ボードゲームレビュー第58回「ファラオコード」

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 「ファラオコード」(原題:PHARAOH CODE)
発売元:KOREA BOARD GAMES/日本語翻訳:ゲームストアバネスト
作者:ジェームス・リム
プレイ人数:2~5人用
対象年齢:9歳以上
プレイ時間:20分


 

 どうも、ゲーム大好きライトノベル作家の番棚葵です。
 今回は、大人から子供まで手軽に楽しめる計算ゲーム、「ファラオ・コード」をレビューしたいと思います。

 エジプト文明の忘れられた場所へようこそ。
 この場所は、古代ファラオの素晴らしい宝の獲得を目指す、情熱的なあなたたち探検家によって発見された。
 ただその宝を発見するにはまだ充分ではない。賢明なファラオはその宝を守るために、「ファラオ・コード」と呼ばれる秘密の数字を用い、その宝を封印したという。(訳文より)

「ファラオ・コード」を手に取れば、上記のような壮大なストーリーと、パッケージに描かれた「遺跡の扉(らしきもの)の前に立つ男」の絵が、プレイヤーの心をわくわくと弾ませます。
 どうやらこれは宝探しのゲームのもよう。果たしてどのようにして金銀財宝を掘り当てるのでしょうか。
 ボード上を動き回って、労働者や地図などのリソースを集めつつ、お宝をゲット?
 プレイヤー同士で協力し、時限式の障害などを力をあわせて乗り越え、財宝を獲得?
 などなど、期待に胸をふくらませて、ゲームの内容物を取りだしてみると。

・数字が書かれたパネルが多数。
・そのパネルを設置するためのボードが一個。
・八面体、十面体、十二面体のダイスが一個ずつ。
・一分計の砂時計。

 金銀財宝は一体どこに!!!!!!
 思わず絶叫してしまいましたが、実はこのゲーム、宝を得ることではなくて、宝を守護している「ファラオ・コード」を解くことが目的(という設定)なのです。
 そして物欲を満たすのを諦め、手軽に計算ゲームを楽しもうと割り切った時、とても簡単で面白いシステムを備えたゲームを、我々は目撃することになります。 

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 ゲームのプレイ方法はいたってシンプル。
 まずはボードにパネルを配置していきます。
 パネルにはそれぞれ数字が書いてあり、それぞれレベルが設定されています。
 ちなみにパネルの裏側にはスカラベが描いてあって、レベルが高いほどスカラベの数=得点が多くなる仕組みです。そのため、レベルの高いパネルほど枚数が少なく、ボードに少なく配置されるというバランス調整がされていて、これがゲームのシステムに一役買っています。
 さて、パネルを配置し終えたらスタートプレイヤーからプレイ開始です。
 とは言ってもやることは一つで、八面体、十面体、十二面体の三つダイスを振る。これだけ。
 三つのダイスの出目をプレイヤー全員で確認したら、ここからが本当の戦いです。
 この出目を二つ以上使って、四則演算(括弧を含む)を行い、パネルから答に該当する数字を探し出せ!
 これがこのゲーム最大の肝であり、ルールのほぼ全部といっても過言ではありません。
 例えば、八面体が「3」、十面体が「5」、十二面体が「9」の目を出して、ボードに「72」、「14」、「17」、「42」などのパネルがあったとします。

 5+9=14
 3+5+9=17
(3+5)×9=72
(5+9)×3=42

 このように、それぞれのパネルは答として成立します。
 なので、これらのパネルを手に取れば、プレイヤーはそのパネルを入手したことになり、裏に描かれているスカラベの数だけ得点が入るのです。
 どうです、とても簡単でしょ?
 しかし、このルールだけだと「ファラオ・コード」はただの暗算ゲームとなってしまいます。
 そこに緊迫感を盛り込んでくれるのが、何あろう一分計の砂時計なのです。
 
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 スタートプレイヤーがダイスを振った後、計算を行って一番最初に解答と思われるパネルを入手したプレイヤーは、この砂時計をひっくり返す権利を得られます。
 そして砂時計の砂が落ちるまでに(つまり30秒以内)、他のプレイヤーはパネルを入手しなければなりません。
 つまり、ただの計算に時間制限がついてしまうということで、もしも30秒以内にパネルを入手できなかった場合、そのプレイヤーは得点0となってしまうのです。 
 なら、まぐれ当たりを期待して、適当なパネルを入手してしまえばいいのでは?
 いえ、そうはいかないのがこのゲームの面白さ。もしも入手したパネルの数字がどう計算しても答にならない場合、後ろに描かれている得点の数はすべてマイナスとなってしまうのです!
 また、当然ながら答として成り立つパネルが、いつもプレイヤーの人数分あるとは限らない(というかない方が多い)ので、基本的にはパネル入手は早い者勝ち。
 自分が得点を得るためには、一刻も早く計算をすませ、正解の書かれたパネルを見つけ出す必要があります。
 いわばこれは、暗算のチキンレース!
 得点の高いパネルと得点の低いパネルがはっきり分かれていることもあり、ただ計算するだけでなく的確な判断力でパネルを選ぶ必要も出てくるので、結果としてプレイヤーたちは頭から煙を吹きながらパネルとにらめっこすることになるのです。

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 ところで、このゲームは四つあるレベルのうち一つのレベルのパネルがすべて尽きればゲーム終了となります。
 なので、どのレベルのパネルを取るかは得点だけではなく、ゲーム進行の速度も決定するのでかなり重要な要素となってきます。
 そして、毎回行われる暗算のチキンレースに、ともすればプレイヤーはパニックを起こしかねません。

「ああ、ミスした! このパネルはどう計算しても答にならない!」
「しまった、あっちのパネルを取っておいた方が高得点だった。焦って低いパネルの方を取ってしまった!」
「悠長に計算していたら、答になるパネルは全部取られた! 悔しい!」
「自分は低得点だから、ゲームをまだ終わらせるわけにはいかない! まだ充分に残っているレベルのパネルを選択しないと!」

 わずか数分しか要さないはずの計算の中に様々な思惑が組み込まれ、プレイ中の参加者はさながら、謎解きと対峙したトレジャーハンターのよう(無理矢理にもフレーバー回収)。
 そして、ゲーム終了時に入手したパネルのスカラベの数を計算し(お手つきによるマイナス計算もふくむ)、合計点の高いものが勝利者となります。
 シンプルかつ親しみやすいゲームシステムで、所要時間も短いため、何度でもプレイしたくなるのが好印象です。
 使用するのは四則演算だけなので、小学生の方でも充分楽しめるのもポイント。家族でわいわいやるのも、楽しいのではないでしょうか。
 頭の体操にも、ぜひともぴったりなこのゲーム、機会があれば、一度プレイしてみてください。   

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ライター紹介

番棚葵(ばんだな あおい)
 ライトノベル作家。
 同人サークル「冒険者の館」でゲームも制作。
 古今東西問わずアナログゲームが好き。
 ボードゲーム、カードゲーム、TRPGなど様々なジャンルのゲームをたしなむ。

代表作
・ライトノベル
「生徒会ばーさす!」
「Dソード・オブ・レジェンド」
「神をしめなわっ!」他
(集英社スーパーダッシュ文庫より)
・ノベライズ
「カードファイト! ヴァンガード」
(角川つばさ文庫より)
・ゲーム
「メイガス」
(同人ゲーム)