ボードゲームレビュー第82回「CV-履歴書-」

「CV -履歴書-」
メーカー:GRANNA/グループSNE
作者:フィリップ・ミウンスキ
プレイ人数:2~4人
対象年齢:8才以上
プレイ時間:約60分


 

毎度どうも、ライターの松風でございます。
春からの新社会人や新入生の方々は、そろそろ新しい環境にも落ち着いて、五月病も乗り越えた時期でしょうか。
そんな頃合いにご紹介するのが今回のゲーム、『CV(履歴書)』です。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

履歴書と言いましても、企業に就職活動する際やアルバイトに応募するために作るあの書類ではありません。
このゲームでの履歴書とは、むしろ老後までを扱った、いわば最後に人生を振り返るもの、と思っていただいた方がイメージに合うでしょう。

簡単に言いますと、特殊なダイスを振ってカードを獲得し、架空のキャラクターの人生における様々な出来事を積み重ねていく、というゲームになっております。
テーブルトーク・ロールプレイングゲーム(TPRG)に慣れた方だと、いわゆるライフパス(来歴表)を作っていく過程に近いかも、と言えばお分かりいただけるでしょうか。
ダイス目によって出来上がっていく自分のキャラクターの職歴や交友関係などを眺めるのは、あれこれと想像が膨らむ楽しい作業ですよね。

では、まずはセットアップから。
卓の中央にボードを広げ、カードを裏の種類ごとにシャッフルして山札を作っておきます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

カードには『子ども時代』、『青年時代』、『中年時代』、『老年時代』、『人生の目的』と5種類あります。
この内、子ども時代カードはプレイ人数に応じて総枚数が変わりますが、それぞれのプレイヤーに3枚ずつ配っておきます。
同様に、人生の目的カードも1枚ずつ配っておきましょう。

その後、プレイヤー人数-1枚をボードの旗印の描いてあるマスに表向きに並べます。
そして、青年時代から老年時代カードをボードの指定の位置に置き、まずは青年時代カードから5枚をめくって、ボードのトラック上に並べたら準備完了です!
ダイスとトークン類は一か所に固めて置いておきましょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

この時点で、プレイヤーの手元には子ども時代カード3枚と人生の目的カード1枚があるはずです。
子ども時代カードはそのまま手札になりますが、人生の目的カードは裏向きのままゲーム終了時まで伏せておきます。
人生の目的カードは、ゲーム終了時にその内容を達成できていればボーナス点が入ってくるカードですので、それを目安にして人生設計を立てるのがいいでしょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

さて、ここからが実際のゲームに入ります。
まずは手札の中に『自転車』のカードがあるプレイヤーはそれを公開し、スタートプレイヤーになります。
自転車カードはプレイ人数が変わっても必ず入るカードですので、シャッフル時に忘れずにチェックしてください。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

プレイの流れも、いたってシンプルです。
各プレイヤーは、自分の手番でダイスを4個振ります。
この時、出た目を『コスト』として数えます。
そして、ボード上にオープンになっている時代カードの中から、コストで購入できるかぎり、1~2枚のカードを獲得することができるのです。
ちなみにカード名のすぐ下に描かれているのがそのカードのコストで、一番下に描かれているのがカード効果になります。
慣れていないと混同しやすいので、注意しましょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

時代カードには、それぞれ6種類のシンボルが描かれています。
この内、『イベントカード』と呼ばれるものは手札に入って、必要なときにコスト代わりなどに使う、使い捨てカードになります。
子ども時代カードは基本的にイベントカードとして使います。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

それ以外のシンボルは『健康』『知識』『人間関係』『仕事』『財産』と5種類あり、これらは獲得したら種類ごとに、自分の手元に並べていきましょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

これらの5種類のカードは、獲得する度に上に重ねられていき、一番上のカードが常に『アクティブカード』として効果を発揮します。
この時『健康』『人間関係』『知識』の3種類に関しては、一番上ではなく並びの中に入れても構いませんが、『仕事』と『財産』の2種類だけは常に新しく獲得したカードが一番上に置かれます。

アクティブになっているカードはそれぞれ、決まったシンボルを生み出してくれたり、振れるダイスの数が増えたりと、強力な効果が付いていますので、人生の様々な局面にどの効果が有効なのかを常に考えていかねばならないでしょう。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

例えば、『子ども』の『人間関係』カードは毎ターン維持コストとしてお金のシンボル1つが掛かりますが、幸運1つと人間関係1つのシンボルを生み出してくれます。
『年金積立』はイベントカードとして、老年期のみお金シンボルを大量に生み出せます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

振ったダイスの中には『幸運』と『悪運』の目が存在していて、それぞれが3つ出てしまうと、特殊な効果が発生してしまいます。
幸運ならば、ダイスやコストの数と種類に関係なく好きなカードを獲得できる、という嬉しい効果が! (ただしコスト以外に条件があるものは、それも達成していないといけません)
しかし悪運が揃ってしまうと、なんとアクティブ状態の仕事カードを失ってしまいます! 人生にしばしば訪れる失職の危機!
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

もしカードを獲得してボード上に空きができたら、矢印に従って即座にカードの位置をずらし、山札から空きを補充します。
青年時代の山札が尽きたら中年時代に、それも尽きたら次は老年時代に、と時代の山札は変わっていきます。

ダイス目が悪くて取れない、あるいはもう取れるカードがなくなったら、手番は次のプレイヤーに移ります。
この時、トラックの左端のカードが捨て札となり、新しいカードが補充されてから、次のプレイヤーのターンが始まります。
トークンによる『アクティブカード』表示の更新などもありますが、なくても進行にはさほど影響しないでしょう。
あくまでトークン類は『今どのカードがアクティブに効果を発揮しているのか』を明示するためのものですので、慣れてくると使わなくなってくるかもしれません。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

3つの時代カードの山札が尽きるたび、プレイを一時中断して『社会援助』と呼ばれるフェイズが入ります。
これは、自分以外のプレイヤーの誰かが、手元のカード置き場(CV)に自分の二倍以上のカード枚数を持っている場合、要するに自分の持ちカードが極端に少ない場合に、トラック上から好きなカードをノーコストで1枚もらえる、という救済ルールになってます。
ゲームが順調に行っていればあまり起こらないかもしれませんが、そういうチェックが入るということは覚えておいて損はないでしょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

最後に、老年時代の山札の残り枚数が参加プレイヤー数を下回ったらゲーム終了です。
自分のCVを見て、得点表と照らしあわせて勝利点を計算していきます。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

人生の目標カードも、ここでオープンにして達成できているかをチェックしましょう。
ボード上に置かれている『公の人生の目標』カードは、全員が達成できているかをチェックして、最も達成度の高いプレイヤーが勝利点を得ます。
最終的に、一番多くの勝利点を稼いだプレイヤーの勝利となります。
同点なら、CVにあるカード枚数の少ないほうが勝ちです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

てな感じで、ルールやゲーム進行はごくシンプルで分かりやすいものになっています。
ただ、カードの説明を極力減らすためにアイコンの種類が割と多くなっており、把握するまでは少し戸惑ってしまうかもしれません。
青年期から老年期に行くに従ってカードのコストが重くなっていきますので、若いうちからステイタスの確保(カード効果による対策)をしないと、年取ってから手詰まり感が出てくるというのが、現実の人生を反映しているようでなかなかいいデザインですよね。
しかし振れるダイスをあまり増やすと、悪運による失職の確率が増えてしまうので、それを補うカードが必要になってきたりと、なかなか難しい側面もあります。
OLYMPUS DIGITAL CAMERA

という訳で、今回のプレイで出来上がった筆者のキャラクターは、MBAを卒業した記憶術の達人というスペックの高い人材。
たまに仕事をくれる友人や有名人の知り合いに恵まれているせいか、青年期までにまともに定職にはつかず(仕事カードが全然取れなかった)、その割には海外を飛び回ったりしている自由人。
中年期になってようやくフリーランサーなどというフワッとした肩書きを名乗るようになり、かと思えば仕事が当たったのか、あっという間に個人事業主になったりと、なんだか人生イージーモードの人っぽい。
人生の目的だった万能人も2回達成して、ライバル(?)だった科学者やCEOを押しのけて見事勝利いたしました。

豪邸に住む企業のトップや、教授職に就いた科学者よりも勝ち組になったのがハイスペックな自由人というあたり、人生ってなんだろうと考えずにはいられませんね!
決して肩書きや財産だけで人生の価値は決まらない、そんな事に気づかせてくれるのがこのゲームの深い意義なのかもしれない、と言ったら言いすぎでしょうか?

ともあれ、こんな風にゲーム終了時に自分のキャラクターを振り返って、あれこれ想像してみるのが楽しいゲームであります。
どちらかといえばゲーム内の勝敗よりも、出来上がったキャラクター(の人生)について、みんなでワイワイ語り合う方が盛り上がるかもしれません。
ダイス目に左右されながら、お手軽にいろんな人生を過ごしてみるのも楽しいもんですよ!

といった所で、今回のゲームはいかがだったでしょうか?
それでは、また次の機会にお会いしましょう。

 

ライター紹介

松風志郎(まつかぜ しろう)
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
 ゲームシナリオライターだけでなくゲームのシステムデザインなども手がける。
 アナログゲームとの関わりは古く、幅広いジャンルをたしなむ。
 世界観にとっぷりと入り込めるゲームが好き。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ
 大戦シミュレーションゲーム「萌え萌え2次大戦(略)」シリーズ
 大戦シミュレーションゲーム「出撃!乙女達の戦場」シリーズ
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」
 その他多数。