊の情報は非公開なので、唯一この場で情報入手できるのですよ。
ここで相手がどの部隊を保有しているか覚えて、次の戦略に生かすと良い感じですね。
また逆に、わざと保有していないように見せかけて相手の油断を誘って隙をつくなんて事もできたり、本当見事な駆け引きが展開されるのですよ。

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部隊、名声トークン、金貨は非公開情報。相手に見えないようついたてでガードガードしちゃいましょうなのです♪
逆に魔術師ギルドのコマは公開情報なので、隠さないよう注意しましょう!

・第5フェイズ:ゲーム年の終了

すべてのプレイヤーが6つの行動を終えれば、「1ゲーム年」は終了となりますので、現在のゲーム年を示すコマを1つ動かしましょう。

長々と書きましたが、実際にプレイしていると、この「1ゲーム年」ってそんなに長い展開ではないんですよねー。
第3、4フェイズもしょっちゅう起こるワケではないですし、実際ゲーム中に行われるのは第1、2フェイズだけなんですよ。
その内の第2フェイズだって、いちいち行動を考えて判断するものとはちがって、プロットという予定をあらかじめ決めておいているのでサクサク処理できるので、本当に処理速度は早い早い。

ある意味、その辺の待ち時間がほぼないのが、このゲームが段々楽しくなってくる部分の1つだと私は思います。

・第6フェイズ:ゲームの終了

さあ、やって参りました第6フェイズ!!

このフェイズは12年目が過ぎ、長い長い旅を終えた時に発動する……そう、勝敗確認なのですよ!

このゲームでの勝敗は、「影響」「名声」「財産」の三つの評価によって決まるのですが、面白いのが確認する度にプレイヤーが脱落していく脱落型得点方式を取り入れているところですね。

そう、脱落があるのですよ(汗)

「影響」「名声」「財産」の3つの項目をランダムで決められた順にそれぞれ確認を行っていきます。たとえば「1.影響」「2.名声」「3.財産」という順番だった場合、最終的に「財産」が沢山あれば勝利となるものの、その途中の「影響」と「名声」が低かった場合「財産」に行き着く前に脱落なんて展開もあったり!?

な・の・で、このゲームの得点獲得には、バランスよく獲得するのをオススメします。

本当にバランスは結構重要、かなり重要、とっても重要。

大事な事なので3回言いましたよ?(まて)

しかし、もしもここで同率首位がいた場合……その時は、今まで隠していた部隊数が多い人が勝利となるので、部隊数も最後の保険として必要だったりするんですよね(汗)

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以上が「クシディット王国記」を簡単にプレイ方法だけ説明させてもらったのですが、今回の説明だけではかなり説明できていない部分も多い(タイタンの目覚めや、プレイ人数によって変わるルールなど)のですが、それくらい1度では遊びきれない要素がしっかりと詰まった良作ということなのですよ、いや本当。

興味があれば、百聞は一見にしかず、ぜひぜひ遊んでみて欲しいと思うのが本音ですね。
「Seasons/十二季節の魔法使い」の世界観を取り入れている為、所々に専門用語あったり、未プレイの人には感覚を掴むのが最初難しいという一面もありますが、その一方でゲームのシステムはシンプルそのものなので、一度始めてしまえば楽しめる一品であると思いますねー。

このゲームを始める際「ちょっと難しいゲームなのかしら?」と不安になったのですが、いざプレイしてみると実行したり管理する部分というのは思っていたよりも多くなく「何で難しいゲームなんだろうと思ったのかしら?」と小首を傾げる場面が今回もありました。
本当、読むよりも実際にやってみないと、ちゃんと理解できないものですね(笑)

一緒にプレイした番棚先生が「緻密な計算ゲームだー!」と評価していましたが、まさにその通り!
プロットを組む時は「相手がどう出るのか?」「この行動を取った結果、誰にどう影響を与えるのか?」「この脅威を取り除いたら次はどこに脅威がやってくるのか?」と様々な要素を計算して最善の一手を打つのがポイントなのですよ!

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相手のプロット以外は、次に何が起こるのか予測がしやすいし、全体をしっかりと見渡して計算を建てていくのが一番だと思いますが……実はマイペースに進むのが一番強いんじゃないかと思ったり(笑)

あと、時々プロットをミスしたり、相手の動きによって完璧だった計画がまるまる潰れて1年をムダにしまうなんて悲劇もあったりして、そうならないかどうかと毎回ドキドキ感を演出してくれるのがいいですね。

「ヒマラヤ」や「帝国の商人」の時は1分間と制限時間が決められていたのに対し、本作ではゆっくりとプロッティングできるので事故の発生は低いですが、それらをやった方からしてみれば緊張感が足りないかもですね~。
なので、そんな方にはぜひぜひ砂時計も、ご一緒にプレイすると良い感じになるかもですよ!
事故が思いっきり増えそうだなぁ……(笑)

さあさあ、今回ご紹介した「クシディット王国記」は、いかがだったでしょうか?
ご興味の沸いた方、ぜひぜひお友達とご一緒にプレイしてみてくださいね~♪

 

ライター紹介

三家原優人(みけはら ゆうと)
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
 ゲームシナリオライターだけでなく、映画会社にて長編映画の脚本や出演など多岐に渡って活動中。
 趣味はガジェット集め。国内・国外問わずの気になるガジェットを集めては愛でる日々。
 実は某公国の爵位を持っていたりする。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ。
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」。
 長編ホラー映画「腐女子」。
 その他多数。