ボードゲームレビュー第59回「交易王」

 「交易王」
発売元:ニューゲームズオーダー
作者:ライナー=クニツィア
プレイ人数:2~4人用
対象年齢:12歳以上
プレイ時間:30分


 

「沖の暗いのに白帆が見ゆる、あれは紀ノ国みかん船」

 皆様、初めまして。もしくはお久し振りです。  ゲーム&シナリオ制作チーム「Team・Birth-tale」代表の綺月と申します。

 今回は「交易王」をご紹介しましょう。  近世ヨーロッパの大航海時代を舞台に、めざましい活躍を遂げた交易商人の競争を描いたのが本作です。  初めて世界一周を成し遂げた大冒険家マゼランを支援し、偉業への航海に送り出したのもフッガー家という豪商の一族。  日本では嵐の中に船を出し、不作の蜜柑を商って財をなした紀伊国屋文左衛門が好例ですね。  香辛料や黄金を求めて新大陸を開拓し、交易船団を駆使して利益を上げ、そのためには国王さえ動かす立志伝中の人物たち。  数々の冒険を支え、富と栄光を得た交易商人の波瀾万丈の大商戦を、30分で遊ぶことができるのです。

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 デザイナーは本レビューでもおなじみの名手、ライナー・クニツィア氏。  分かりやすくシンプルなルールに、いくつもの駆け引きと勝ち筋を用意する事に定評のある方ですね。  イラストはサッシャ・ロスト氏。濃淡の繊細な色使い、筆使いがとても情緒深くゲームを彩っています。

 ゲームの目的は、最も多くの富、すなわち貨幣を得ること。貨幣のみが、勝利者を決めるのです。  ゲーム終了時に、貨幣チップの額面の合計が最も高いプレイヤーの勝利です。実にシンプル。  貨幣を得るには商品を手に入れ、売り払うだけで、こちらも分かりやすい。  しかし、いかに商品を高く売ってライバルを出し抜くか、そこに「相場」と「特殊カード」という仕掛けが用意されています。  各プレイヤーの思惑によって、悩ましく変動をする「相場」。  有利な効果を発揮するが、けして安くはない「特殊カード」。  これらをどう手に入れ、駆使するか。単純にして奥深いのが本作の醍醐味でしょう。

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 では、ゲームの準備からプレイまでご説明しましょう。  まずは商品カードをシャッフルします。計60枚のカードは、6色で各10枚ずつ。  それぞれ「胡椒」「塩」「藍」「銅」「綿」「麻」と書かれていますが、特に差はありません。  商品カードをシャッフルした後、各プレイヤーに3枚ずつ「手札」として配り、残りは山札として伏せて積みます。  そして山札から6枚をめくり、「場札」として1枚ずつ場に並べます。この「場札」が商品の価値の変動、相場を現すのです。  分かりやすく言うと、1つの商品コマに対する倍数だと思って下さい。  場札に同じ商品カードが並んでる数だけ、同じ色のコマで入手できる貨幣の数が倍増するのです。  なお手札ですが、上限はありません。なので特定の商品カードを独占することも可能です。  各種類10枚しかないのがゲーム中、駆け引きの一因になるのでお気をつけを!  このリソース計算と駆け引きが、クニツィア氏の真骨頂ですね。

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 次に特殊カードです。「船」が14枚、「商館」2枚、「荷役」2枚、「協定」2枚の計20枚。  特殊カードの表には簡単な説明、裏は詳細な説明が書かれてます。また左上の数字は購入金額です。  「船」は商品コマを1つ置けます。1隻に乗せられるのは1個だけで、自分が扱う商品を増やすカードです。  「商館」は手番終了時に、商品カードを山札から1枚引く事ができます。引くか引かないかは自由で、手持ちの商品カードを増やすカードです。  「荷役」は商品コマを1つ、交換できます。自分の手番で、入れ替えられる商品コマの数を増やすカードです。  「協定」は収入を得たら、貨幣を追加で2枚もらえます。稼げる貨幣を増やすカードです。  準備では「船」を2枚、各プレイヤーに渡します。配られた船は、各プレイヤーの手元に1枚ずつ並べて置きます。  そして残りの特殊カードは、各種類に分けて表向きで場に積んで「ストック」として置きます。プレイヤーに残りの枚数が分かるようにしましょう。

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 商品コマと貨幣チップも、場に「ストック」として置きます。  商品コマは商品カードを同じ色で、6色5個ずつです。  貨幣チップは表が銅色の額面1、銀色の額面5、金色の額面10があります。裏は同じ色で、見分けられない様になってます。  商品コマと貨幣チップも、種類別に分けておくといいでしょう。

 そして開始プレイヤーを適当な手段で決めて、時計回りに1人1個ずつ好きな商品コマを取り、手元の船1隻に乗せます。  最後に取ったプレイヤーから逆時計周りで、1人1個ずつ好きな商品コマを取り、もう1隻の船に乗せます。  以上で準備終了です。誰も貨幣チップは持ちません。

 それではゲーム開始です。プレイヤーの手番は、時計回りで巡ります。

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 プレイヤーの手番は、手順1と手順2に分かれています。  手順1は「商品コマの交換」「特殊カードの購入」「パス」から、1つを選んで1回行います。  手順2は「商品カードの決算」「手札の補充」から、1つを選んで1回行います。  なお特殊カードの効果は、裏に書かれた説明の通りに行えます。なので手番中の機会が増えるでしょう。

 ここで要注意。  商品カードの山札が尽きたら、即座にゲーム終了です。  商品カードの山札は、手順2の「手札の補充」で減っていきます。  山札が尽きたら、そこで各プレイヤーの貨幣チップの額面の合計を数え、勝者を判定するのです。

 さぁ、いよいよ各手順で選べる「選択肢」の説明もしましょう。  どのように商品カードを操り、貨幣チップを手に入れるのか。

 まずは手順1からです。  「商品コマの交換」は、手元に置いた自分の船1隻の商品コマを、ストックにある好きな色のコマと交換できます。  船の上には、必ず商品コマが1つ乗りますので、気をつけて下さい。そして決算時に、このコマの数と種類が、手に入る貨幣を決めるのです。  なので「商品ゴマの交換」は、勝つための基本となるでしょう。  商品コマは1種類5個しかないため、ストックからある種類の商品コマがなくなる「買い占め」も起こります。

 「特殊カードの購入」は、ストックにある特殊カードを1枚選んで、ストックに購入金額を払い、手元に手に入れます。  購入できる「特殊カードは」1手番に1枚のみです。  また特殊カードは購入直後から効果を得られますし、自分の全ての特殊カードの効果は、同じ種類も含めて累積します。  「船」以外の特殊カードは2枚しかありませんが、累積すると協力なので要注意です。買い占めにも気をつけましょう。

 「パス」は何も行わず、手順2に移る選択です。  相場や手元の貨幣の状況によっては、何もしないのも有効な手段です。ただし機会を失うわけですから、判断は慎重に。

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 手順1を終えたら、手順2です。  ここが本作の面白いところですが、「商品カードの決算」か「手札の補充」のどちらを行うか選べるのです!  選ばなかった方はできませんし、わざと行わないで手番を終える事もできます。  それは本作の最重要の選択、「商品カードの決算」が全プレイヤーの貨幣入手とゲーム終了に関わるからなのです!

 「商品カードの決算」では、手番プレイヤーは手札から6枚まで好きな商品カードを、場に出して好きな場札の上に重ねて置くことができます。  置き終えたら、決算となります。「場札」で見えている商品カードの数が、その商品の相場、すなわち価格です。  全プレイヤーは、自分の手元の船に置かれた商品コマ1つにつき、場札の商品カードの枚数分だけ、貨幣チップを得ます!!  場札に赤の「銅」6枚が置かれていたら、赤の商品コマを船に乗せている全プレイヤーが、赤1つにつき6貨幣を得るのです。  あるプレイヤーが船4隻に全て赤の商品コマを乗せていたら、なんと赤相場6倍×4隻で24貨幣の大商い!!  このような大荒れの相場操作ができるのが本作の魅力なので、ガンガンと荒稼ぎを狙い、また防いだり勝ち馬に乗ったりしましょう!!  利益のためには独占だけでなく、時にはライバルを利用し、あるいは一時休戦、手を結ぶのもありなのです!  何より私たちは皆、利にさとい交易商なのですから!!  なお貨幣チップが足りなくなったら、適当な手段で代用して下さいとのことです(笑)。

 「手札の補充」は、山札から2枚引き、手札に補充します。  さらっと書いてありますが、実は特殊カード「商館」を持ってなければ、商品カードを手に入れる手段はこれだけです。  しかも「手札の補充」をすれば「商品カードの決算」が行えなくなるため、相場を操れなくなります。  自分で相場を操作したい場合、商品カードは手に入れたい。しかし今の相場で利益を上げられないという、クニツィア氏お得意の悩ましいジレンマです。  またもう一つ、重要なポイントがあります。  それはこの手順で山札を引ききると、ゲームを終了させられると言うこと。  山札が残り少ない場合、「商館」ともども「その手番にゲームを終了させるか否か?」を決定できるのです。  なので各プレイヤーはゲーム終盤、この「手札の補充」をめぐって様々な駆け引きを考え、時には取引を望むかも知れません(笑)。

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 以上の手番の手順1と手順2を、山札が尽きるまで時計回りに繰り返し、貨幣を稼ぐ。  それが「交易王」への道です。  堂々たる大船団をしつらえ、異国に商館を設立し、腕のいい荷役を雇い、協定により利ざやを得る。  そしてままならぬ相場を活用し、あるいはねじ伏せて一攫千金。  ライバルを出し抜いて勝利者へ。

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 あなたは見事「太陽の沈まぬ帝国」を築けるでしょうか?

 

ライター紹介

綺月鏡水(きづき きょうすい)
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」代表。
 ゲームシナリオライター・プランナー・シナリオディレクター
 専門学校講師「ゲームシナリオ・ゲーム企画等」
 アナログ、デジタルを問わずゲーム好き。
 メカアクションやファンタジー、戦記物、ラブコメなどのゲームシナリオを主に執筆。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ。
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」。
 対戦立体パズル「コンボる?」
 対戦カードゲーム「ぺあぺあ☆エクスチェンジ!」
 その他、多数。