ボードゲームレビュー第95回「ラー」

「ラー」(原題:Ra)
発売元:Rio Grande Games/日本語翻訳:ニューゲームズオーダー
作者:ライナー・クニツィア
プレイ人数:2~5人
対象年齢:12才以上
プレイ時間:45~60分

※店長註:記事内で使われている「ラー」の画像は旧版の物です。
今回発売の日本語版はパッケージサイズが小さくなるなどの変更がありました。

 


 

 

毎週木曜日はキウイの日! 今週もレビューの時間がやって参りましたね♪ どもども、三家原なのです~♪

いやー、このキウイゲームズ様でのレビューが始まって、もうすぐ100回目に突入しようとしてますねー。

果たして記念すべき100回目を飾る作品は何なのか、今からドキドキなのですよ……あと出来れば私が100回目を飾りたいなと密かな野望を抱いたりしています(まてこら)

普段なら新作ゲームを中心にご紹介しているこのキウイゲームズレビューですが、今回ご紹介するのは、ちょーっと違います!

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

なんたって、今回ご紹介するニューゲームオーダー様より発売中の「ラー」は、なんと今から遡ること16年前の1999年……そう、ちょうどアンゴルモアの大王が地球征服に乗り出そうと躍起になっていた世紀末の年!!(違)

そんな腐敗と自由と暴力のまっただ中に発売された「ラー」ですが、見事にヒットを飛ばして何度も再版がされたのですが、ほとんどがドイツ版や英語版で、日本語は出ないままでした。

しかし、そんな「ラー」が、なんと今年の8月にニューゲームオーダー様より初の日本語版でリリースされることとなったのですよー!

だから、今回はその日本語版発売を記念してのレビューとなったワケなのです!

さてさて、そんなワケで「ラー」の作者様は、もう説明する必要もないボードゲーム界の重鎮、ライナー・クニツィア様!

もうこの「ラー」をリリースした前年には、年間ゲーム大賞を受賞したり、ドイツゲーム賞でも複数回1位を獲ったりとまさにイケイケドンドンな状態だったワケですが。

この「ラー」も 北米にあるボードゲーム愛好者団体「シュピールフリークス」が毎年行っている新作人気投票「ミープルチョイス賞」で受賞しちゃったり、リリースした年のドイツゲーム大賞で2位を獲得したりと輝かしい記録を打ち立てた猛者なのですよ。

さあ、そんな素敵ゲームとはいったいどんなモノなのか!? 早速ご紹介ご紹介なのですよ~♪

このゲームはエジプトの歴史の中、1500年の長きにわたって行われます。 この期間を通じ、自らの力そして名声を拡げることを目指すのです。

方法はいくつもあります。ファラオに影響を及ぼし、モニュメントを築き、ナイルを耕し、文明を発展させ、 民衆の文化や科学力を高める……全て太陽神ラーの栄光のために!(原文ママ)

……とまあ壮大な冒頭から始まる本作、これを聞いた私はシド・マイヤーズ先生の「シヴィライゼーション:ボードゲーム」を連想してしまい、思わず身構えてしまったのですが、こちらはそんなヘビーゲームではなく、サクッと説明してしまうとシンプルな競りゲームなのですよ。

まあ、やることはシンプルなんですが、そこはクニツィア先生……一筋縄ではいかせてくれないのですよ(笑)

 

○ゲームの準備

まずは、テーブルの中央にゲームボードを置きます。 このゲームボード上には2つのタイルを置く列が描かれていて、盤の上部にある10枚分の枠が「ラー・トラック」。 盤の下部にある8枚分の枠を「オークション・トラック」と呼びます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「ラー・トラック」には、プレイヤー人数に応じた位置に、ラータイルを一枚配置。 そして、このゲームボードの中央には1の太陽チップを配置します。 ゲームボードを設置したら、次は勝利点マーカーを5点を2枚の計10点ずつプレイヤーに配布しましょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

次に、太陽チップと呼ばれるチップを、プレイする人数に合わせて、決められたグループ分けをしたら、裏返しにして、ランダムに受け取ります。 受け取ったら、プレイヤーはそれを全て表に向けて並べます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

この時、一緒にラーの像をゲーム盤の脇に置いておきましょう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

これらの準備が整ったら、ゲーム中に使用するタイルをよく混ぜて、袋の中に放り込みます。 これでゲームの準備は完了。意外と簡単なんですよね。

 

○ゲームの手順

さあ、早速ここからはゲーム開始です。 まず最初のプレイヤーは、準備の時にもらった太陽チップの数字が一番大きい人からスタートとなります。

手番になったプレイヤーは大きく分けて、3つのアクションを選択することになります。

1)タイルを一枚引いて、オークション・トラックorラー・トラックに置く。

多分、このゲームで一番多く使用するアクションですね。 タイルは大きく別けて8種類のタイルが存在します。

1:ファラオ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

種類は1種類だけ、基本的にタイルは精算時の得点にしかならないのですよ。

2:ナイル

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「洪水」と「ナイル」の2種類。

3:文明

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「芸術」「農業」「宗教」「天文」「文筆」の4種類、同じ奴を複数集めると良いことが?

4:モニュメント

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

「要塞」「オベリスク」「宮殿」「ピラミッド」「スフィンクス」「像」「階段ピラミッド」「神殿」の計8種類。 これも複数集めると強力なのですよ。

5:金貨

持っているだけで得点になる、得点の塊がこの金貨なのですよ。

6:ラー

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

引いたら唯一「ラー・トラック」に配置するタイル。 そして同時に競りが開始してしまうタイルなのですよ。

7:神

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ゲーム中に特殊効果を発揮できるタイル。

8:災厄

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

このゲーム中、唯一のマイナス要素。 競りでうっかりと手に入れてしまったプレイヤーは、1枚ゲットする毎に2枚消失となります。

「葬儀」……ファラオが消失。 「干害」……優先的に「洪水」が消失し、無ければ「ナイル」が消失。 「騒乱」……任意の文明が消失。 「地震」……任意のモニュメントが消失。

以上、これらのタイルがランダムに入れられた袋の中から1枚手にとって、通常タイルなら「オークション・トラック」に、もしもラーを引いたら「ラー・トラック」に置いて、競りを開始しなければなりません。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

何が出るかな♪ 何が出るかな♪

 

2)ラーを呼び求める。

「オークション・トラック」にタイルが増えてきて、そろそろ欲しいと思ったら、この「ラーを呼び求める」を行います。 ……と、こう書くと妙な感じがしますが、簡単に言えば「競り」を行うのですよ。

ちなみに、この時は元気よく「ラー!」と叫びましょう(笑)

叫んだ人には、「ラーの像」が授与されて、叫んだプレイヤーの左隣から「オークション・トラック」のタイルに対して、競り値をつけていきます。 この時に出すのが、プレイヤーに配られた太陽チップなのです。この数字がそのまま競り値となります。 なので、地味に最初に配られた数字がそのまま強さになってしまうという恐ろしさ……最初から運もけっこう重要な要素となっているのですよ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

ちなみに、太陽チップが置かれたら、次のプレイヤーはそれよりも大きな数字を出さなければなりません。 なので、もしも残りの太陽チップに大きい数字がない場合や、オークション・トラックに魅力がないと思ったら、思い切ってパスする事も可能です。

一周して、もっと値の高い太陽チップを出したプレイヤーが、オークション・トラックのタイルを全て手に取り、公開した状態で自分の場に置きます。 そして同時に、ゲームボードの中央に置かれた太陽チップと競りで出した太陽チップを交換し、受け取った太陽チップは裏向きにして伏せておきます。

ただし、誰も値をつけない状態で一周してしまい、「ラーを呼び求める」行為をしたプレイヤーに順番が回ってきた場合はパスは出来ません。 ラーを呼んだ責任をとって、諦めて大きな数字を出しましょう(苦笑) まあ、自発的に呼んだ人は大体はそのオークション・トラックのタイルが欲しいと思っての行為だと思うので、そういうミスはないと思いますけど……あっ、でもあれか、良いタイルが並びすぎないように妨害させるのに使うことが出来るのか。 むむむっ、まさに駆け引きの場ですね。

あと、ラーのタイルを引いてしまって競りが発生してしまった場合は、全員がパスをして競りをなかった事にするというのは可能らしいです。

3)神タイルの使用

タイルの中には、アヌビス・バステト・クヌム・ホルス・セト・セベク・トート・ウトの計8種類の神タイルが存在します。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

プレイヤーはこの神タイルを所持している場合、ゲーム中から廃棄する事で、オークション・トラックに置かれている任意のタイルを取得する事が出来ます。 ただし、神タイルを捨てて、神タイルを取得という手段は出来ませんので注意しましょう。 また、このアクションによって、オークション・トラックに穴が空くことがありますが、この場合、次の手番以降でタイルを置く際、優先的に埋めて置くようにしていきます。

たった3種類だけど、複雑なのかと思ったらこのシンプルさ(汗) でも、このゲーム、本当にこの3種類のアクションだけで成り立っているから驚きなのですよ……。

 

○時代の移り変わり。

全てのプレイヤーが太陽チップを使用する、もしくは、ラー・トラックのタイルが満杯になった場合、その時代は終了となります。

このゲームは古代エジプトの歴史を反映しているそうで、古王国の時代、中王国の時代、新王国の時代と3つの歴史で構成されています。 まあ、時代が変わっても何かルールが変わる訳ではないのですが(え)。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

とりあえず、その時代が終わったら精算が行われます。 まずは裏向けている手元の太陽チップを全て表向きにして、以下のように得点計算が進みます。

・神 1枚につき2点を得ます。ただし清算後には、捨て札となります。

・ファラオ 最も多く所持しているプレイヤーが5点を得る。ただし、最も少ないプレイヤーは2点を失う。時代が変わっても持ち越し出来る。

・洪水/ナイル川 洪水を所持していたら、ナイル川と洪水の数分だけ勝利点を得る。ただし清算後、洪水を全て捨て札にして、ナイルだけ持ち越す。

・文明 各時代の終了時、1枚も所有していないプレイヤーは5点を失う。 また手元の文明タイルが異なる3種類なら5点、4種類なら10点、5種類なら15点を得ます。

・金 1枚につき3点を得る。清算後には捨て札になる。

・モニュメント モニュメントは3回目の清算時にのみに計算します。 1種類につき1点、ただし7種類保有すれば10点、8種類なら15点。 さらに同じモニュメントを保有すると、3枚なら5点、4枚なら10点、5枚なら15点と高得点が望めます。

・太陽チップ これも3回目の清算時にのみの計算となります。 手元のトークンの合計値がもっとも大きいプレイヤーが5点、もっとも小さいプレイヤーが5点を失います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

この場合だと、仮に1~2回目の計算だとすると ファラオ:5点+洪水・ナイル:10点=15点

もしも、最終ラウンドの3回目の計算だとすると ファラオ(5点)+洪水・ナイル(10点)+モニュメント(15点+5点=20点)+太陽チップ(5点)=40点

ううむ。最終ラウンド、すごい得点ですね(汗)

 

○ゲームの終了

3回目の清算が終了したら、ゲームの終了となります。 この結果、もっとも多くの勝利点を持つプレイヤーが勝者となり、もしも同点の場合、その中で最も大きい数字の太陽チップを保有しているプレイヤーが勝利となります。

……以上が「ラー」の準備と遊び方なのです。 うーん、やってみた感想としては、本当にシンプルなゲームだったなーっと思いますねー。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

でも、そこはクニツィア先生のゲーム、駆け引きが半端ないです。 特に、競りを行うタイミングは結構重要ですね。いくらいいタイルが揃っていても、それを競り落とせないと意味がないし、だからといって攻めずにいると、ラータイルがいっぱいになって時代が終了してしまったり。 あと、競り落とす時もいくらで競り落とすかが重要になってきますね。 特に、その落とした額が次に競り落とした人の懐に入って、次の時代に利用される訳ですから、下手に強い人に高い数字を行かせないように不利だと思っても競りを始めるなんて場面があったりと、ずーっとゲーム中は「ラー!」「ラー!」「ラー!」「ラー!」と叫んでいたのですよ(笑)

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

もう軽く16年前のゲームとはいえ、今でも十分楽しめる良いゲームです。 日本語版も出たということで、これを機会にやった事のないという方もぜひ一度プレイしてみてくれるといいんじゃないかなーっと思う、さすがの逸品なのですよ!

 

ライター紹介

三家原優人(みけはら ゆうと)
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」所属。
 ゲームシナリオライターだけでなく、映画会社にて長編映画の脚本や出演など多岐に渡って活動中。
 趣味はガジェット集め。国内・国外問わずの気になるガジェットを集めては愛でる日々。
 実は某公国の爵位を持っていたりする。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ。
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」。
 長編ホラー映画「腐女子」。
 その他多数。