ボードゲームレビュー第66回「コルト・エクスプレス」

「コルト・エクスプレス」
発売元:ホビージャパン
作者:クリストフ・ランボー(Christophe Raimbault)
プレイ人数:2~6人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:約40分


時は1899年7月11日、アメリカ合衆国の西部ニューメキシコ州。
そう、西部だ! 銃だ! 列車強盗だ!
この「コルト・エクスプレス」ではプレイヤーは西部の荒くれ者となって、列車強盗に挑戦することになります。
砂塵舞う活劇の舞台は往年の名画『ワイルドバンチ』『明日に向かって撃て!』でおなじみ西部の荒野。
西部一の大金持ちになるためには、他のアウトローの足を引っ張るのも厭いません。
目的はただ一つ。金、金、金!

というわけで初めまして。ライトノベル作家の蝉川夏哉と申します。
今回ご紹介する「コルト・エクスプレス」のテーマは列車強盗。
西部劇に思い入れのある方もそうでない方も楽しめるシンプルかつスリリングなゲームに仕上がっております。

特筆すべきはそのコンポーネント。

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そう、列車です。
コンポーネントを組み立てると列車が完成するのです。機関車に牽かれる列車を見ると、気分はもう大西部!
ニューメキシコ州フォルサムを出発したユニオン・パシフィック急行が今回のゲームの舞台。
プレイヤーの人数分連結された列車の中と屋根の上で略奪と妨害の銃撃戦を繰り広げます。

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狙うは先頭の機関車に保管されているナイス・ヴァレー石炭会社の一週間分の給料が詰まった金庫!
こつこつと乗客から財布をせしめるか、一気に勝利を目指して金庫を奪うのか。
有名なワイルドバンチ強盗団より性質の悪いキャラクターたちは、同じ列車を襲う強盗(他プレイヤー)にも情け容赦なく銃を向け、終着駅に辿り着くまでに一番多くの富を手に入れるために奔走します。

プレイヤーはその分身である6人のアウトローの中から1人を選んで遊ぶことになります。

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個性豊かな特技を持つ彼らの内、誰を選ぶかは勝敗を大きく左右するでしょう。

さて、「コルト・エクスプレス」の勝利条件は到って簡単。
金です。
ゲームの舞台となる1899年と言えば日本では明治32年。日清戦争の5年後です。
アメリカでも夢と浪漫に満ち溢れ、銃の腕一つで伸し上れる西部劇の時代は終わろうとしています。
であればこそ、最後のアウトローたちはこの列車強盗で一攫千金、西部一の大金持ちとなることを狙うのです。
後は野となれ山となれ。
南米に逃げ延びるのか、それとも新しい名前と身分を手に入れてアメリカで暮らすのか。
そんなことは金を手に入れてから考えればいい。
最終的に最も多くの金を手にしていたプレイヤーが勝利を収めるシンプルなルール。
お金を得る方法はいたって簡単、列車内の客から宝石や財布を奪う事です。

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様々な金額の入った財布、一個につき500ドル相当の宝石。
残虐非道な列車強盗に逆らえば命はない、というわけでこれらは比較的簡単に乗客から奪い取ることができます。
しかし列車強盗の本当の狙いは、1000ドルの詰まった金庫……
この金庫は価値が最も大きく、同時に一番入手するのが難しいアイテムでもあります。
先頭車両に安置されたこの金庫の傍にはサミュエル・フォード保安官がぴったりと寄り添い、列車強盗の襲撃を待ち構えているのです。

保安官はゲームのルール上、無敵です。
撃つことも殴ることもできず、出会えば即座に屋根の上へと逃げるしかありません。
しかも漏れなく、鉢合わせした強盗は流れ弾を喰らうことになります。
保安官やライバルたちからの流れ弾はアクションカードの山に加えられるので、デッキがどんどん重たくなっていくのです。
死にこそしませんが、列車強盗での負傷は後の行動に響いてきます。
巧く立ち回ってなるべく流れ弾を受けないようにするのも、西部のガンマンの嗜みです。

さて、ゲームは五ラウンドで構成されます。
これは終着までの道程を表し、いくつかのターンに区切られています。
鉄路の途中にはトンネルがあったり急ブレーキがかかったりと様々なイベントが起こります。

ターンはそれぞれ二つのフェイズに分かれます。
第一フェイズは「計画」

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手札からアクションカードを場にプレイします。
基本的には開いた状態で次のアクションを決定するので先の手番のプレイヤーの動きを見ながら行動を計画していきます。
ターンによっては「トンネルの中」で裏向きにプレイしたり、一度に二枚のアクションを連続して行ったりすることもあります。
先の手番のプレイヤーのプレイするカードを見ながら、走ったり登ったり、撃ったり、殴ったりと計画していきます。
もちろん乗客から財布や宝石を奪うことも忘れずに。
意外と重要なのが保安官をおびき出すアクション。巧く機関車から引き離して、目当ての金庫をゲットしましょう。

第二フェイズは「実行」
場にプレイしたアクションカードを順番に実行していきます。
乗客を脅して財布をゲットしたり、気に食わない相手を銃で撃ったりと大忙し。

但し、計画したカードは状況が変わっても実行しなければならないので、読み合いが勝敗を分けます。
悪巧みをした通りに事が運べばいいのですが、なかなかそうはいかないのもこのゲームの醍醐味。
屋根の上から降りた先に待ち構えていたライバルに打ん殴られたり、保安官を誘導してけしかけられたり……
勝利を掴むためには巧い立ち回りが必要になってきます。

この二つのフェイズをターンごとに繰り返していくのが大まかな流れです。
各ラウンドのターン数はラウンドカードによって決まっています。
ラウンドカードには様々なイベントが用意されており、それも踏まえた上で「計画」を練らなければなりません。
相手の計画が読めないトンネルや、屋根の上にいると最後尾まで吹っ飛ばされる急ブレーキなど。
ピンチをチャンスに変えながら、乗客から財布や宝石を巻き上げましょう。

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さて、「コルト・エクスプレス」には耳触りのいい共闘などというものは当然ありません。
タイトルにコルトと入っているだけあって、列車内は銃弾が飛び交います。

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西部一の金持ちアウトローになるためには、足の引っ張り合い上等。
アメリカ版「仁義なき戦い」を生き抜くためには同じ列車を襲う仲間と言えど、容赦なしです。
打ん殴ったり銃で撃ったり、相手プレイヤーをどんどん邪魔しましょう。
殴れば相手は隣の車輛まで吹っ飛び、持っている財布を一つ落っことします。
射撃すれば流れ弾を喰い、段々デッキが重くなって思ったようなアクションができなくなっていきます。
コルト拳銃に弾は6発もありますからどんどん撃って邪魔をしましょう。
ゲーム中に一番多く射撃したプレイヤーには「ガンスリンガー」のボーナスがあり、1000ドル加算されるので撃たないという手はありません。

列車の進行のようにスピーディに進むゲームはプレイ時間がおおよそ40分。
状況はめまぐるしく変わり、ライバルの持つ財布や宝石の数に一喜一憂することになります。
よく奪い、よく殴り、よくぶっ放せ。
アウトローとして最終的に勝利を掴むためには、運と頭脳と狡猾さが必要になってきます。
さぁ、貴方も硝煙と砂塵の煙る大西部最後のアウトローになってみませんか?

ライター紹介

蝉川夏哉(せみかわなつや)
 駆け出しライトノベル作家。
 小説投稿サイト「小説家になろう」出身。
 第二回エリュシオンライトノベルコンテスト大賞受賞。
 元八百屋

代表作
 『邪神に転生したら配下の魔王軍がさっそく滅亡しそうなんだが、どうすればいいんだろうか』(アルファポリス)
 『異世界居酒屋「のぶ」』(宝島社)