ボードゲームレビュー第97回「ニューヨーク1901」

「ニューヨーク1901」(原題:NEYWORK1901)
発売元:Blueorange/日本語翻訳:テンデイズゲームズ
作者:シェニエ・ラ・サール
プレイ人数:2~4人
対象年齢:8才以上
プレイ時間:30~60分

 


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「ニューヨーク1901」

 どうも、こんにちは。ゲーム大好きライトノベル作家の番棚葵です。
 今回は、タイルを配置してビルを建設していくのが楽しい、「ニューヨーク1901」をレビューしたいと思います。

 時は1901年、高層ビルに対するブームは一時のものではありません。(中略)建築者たちは、この鋼の巨人たちを空に届くよう遙か高くに作り上げ、富と名声を目指します。
(マニュアルより抜粋)

 ゲームの背景はざっとこんな感じで、プレイ内容もまさにこの通り。
 プレイヤーたちは土地を獲得し、獲得した土地にビルを建てていきます。
 土地はボード上に区切られているマスで、ビルはタイルで構成されており、そのマスにあわせてタイルを置いていく配置型ゲームです。
 もちろん、ただ置くだけでは面白くも何ともないので、そこはゲームとして楽しめるように様々な仕掛けが用意されています。

 
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 ギミックの1つとしては、ビルのパネルがすべて同じ形というわけではないということ。
 長方形ならまだ置きやすいのですが、L字型とか、正方形に1マスぶん突き出ているタイプ。さらには長方形が2つずれた形でくっついているものなど、様々なタイルが存在し、ぱっと見た目テト○スを連想させます。
 もちろん、パネルの形が複雑であるほど置きにくく(パネル同士が重なり合うように置いてはならない)、あらかじめその配置方法を考えておかなければなりません。
 また、パネルは独特の形をしているのに、獲得する土地自体はシンプルだという要素もあります。
 土地の種類は、縦に2マス、縦に3マス、L字型に3マスの3種類しかありません。
「シンプルなら逆に置きやすいんじゃないか」と思われる方もいるかもしれませんが、このゲームではプレイヤーが確保している土地にしかビルは配置できないのです(大きなパネルを配置するには、複数の土地を確保しておく必要があります)。
 つまり、正方形に1マスぶん突きだしているようなタイルを配置してやるには、複数の土地を獲得しておかなければなりません。
 付け加えて、このゲームの土地は4つの色に分けられていて、どの色の(そしてどの形の)土地を手に入れられるかは、場に出されているカードで決定される仕組み。
 今獲得している土地に隣接してビルを配置できるような色と形の土地が手に入ればいいのですが、これがなかなか出てこないこともしばしばあるのです!
 そのような場合は後でその土地のカードが手に入ることを祈りつつ、他の土地を獲得してお茶を濁すはめになります。運も重要だということですね。

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 これだけでも十分にゲームとして楽しめそうですが、さらにというか恐るべきというか、このゲームを最大限に楽しむための特徴は他にあって、それは「解体」という言葉に集約されています。
 解体。すなわち、ゲーム上のビルのパネルを取り除くことで、その土地に新しいビルを建設することができるのです。
 例えば縦2マスのビルを横に2つ並べていたとして(マス数は2×2)、その2つを解体したとします。そこに現れた2マス×2ぶんの土地に、改めて2マス×2の正方形のビルを置くことができるのです。
 このゲームではビルを配置すると即座に点数が入るのですが、その点数はビルを解体しても減ることはありません。この辺がこのゲームの醍醐味で、ビルをばんばん建てて、それを解体して新しいビルを建てることで、点数を増加させていくことが可能なのです。
 こつこつと建て続けていた小さなビル群を一気に解体し、そこに大きなビルを建設した時の爽快感は半端ありません。
 しかも、建てれば建てるほど点数が増えていくのです!
 何を迷うことがあろうか! さぁ解体だ、そしてビルを新しく建築だ! 建築が終わったら、次のターンにはまた解体だ!
 まるで地方自治体の資金繰りを見ているような感覚ですが、土地に限りがある上に、解体を使えば新しい土地の確保が必要とならないので、ゲームのプレイ的にもこの手法は必定となってきます。

 かようにプレイヤーの破壊欲とついでに勝利への希望を満たしてくれる解体ですが、これにも制約があって、解体できるビルは今建設できるレベル未満のビルであることが条件となります。
 このゲームには建設できるビルのレベルが決定されていて、低いものから順に、ブロンズ、シルバー、ゴールドと設定されており、点数が加算されるとこのレベルも上昇していく仕組みです。
 ブロンズレベルでは何のビルも解体できず、シルバーレベルブロンズレベルのビルが、ゴールドレベルでブロンズレベルとシルバーレベルのビルが解体できます。
 つまり、ゴールドレベルのビルは絶対に解体できないので、この辺も考慮に入れながら上手に解体と建設を繰り返していかなければなりません。
 そしてなるべく沢山のビルを配置し、点数をより多く手に入れたものが勝者となるのです。  

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 このゲームでは、ビルを建てた瞬間で即座に点数が入るため、「建てておいたビルの点数を後で計算する」というこの手のゲームにありがちな煩わしい作業をせずにすみます。
 そのため、ゲーム的にとってもとっつきやすく、プレイ終了後も何度も遊びたくなる感覚に襲われます。
 また、シンプルなゲーム内容ながらも、「手番中に使用することで特殊な効果を生み出すアクションカード」「特定の条件を満たしているプレイヤーに点数を与えるニューヨーク大通りボーナスカード」などの存在が、ただ単純なだけのゲームでは終わらせないでいます。
 さらにちょっと意地の悪いことを考えれば、他プレイヤーが狙っているであろう土地を自分で早めに占有して、足を引っ張ることも可能!(あまり効率は良くないのでオススメはしませんが)
 もちろん純粋にビルをせっせと建てていって、自分の建築物がどんどん土地を占有していく様を見るのも楽しく、そこに点数が入るという物欲も相まって、かなりの達成感を得られるゲームと言えるでしょう。

 そんなわけで、パネル配置型と陣取りゲームの要素を兼ね備え、そこにシンプルかつ味わい深いプレイ感覚を加えたこのゲーム。
 初心者でも十分に遊べる逸品なので、ぜひプレイしてみることをおすすめします。
 

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ライター紹介

番棚葵(ばんだな あおい)
 ライトノベル作家。
 同人サークル「冒険者の館」でゲームも制作。
 古今東西問わずアナログゲームが好き。
 ボードゲーム、カードゲーム、TRPGなど様々なジャンルのゲームをたしなむ。

代表作
・ライトノベル
「生徒会ばーさす!」
「Dソード・オブ・レジェンド」
「神をしめなわっ!」他
(集英社スーパーダッシュ文庫より)
・ノベライズ
「カードファイト! ヴァンガード」
(角川つばさ文庫より)
・ゲーム
「メイガス」
(同人ゲーム)