ボードゲームレビュー第10回「トーレス」

「トーレス」 (原題:Torres)
発売元:RioGrandeGames(アメリカ)/日本語翻訳:ニューゲームズオーダー
作者:ミハエル・キースリング&ウォルフガング・クラマー(代表作:勝利への道)
 
対象年齢:12歳以上  
プレイ人数:2~4人
プレイ時間:60分


 

 皆様、初めまして。
 もしくはお久し振りです。
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」 代表の綺月と申します。

kiwi_blogreview015_photo01F_131211a

 今回は少し趣向を変えて。
「これは面白くて、おすすめ」のゲームを。
「初回から楽しむヒント!」
 を交えてご紹介したいと思います。
 なぜかというと、この 「TORRES(トーレス)」 というボードゲーム。
 実に奥深く、多彩な面白さを持っています。

kiwi_blogreview015_photo02F_131211a

 ゲームの舞台となるマップやコマなどのコンポーネントは、見ててワクワクしてしまう数と雰囲気です。
 ルールも簡単で、さすが2000年にドイツ年間ゲーム大賞などを受賞した名作の貫禄。

 しかし「トーレス」に限らず、面白いけどプレイ時間が長く、コツを飲み込むまでが大変な、「重い」と評されるゲームがありまして。
 「トーレス」もルールは分かり易いけど、何をどうしていけば有利なのか、そこを見出していくのが難しい。
 そんな「重さ」を和らげ、初めて遊ぶ人でも楽しめるよう、ご紹介したい次第なのです!

 という訳で、立体建築陣取り戦略ゲーム「トーレス」をご紹介しましょう!

kiwi_blogreview015_photo03F_131211a

 プレイヤーはある国の王子となり、同じく王子となった他のプレイヤーと3年の間、城の建築を競います。
 王子たちにはそれぞれ6人の騎士のコマと、城を造る塔のブロック、そして強力なアクションカード!
 平等な条件で高く大きく、もっとも立派な城を築いた王子が勝利し、王位を継ぐのです。
 ただし偉大な王は、平和と協力を条件としました。
 すなわち攻撃や破壊を、固く禁じたのです。

 そしてここが最初のヒント!
 実は王は、もっとも高く大きい城という「結果」だけでなく、「過程」も見ているのです。
 ゲームは1年ごとに、得点計算が行われます。
 ゲームが進むにつれて、入る得点も大きくなっていくのですが、1年ごとの得点のチャンスを逃さないのも、また重要です。
 そう、トーレスは単なる陣取りゲームではなく、得点を競うゲーム!
 最後に最大最高の城を建てても、途中の得点の機会を逃していると、勝てないかも知れない。
 まずその事に注意して、先に進みましょう。

 次に重要なのは、その3年をどうプレイするか、です。
 1年はプレイ人数によって、3~4回のラウンド(手番)に分かれます。
 プレイヤーは1回の手番で、アクションポイント(AP)をを5つ使えます。
 APを消費して騎士を配置や移動させたり、塔を置いて城を新築や増築したり、アクションカードを引いたり使ったり。
 APの一覧表があるので、それを見て最適なアクションを考えられます。

kiwi_blogreview015_photo03F_131211a

 ここで、第二ヒント!
 本作の陣取りには、二つの要因が仕込まれています。
 一つは他のプレイヤーのお城に隣接するマスには、塔を置けません。
 塔でマスを占領し、他のプレイヤーが城を広げるのを妨害できるのです。
 城の大きさは、プレイヤーが得る得点そのものです。
 城の得点は、広さ×高さで計算されます。
 そして城の広さ以上には、城を高くできません。
 例えば広さ1個×高さ2個の城は造れないのです。
 高さを2個にしたい場合、先に広さを2個にする。
 この制限のため、城を建てる位置や広げ方に、陣取りの戦略が重要になります。
 そしてもう一つの陣取り要素。
 騎士です!!!
 城は得点そのものですが、自分の騎士がいる城のみが、自分の得点になります。
 しかも得点計算の時に入る城の得点は、騎士のいる高さ。
 広さ5個×高さ4個の城で、騎士が最上階の高さ4の塔の上に乗っていたら、そのまま20点になります。
 しかし高さ2の塔に乗っていたら、5×2で半分の10点に!
 しかも他のプレイヤーの騎士も、城に侵入できるのです!
 もしここで他のプレイヤーの騎士が、別の高さ1の塔に乗っていたら、そのプレイヤーも同時に5点を得られます。
 他のプレイヤーが立てた広さ8個×高さ7個の城に、自分の騎士を侵入させ、うまく最上階を乗っ取ったら?
 なんと他のプレイヤーの城で、56点を稼げるのです!
 騎士は1AP消費で前後左右1マスしか動けません。
 そして他の騎士がいるマスを侵入も通り抜けもできないので、防御も可能です。
 また騎士は、1度には高さ1個分しか昇れません。
 階段を上がるように、1段ずつしか昇れないのです。
 なので騎士が城に侵入するには、誰もいない塔の上に乗る必要があります。
 ただし騎士は、同じ高さの塔を通過する時には、1APで移動できます。
 高さ2の塔にいる騎士が、その塔に隣接した高さ2の塔の中を5つ駆けぬけて、5マス先まで1APで移動する事が可能なのです!

kiwi_blogreview015_photo06F_131211a

「騎士は城の同じ階なら、どこでも瞬間移動できるッッ!!」
 まるで特殊能力バトルみたいな移動が、可能だったりします。
 しかも騎士、塔を降りる時は高さ何個分でも1APで飛び降りれます。
 さすが魔法使いと激戦を繰り広げた、歴戦の騎士です。
 この騎士を6人使った城の奪い合いや間借りが、二つ目の陣取り。
 城の建設による領土争奪と、騎士による城の攻防戦という、二つの戦い方がある、これも念頭に入れておくと、遊びやすいでしょう。

kiwi_blogreview015_photo04F_131211a

 さて、次は王の存在です。
 王はうまく活用すれば得点を入手できますが、大きな得点源ではありません。
 初手の順番が遅い人や、最下位の救済策ですが、活用しないと得点にならないのです。
 ただし競り合いを勝つには、十分な点数になり得ます。
 王は常に、王子たちの賢明さを試しています。
 王の力を当てにせず、むしろ王をも使いこなせ。
 そんなメッセージなのかも、知れません。

 では最後のヒントですが、アクションカードの重要性です。
 アクションカードはルールを超える、強力な効果を持ちます。
 全プレイヤーが同じカードを自分の山札としてランダムに積んでますが、使うにはAPを消費して引かないといけません。
 しかも1手番に2枚までしか引けず、使えるのは次の手番。AP消費は0ながら、手番中1枚のみ使用可能。
 こう書くと勝敗をカード運に左右させてしまい、ゲームバランスを壊しそうですが。
 アクションカードは積極的に引いていけば、有効なカードを手元に確保できます。
 どのカードを持っているかは非公開ですが、どんなカードがあって、既に何を使ったかは公開情報なので、読み合いが熱くなるのです。

kiwi_blogreview015_photo07F_131212a

 先の制限は、カードの持つ強大な力を押さえ、ドラマチックな展開をもたらします。
 手番のアクションを犠牲にしてカードを引き、その強大な力を蓄積。
 そしてここぞという勝機に解き放つ!
 アクションカードは、プレイヤーの積極性を活かすものだと思うのです。
 騎士の移動と同じく、緻密な戦略性に刺激的な駆け引きを加える、作り手からのプレゼントだと思うのです。

 例をいくつか上げますと。

「騎士に騎士を飛び越えさせる」
「高さ2個分高いマスに、騎士をジャンプさせる」
 これらのカードは敵の最上階を奪うのに最適です。
 城の攻防戦を仕掛ける戦略を、有利に準備できますね。

「手番に使えるAPが増える」
 これは汎用性が高く、あらゆる局面で活躍するでしょう。

「騎士を斜めに移動させ、高さ 一個分昇る事もできる」
 これを騎士の瞬間移動と組み合わせると、ボードの端から端まで騎士が駆けぬけ、敵の城に飛び込みます。

「塔を一つ、共有の供給源から取ってきて置く」
 領土戦略には、このカード。広さも高さも跳ね上げます。

 このような強力無比の「コンボ」を、自分の戦略に組み込んでいけますし、逆にこのコンボを出し抜けば、相手に与える打撃は極めて大きいでしょう。

 

 アクションカードは、強力なコンボの鍵。
 おお!と会心の笑みを浮かべさせてくれるのが、アクションカードなのです。

 と言う事で、もしトーレスを遊ばれる際には。
 このゲームが3回の集計で、得点を競うゲームである事。
 場所の陣取りと建物の陣取り、二つの戦略性を併せ持つ事。
 城を造るか奪うか、騎士の高さと位置、移動が重要です。
 そして限られた手番とAPで騎士や王、アクションカードを積極的に活用するゲーム性。

 この三点を意識してルールやカードを把握すると、初回でも遊びやすいかと思います。
 またこのゲームはボード上の情勢が変化する事で壮大な罠、緻密な戦略の成功、運命的なチャンスも起こりうる、とてもドラマチックなゲーム。
 積極的に知略を活用し、手段を駆使して、チャンスを活かす!
 そんな本格派の戦略ゲームを分かり易く遊んでみたい。
 それには、この「トーレス」。
 お勧めの逸品です。

kiwi_blogreview015_photo05F_131211a

 では次回まで、素敵なゲームと楽しい時間をお過ごし下さい。
 良きゲームライフを!!

 

ライター紹介

綺月鏡水(きづき きょうすい)
 ゲーム制作チーム「Team・Birth-tale」代表。
 ゲームシナリオライター・プランナー・シナリオディレクター
 専門学校講師「ゲームシナリオ・ゲーム企画等」
 アナログ、デジタルを問わずゲーム好き。
 メカアクションやファンタジー、戦記物、ラブコメなどのゲームシナリオを主に執筆。

代表作
 歴史シミュレーションゲーム「三極姫」シリーズ。
 恋愛アドベンチャーゲーム「はち恋」。
 対戦立体パズル「コンボる?」
 対戦カードゲーム「ぺあぺあ☆エクスチェンジ!」
 その他、多数。