ボードゲームレビュー第57回「Q-JET 21XX」

「Q-JET 21XX」
発売元:メビウスゲームズ
作者:ヴォルフガング・リーデッサー
プレイ人数:2~6人用
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:40分


 

 

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みなさんお久しぶりです。松風でございます。

さて今回ご紹介するのは「Q-JET 21XX」というタイトル。
Qモビルと呼ばれる未来のレーシングマシンを操って、コースを走り抜けるレースゲームです。

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タイトルでピンときた方もいらっしゃるかもしれませんがこのゲーム、かの名作チャリオットレースゲーム「アベ・カエサル」と同じデザイナーによる、同作のリメイク作になります。
ですので、ルール的にはほぼ同じ。
舞台を未来世界に移しただけで、過去の名作と同じプレイ感覚を味わえる一作となっております。
アベ・カエサルは既に絶版になって久しいのですが、こうして同様のゲームが新作としてプレイできるのはありがたい限りですね。

ゲームそのものはいたってシンプル。
手札から出したカードの数字分のマスを進み、コースを3周して最も早くゴールしたプレイヤーの勝ちになります。
これにいくつかのルールが加わることで戦術性が生まれ、誰でも簡単にレースの醍醐味を味わえるようになっているのです。
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各プレイヤーには、自分の選んだ色のQモビルのコマとアクセルカード、エネルギーチャージカードが与えられます。
ここで重要なのはアクセルカードの山です。
プレイヤーはまず、アクセルカードの山から2~5のカードを1枚づつ抜き出してシャッフルし、ボード上のピットの横に並べて置いておきます。
残った山札もよくシャッフルしておき、ここから3枚引いて手札にします。
盤面には赤と緑の2種類のコースがあり、さらに時計回りに回るのか反時計回りに回るのか、あらかじめ決めておくことで4種類のコースが楽しめます。
適当な方法でプレイ順を決めたら、1コースから順にコマを配置すれば準備完了です。

さて、ここからがいよいよレースのスタートです。
手番プレイヤーは手札からアクセルカードを1枚選んで出し、そこに書かれた数字分だけコマを進めます。
使った手札はすぐに自分の山札から補充しましょう。
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高速で疾走するQモビルのコマは真横や後方には進めません。必ず前方に進んで下さい。
レーンで塞がれていなければ、斜めに移動する事も可能です。
ただし、ここで注意しなければならないのは、必ず出したアクセルカードの数字分のマスを進まなくてはならない、という事です。
前方がふさがってるのに数字の大きなカードを出しても、その手前まで、あるいは飛び越えて進めるわけではありません。
なぜなら、一つのマスには一台のマシンしか入れないというルールがあるからです。
これによって先を走っているマシンは、後続車両をブロックできるという戦術が生まれます。
特にシケインやカーブはブロックする絶好のポイントですから、あえて低い数字を出してでも占有する価値があると言えるでしょう。

そして一番先頭を走っているプレイヤーは6のカードが出せません。
6はこのゲームでトップスピードですから、追い抜きをブロックできる先頭車両が最高速まで出せたら有利過ぎるという判断でしょうね。

どうしてもルールに沿ったカードが出せない、という時に限って手番をパスをすることも出来ます。

さて、前作ともいうべきアベ・カエサルには、2周めまでに皇帝カエサルの前で「アベ・カエサル!」と声高らかに敬礼しないとゴールした後に死刑になる(ゲームに強制敗北する)という面白いルールがありました。
しかしアベ・カエサルとは違い、このゲームには敬礼を捧げるべき皇帝など出てきません。
その代わり、今作では2周めまでにピットインしてエネルギーをチャージし、手札を補充するというルールになっているのです。

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このゲーム、普通にコースを回り切ると、アクセルカードを全部使って手札が1枚残るかどうか、というくらいカードの枚数はギリギリのバランスになっています。
つまり、ピットインしないと途中で燃料切れになってリタイアしてしまう事になるのです!
補充されたアクセルカードは即座に山札の上に置かれますから、どのタイミングでピットインするかというのもわずかに戦略性が出てきます。

基本的にコーナーではインコースを選んでいればマス目が少なくて済み、その分距離を稼げるのですが、ほとんどのプレイヤーは同じようにそのコースを選んできます。
後続はアウトコースから抜きにかからねばならないため、大きな数字を消費することになります。
逆に言えば、コーナーでインコースを塞がれても、高い数字のアクセルカードを出せば追い抜くチャンスになるのです。
こういった駆け引きの果てに1着でゴールできるのは誰なのか、抜きつ抜かれつの熱いデッドヒートが繰り広げられることでしょう。

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コースを変えて合計ポイントを競うグランプリルールや、着順によって一部のアクセルカードを抜いておくマシンセッティングルールなどもあり、遊びの幅はなかなか広いと思われます。
簡単なルールながら、レースものの醍醐味がしっかりと味わえるという意味では、とても優れたゲームだと言えるでしょう。
反面、ガチの戦略性を求める方には少し物足りないかも知れません。
とはいえ、名作の血筋であることに間違いはなく、手軽に楽しめるパーティゲームとして一度は触れてみるのもいかがでしょうか?
小さいお子さんにもオススメです!

さて、今回のゲームはいかがだったでしょうか?
それではまた次の機会にお会いしましょう。

 

ライター紹介

松風志郎(まつかぜ しろう)
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
 ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。
 アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。
 世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
 大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ
 大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
 その他多数。