ボードゲームレビュー第6回「地獄の釜」

「地獄の釜」
発売元:ツォッホ(zoch)/日本語翻訳:メビウスゲームズ
作者:タニア&サラ・エンゲル
対象年齢 10歳以上
プレイ人数 2~6人
プレイ時間 約40分


 

 皆様、はじめまして。
 今ブログにてレビュー記事を掲載させて頂く、望月ういんと申します。
 取り上げさせて頂いたゲームを未プレイの方も、既に遊んで好きな方も。
 その「面白さ」と「奥深さ」を共有できれば幸いです。

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 さて、早速ゲームの紹介に移らせて頂きます。
 今回ご紹介致しますのは、1度に6人まで遊べるギャンブル系ゲーム「地獄の釜」です。
 地獄と言えば悪魔。
 地獄の象徴とも呼ぶべき悪魔と賭けを行い、儲けたお金の額で競争を行うという、一筋縄ではいかない印象のゲームです。
 しかしパッケージをご覧頂ければご覧の通り、悪魔と言っても愛嬌のある姿で、どこか親しみやすさを感じますね。
 プレイ感はみんなでワイワイ楽しめて、ルールもすぐに覚えられる敷居の低いゲームです。

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↑もちろんゲームで賭けるのは、このチップです。
 手触りがよく、手に持つと品質の良さがすぐにわかります。

 プレイも非常に簡単でした。具体的な手順はというと――

①手持ちのチップを賭ける。
②賭けたチップ分の点数を目指し、石炭マーカーをめくる。(数字が描かれていれば得点。悪魔が描かれているとアウト)

 ――と、おおまかにはこの2つだけ。
 しかし、このゲームには幾つかの仕掛けが施されています。
 その1つが「特別報酬」。
 このゲームで賭けに成功すると賭け金の倍額が手に入ります。
 これだけなら、多く賭ければ賭けるだけ得をする普通のギャンブルゲームですが、このゲームでは更にその上!
 複数の特別報酬があります!
『高額な賭けを成功させた人』
『石炭マーカーを沢山めくり、高得点を出した人』
 困難でハイリスクな賭けを成功させた人が、ハイリターンな特別報酬を得られるのです!
 無論、特別報酬の条件を複数満たしたプレイヤーには、そのボーナスが重複して支給されますので、賭けに成功したときの見返りが本当に大きい、賭ける事がとても楽しいゲームです。
 しかし賭けである以上、当然失敗もあります。
 大きく賭けて、成功すればその恩恵は絶大ですが、ミスすれば損失も甚大。
 これにより、常にリスキーでスリリングな勝負を堪能できるでしょう。

 なお仮に自分が悪魔をめくっても、他のプレイヤーが自分の賭け金分の得点に達すれば、賭け金は没収されません。
 この安定行動の堅実さも、逆に高額賭けのハイリスクを一層際立たせているのです。

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↑此方が石炭マーカー。
 表面は真っ黒で、裏面には数字と悪魔が。
 数字は得点を現していて、点数もバラつきがあります。

 先に挙げたのが、高額な賭けを積極的にうながすルールです。
 しかしその賭けが運任せでは、ゲーム自体が薄味に感じられ、例え勝利しても、その達成感もすぐに薄れてしまうでしょう。
 しかしご安心ください!
 このゲームでは、その様な心配は一切無用です。
 というのも本作には、場の状況から相手の賭け額を推測できる「読み合い」の要素があるのです!
 賭けの成功率を分かつ「悪魔」のマーカー。
 裏向きで置かれている悪魔の数は、実はプレイヤーに筒抜けです。
 悪魔マーカーの総数は9。
 あとは、プレイヤーにめくられ、場から除外される悪魔の数さえ覚えてさえおけば……!
 具体例を挙げますと――

「9-除外されている悪魔の数=残留している悪魔の数」

 ――という具合です。
 残っている悪魔の数がわかれば、高得点を狙うのがどれくらいの難易度なのかが見えてきますし、それが戦術や読み合いの指針にもなります。
 ガッツリゲームを楽しみたいという実力派の方は、この読み合いを楽しめると思います。
 また、ゲーム中に何度か場の石炭マーカーがリセットされますので、覚えるのが苦手な方も安心!
 何度か挑戦するうちに、確かな上達と、このゲームの面白さを実感できるでしょう。

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↑ゲーム開始時。
 中心にあるのが石炭マーカー。
 めくったら1枚ずつ外側に移動させていき、ある一定量だけ数が減ってきたら、外側の石炭を全て内側に補充します。

 またこのゲームで忘れてはならない、重要な要素がもう一つ。
 それが「悪魔の分配」!
 要点をかいつまんで説明しますと、「ミスをした人が最下位の人にお金を渡す」というルールです。
 受け取れるのは最下位の人のみなので、「僅差であればむしろ最下位になりたい!」という、奇妙な感覚を味わえます。
 一度に移動するお金の額は多くありませんが、頻発するとなればバカにできません。
(頻度は悪魔マーカーの残量に、おおよそ比例します)
 また順位が低い人にとっては、逆転の足掛かりとなります。
 こうした油断できない順位の変動、有利不利の入れ替わりも、イタズラ好きな悪魔のゲームらしいプレイ感。
 このシステムとの向き合い方も本作の醍醐味なのです。

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↑ゲーム中の風景。
 人を模した5色の駒が、すごろくの様に各プレイヤーの現在の資産を示しています。
 互いの現資産を厳密に把握できない点が、いつ逆転されるか分らない緊張感を生みます。

 単純なルールで、スリリングなチキンレースとギャンブルの両方が同時に楽しめるゲーム。 「悪魔の釜」の紹介でした。
 特別報酬のルールが複数ある点で、最初は配当金の処理に少し苦労するかもしれません。
 しかし慣れれば非常にテンポよく楽しめる、優れたゲームだと思います。
 これを機に一度、乗るか反るかのギャンブルに身を投じてみるのは如何でしょうか?

 

ライター紹介

望月ういん(もちづき ういん)
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
 主にゲームシナリオライターにて活動中。
 幼い頃よりゲームのルール制作を趣味にしており、温めている自作ゲームは数知れず。
 以前はTCG(トレーディングカードゲーム)の大型大会へと頻繁に参加していたが、現在は気儘にゆるゲーマー。
 「厨二」と「猫」と「TCG」があれば生きていけると信じている。

代表作
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
 大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え二次大戦(仮)2」
 大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場シリーズ」
 その他、Team・Birth-taleでの執筆多数。