ボードゲームレビュー第65回「アニマルフォトグラファー」

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 「アニマルフォトグラファー」(原題:FOTOLEO)
発売元:HUCH!&friends/日本語翻訳:クレーブラット
作者:ホセ・M・アリュール/ダニ・ゴメス
プレイ人数:2~4人 
対象年齢:5歳以上
プレイ時間:15分


 

どうも、ゲーム大好きライトノベル作家の番棚葵です。
 今回は、動物の写真を撮りまくる? 簡単かつユーモラスなゲーム、「アニマルフォトグラファー」をレビューしたいと思います。

 あなたは世界中を旅し、その途中で動物の写真を撮影します。
 誰が一番早く指示された動物を見つけ、注文通りの写真が取れるのでしょうか?(訳文より)

 なんともシンプルかつ、楽しげなストーリーが、説明書でプレイヤーを待ちます。
 内包されたカードには動物の絵が描いてあり、どうやらこれを取っていくもよう。
 さながらゲーム版動物園かサファリパークといった風情で、動物好きにはこれからどんなアニマルたちとたわむれることができるのか、わくわくすること間違いなしです。
 なお、説明書には動物の種類も書いてあるのでそれを確認してみると、「ネズミ」「ワシ」「サメ」「カエル」「コウモリ」「マンバ(毒蛇!)」など、危険な動物たちの数々が!
 一応、ペンギンやイルカ、コアラなどの可愛いどころも押さえていますが、どうもカードを見たところ、基本的にはサバイバルな環境で動物たちを撮影するのが主眼なもよう。
 思わず居住まいを正したくなるほどの厳粛なゲーム背景ですが、それでもカードの絵柄がほのぼのとしているので、大人から子供まで楽しくプレイできてしまう逸品なのです。
 
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 このゲームの内容はいたって単純で、一言で言うと「選択された特徴に該当するカードをどんどん取っていくかるたゲーム」。
 動物の絵柄が描かれたカードを5つの山に分け、プレイヤーは付属のサイコロを振ります。
 このサイコロには数字ではなく、特徴を現すマークが描かれていますので、その特徴を持つカードを5つの山の一番上から選択し、取っていくことになります(この過程をラウンドと呼びます)。
 例えば、サイコロを振って「二足歩行」のマークが出たとしましょう。
 場にある山札のうち、一番上にあるのが「ハリネズミ」「ダチョウ」「コウモリ」「ペンギン」「シマウマ」だったとします。
 このうち「ダチョウ」と「ペンギン」が「二足歩行」なので(二本の足で歩きますからね)、それを取ればいいことになります。
 かるたゲームである以上、このゲームは早い者勝ち。反射神経を研ぎ澄まし、頭を回転させ――といってもそんなに複雑な特徴はないのですが――特徴に該当する動物のカードを取りましょう。
 この時、中央に設置したベルを鳴らして「動物の名前を元気よく宣言(←重要)」してから、カードを自分の前に置くことになります。
 そしてそのカードは一時取得したプレイヤーの預かるところとなり、そのままラウンドは続行されるのです。
 このゲームの最大の特徴として、「サイコロが出した特徴に該当する(と思われる)カードがある限り、何枚取ってもいい」というものがあり、先ほどの例だと「ペンギン」を取った後に「ダチョウ」を取ることもできますし、「ペンギン」を取ったその下に「ワシ」があるならそれを取ってもいいわけです。
 もちろんこのチャンスはすべてのプレイヤーに対して平等ですので、一瞬の油断もなくカードをチェックしながら、どんどん取っていく必要があります。
 そして、該当する動物のカードがもうないと思ったら、プレイヤーのうち誰かがベルを二回鳴らします。
 これにより、ラウンドは終了され、確保しておいたカードの答え合わせに入るのです。
 すべてのカードの裏には、その動物の特徴を示すマークが描かれており、これはサイコロに描いてあるマークと対応しております。
 すなわち、サイコロが出したマークに該当するカードかどうかに対して容易に解答を出すことが可能で、正解であればカードはそのままプレイヤーの得点となります。
 ただし、マークに該当しなかったカードは得点とはならず、任意の山札の一番下に戻さなくてはなりません。
 そして、ラウンドを終わらせた(ベルを二回鳴らした)プレイヤーの、右隣のプレイヤーがサイコロを改めて振り、次のラウンドが開始されます。
 このラウンドの開始と中断は、山札のいずれかがなくなるまで続き、最終的に得点=獲得したカードががもっとも多かったプレイヤーが勝利となるのです。
 
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 ベルの早押し、動物に対する理解を求められることからも、このゲームはかるた以外にクイズの要素も入っています。
 ただし先述した通り、ダイスに描かれた特徴はさほど難しいものではないので、そんなに悩むことはないと思います。
 ただ、内容に落とし穴があることも確かで――それが、「活動時間帯」。
 動物の活動時間帯を示す「昼行性」「夜行性」「昼夜どちらも活動する」という特徴があり、これが意外と予想と違って驚いたりすることもあるのです。
 例えば、一般的な鳥系が「昼行性」なのは何となくわかりますし、逆にミミズクが「夜行性」なのも簡単にわかることです。
 ですが、ペンギンが「昼夜どちらも活動する」のはあまり知られてないんじゃないでしょうか。
 また、サイが「夜行性」だということは番棚はこのゲームで初めて知りましたし、キリンが「昼夜問わず活動する」ことも教えられました。
 こんな具合に、新鮮な驚きが隠されているのも「アニマルフォトグラファー」の特徴です。
 また、カードに描いてある動物の姿は微妙に草や木などで隠されており、初見ではどんな動物なのかわからないことも多々あります。
 「蛇かな?」と思って手にしたカードが、実は草むらで手足が隠れていた「トカゲ」だったりして、「騙したなこの○○やろう!」と思わず絶叫することも少なくないのです(あまりありません)。
 こんな具合に、このゲームは知識や観察力を要求されるところもあり、ゲームのルールである「カードを取る時にはベルを早押ししなければならない」という要素も相まって、ますますクイズゲームのような雰囲気を醸し出します。
 早押しクイズ+かるたゲームを、動物の愛らしさでさっくりと焼き上げた、スナック感覚のゲームと言えるでしょう。

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 余談ですが、このゲーム。
 原題は「FOTOLEO」となっています。
 パッケージを見ても、ライオンがカメラを構えている姿があるので、どうやら撮影主はライオンのもよう。
 つまり、このライオンはどんな危険な動物も恐れず、動物の特徴を理解しながら撮影を行っているわけで、その勇敢さと知性の光る姿やさすが百獣の王!
 ――その割には写真を撮らされている姿は、何となくパシリの哀愁を漂わせるのですが。
 しかし、そんなパシリライオンにだって意地はあります。
 どうせパシリと化すなら徹底的に。中途半端はやめて、プロのカメラマンに徹しましょう。
 必ず他のライオン=プレイヤーをけ落とし、沢山の写真を撮って、依頼主のご機嫌を取ろうではありませんか!
 
 というか誰だ、百獣の王に写真を撮るよう依頼した奴は!?

 などと、ほのかな疑問を抱きつつも、子供から大人までお手軽に遊べる、実に正しいパーティゲーム。
 場がわいわいと盛り上がること必至ですので、機会があればぜひプレイしてみてください。

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番棚葵(ばんだな あおい)
 ライトノベル作家。
 同人サークル「冒険者の館」でゲームも制作。
 古今東西問わずアナログゲームが好き。
 ボードゲーム、カードゲーム、TRPGなど様々なジャンルのゲームをたしなむ。

代表作
・ライトノベル
「生徒会ばーさす!」
「Dソード・オブ・レジェンド」
「神をしめなわっ!」他
(集英社スーパーダッシュ文庫より)
・ノベライズ
「カードファイト! ヴァンガード」
(角川つばさ文庫より)
・ゲーム
「メイガス」
(同人ゲーム)